昨日の続きになるがここからは、ここで述べる考えが必ずしも正しいと主張するわけではない。かなりの部分が個人の性向、好みで語ると思うからである。
入笠周辺でも富士見側は町が大変な投資を行い、ゴンドラを通年営業させ遊歩道や、湿原の整備を始め、花を植えて入笠山を「花の山」とか「天空の花園」とうたっている。そして、今や入笠といえば富士見側というくらい人気を博している。また、マウンテンバイクにも力を入れ、各種のイベントは全国的な注目を集め、冬季のみのスキー場営業から見事なまでに脱皮している。
その一方で伊那側は、山頂からほとんどを牧場が占めて、観光事業という視点で見れば穴場的なキャンプ場と、時代遅れの山小屋「農協ハウス」しかない。しかし、牧場のみならず山頂からヒルデエラ(大阿原)、テイ沢、高座岩、小黒川などは伊那の行政区内にあり、中級山岳としての豊かな自然は決して富士見に劣るわけでも、負けているわけでもない。
要は、自然をどのように活用するかということであるが、それについて思い出すのは、山で死んだO西氏の言葉である。彼曰く「カナダの自然は美しいけれど、われわれのようなクライマーには、やはりアラスカの自然の方が野生的で、荒々しく、魅力的ですね」と、今も耳に残る。別に、アラスカ州が観光について意図してカナダと一線を引こうとしているとは思わないが、氏と同じような印象を持ったことは覚えている。それで敢えて言えば、富士見側がカナダであり、伊那側はアラスカに喩えてみたくなる。どちらも、良い対比を見せているのではないだろうか。
できれば伊那側は急がず、必要最低のインフラだけはしっかりと整備した上で、昂然としていればよいと思うのだがそれでは足りないのだろうか。
ともかく、関係者が入笠をあまりにも知らないのは問題である。ここに1日いるだけでも、経済効果ばかりを考える気持ちが変わり、きっと守りたくなる。
山小屋に使わない布団を寄付してくれる人がいて昨日、やっと搬入することができた。きょうのキャンプ場は大賑わいだが、ここの山小屋をベースにして美しが原、霧ヶ峰、高ボッチ、守屋山、西駒などへ出かけてみるのも妙案ではないかと思います。ご一考を。
秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」と「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。