入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’24年「冬」(27)

2024年12月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 今朝は里もついに気温が零度以下まで落ちた。冬らしい冷たく澄んだ青空が拡がり、大気は張り詰めたままだ。
 
 一昨日、土曜日の午後になって、待っていた連絡があって上に行ってきた。先方の熱心さに押された格好だと言える。
 往路は迷った末にもしかすれば道路工事が終わっているかも知れないという期待もあって、芝平からの悪路を避けて千代田湖経由を選んだ。そしたら、案の定通行止めは解除されていた。毎年行われてきたこの時季のたった100㍍かそこらの道路工事の継続である、いつものことながら予定された工事期間が長過ぎるのだ。
 途中から白い物が目に付き、池の平から先は道路に薄く雪が積もり、牧場まで来ると、辺りはきょうの写真のようにすっかり水墨画の世界になってしまっていた。

 小屋に着いたのが2時半、外の気温は零下3度、雪の混じる灰色の空の下、いつもながらの侘しい小屋のたたずまい、周囲の見慣れた不愛想な景色、それでも寒さの中である種の懐かしさを快く感じた。泊りがけで来ていればドロドロのウイスキーも登場し、春から初冬までの7か月間の遠くなっていた記憶がさらにもっと近付いてきたに違いない。

 3時半ごろ、車のドアを閉める音がして、外を見ると1台のワンボックスカーが停車していた。彼らが来れば近くのテキサスゲートが音で知らせてくれるものと思っていたが、気付かなかった。
 そして中から3人の男たちが出てきた。その中の監督と制作担当者とはすでに面識があり、もう1名は初対面だった。
 すぐにも現場を見たいと言うので、案内することにした。雪は止む様子はなかったので、降り続ければやがてわれわれの足跡はきれいに隠してくれるだろうと期待しながら、「大事なシーン」になるという予定地を何カ所か行ってみた。
 撮影は来春で、雪景色は必要なかったが、さりとてそれが彼らの下見の妨げになったわけでもなく、むしろ好ましい印象を与えたように感じた。前回はもっと多くの人が来ていたがその時とは違い、細かい段取りなどはせずに終わった。
 詳しいことは来年にまた話し合うことにして、今回は小屋にも立ち寄らぬまま、雪の降る中を去っていく3名を見送った。

 そしてこっちもしっかりと戸締りをして、迫りつつある夕闇と競うようにして小屋を後にした。背中には、来た甲斐があったという満足感を土産に背負って。
 本日はこの辺で。

 

コメント
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