入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「秋」(49)

2022年10月07日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうも雨、気温も低く6度、ほぼ一日降り続けるようだ。明日になれば雨も止み、気温も上がる、というのが当てにならない天気予報だが、さてどうか。今年最後の3連休、さぞかし気を揉んでいる人も多いだろう。
 
 しかし、この時季のこんな天気もそれほど悪いことではない。雨支度をしっかりとして人気のない森や林の中を歩いてみれば、その良さが充分過ぎるほど分かるだろう。何を措いても、周囲の醸し出す静けさ、まずそこに引き込まれる。
 それに、どうも今の季節の森や林の複雑な色合いは、人の心を静める力があるような気がする。衰え崩れてゆく終末の情趣、侘しさもあれば、諦念もある。そして反面、燃えるような激しさも感じさせ、そこへしとしとと雨が降る。自然の卓越した演出力。
 昨日もそういう状況の中、ある場所で草を刈っていた。行く前は迷いもないわけではなかったが、外へ出たいという気持ちの方が勝っていたのだろう、まるで自分の意志とは別に半ば無意識に雨合羽を身に着けていた。
 雨に濡れたせいか、草刈り機の調子がいつものようでなく、それを理由にして帰ろうかと思うことも何度かあった。それでもしばらくして、またエンジンの音が復調すると、気を取り直して単調な作業を続けた。嫌ではなかった。結構集中した。
 そぼ降る雨の中、イノシシの掘り起こしたものだろう、まだ新しい跡が目に付いた。近くには沼があり、鹿や他の動物の足跡もあった。しかしそれよりも目立ったのは、森を荒らしまくって去っていった心無いオフロードバイカーたちの残した何本もの轍の跡だった。
 小黒川林道が閉鎖されてから、こういう輩の姿が消えて、再び森は本来の静けさを取り戻しつつある。

 草刈り機をだましだまし使い、予定していた作業が一段落したところで引き上げてきた。途中、沈みかけた太陽を雲海の彼方、わずかに姿を見せた御嶽山の横に見付け、しばらくその場にとどまった。森の中にいた時とはまた別な、一日の終わる満ち足りた思いがそうさせたのだ。
 夜になって、その日のことを思い出していたら、森の雰囲気が実際にその場にいた時よりもっと深く強く甦ってきて、またしても幸福な思いと満足感が酔いの中に波紋のようにが拡がっていった。

 鹿の声がする。雨は止みそうにない。この寒さで、鹿はもっと低い山へ下りてしまうかも知れない。

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 本日はこの辺で。





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