入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「秋」 (7)

2017年08月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日の続きになるがここからは、ここで述べる考えが必ずしも正しいと主張するわけではない。かなりの部分が個人の性向、好みで語ると思うからである。
 
 入笠周辺でも富士見側は町が大変な投資を行い、ゴンドラを通年営業させ遊歩道や、湿原の整備を始め、花を植えて入笠山を「花の山」とか「天空の花園」とうたっている。そして、今や入笠といえば富士見側というくらい人気を博している。また、マウンテンバイクにも力を入れ、各種のイベントは全国的な注目を集め、冬季のみのスキー場営業から見事なまでに脱皮している。
 その一方で伊那側は、山頂からほとんどを牧場が占めて、観光事業という視点で見れば穴場的なキャンプ場と、時代遅れの山小屋「農協ハウス」しかない。しかし、牧場のみならず山頂からヒルデエラ(大阿原)、テイ沢、高座岩、小黒川などは伊那の行政区内にあり、中級山岳としての豊かな自然は決して富士見に劣るわけでも、負けているわけでもない。
 要は、自然をどのように活用するかということであるが、それについて思い出すのは、山で死んだO西氏の言葉である。彼曰く「カナダの自然は美しいけれど、われわれのようなクライマーには、やはりアラスカの自然の方が野生的で、荒々しく、魅力的ですね」と、今も耳に残る。別に、アラスカ州が観光について意図してカナダと一線を引こうとしているとは思わないが、氏と同じような印象を持ったことは覚えている。それで敢えて言えば、富士見側がカナダであり、伊那側はアラスカに喩えてみたくなる。どちらも、良い対比を見せているのではないだろうか。
 できれば伊那側は急がず、必要最低のインフラだけはしっかりと整備した上で、昂然としていればよいと思うのだがそれでは足りないのだろうか。
 ともかく、関係者が入笠をあまりにも知らないのは問題である。ここに1日いるだけでも、経済効果ばかりを考える気持ちが変わり、きっと守りたくなる。

 山小屋に使わない布団を寄付してくれる人がいて昨日、やっと搬入することができた。きょうのキャンプ場は大賑わいだが、ここの山小屋をベースにして美しが原、霧ヶ峰、高ボッチ、守屋山、西駒などへ出かけてみるのも妙案ではないかと思います。ご一考を。

  秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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    ’17年「秋」 (6)

2017年08月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 こんな場所にテントを張ってはいけないのだが、そのことを知らないのだろう。昨年、権限もないのに許した者がいたため、悪しき前例となってしまった。

 ことほど左様に、悩ましい問題が入笠の伊那側にはある。入笠の将来について昨日、話し合いがもたれたことはここに記した通りだが、議論は進展しなかった。
 比喩(たとえ)てみれば、縁談が持ち上がった。しかし、その婚儀についての話し合いが行われても、だれも肝腎かなめの相手候補に会ったことがなく、資質や性格、その他の情報も少なくて分からないといった有様。そこで、相手を知っているという奉公人某もその末席に呼ばれた、といったところか。で、知っていることを話そうと努力したが、伝わったのか、理解されたのか、はなはだ心許なかった。
 討議は熱心になされたが様々な思惑が錯綜し、議題案件は深まることなく、総花的な意見交換に終始した。また、用意された資料は、それらの収集に当った関係者の努力は感じられたが古いもの、不正確な点も散見された。
 資料に見る将来の構想については、率直に言ってあまり評価できなかった。二番煎じ的であったり、特定の利害関係者がすでに背後に感じられたりして、このまま行くとこの美しい自然、静かな環境が守らていくのかどうなのか、その方が大いに危惧された。
 確かに、牧場管理人になったばかりは、牧場経営の事業規模のあまりの小ささや、牧畜の将来について不安を持った。それに対する一案として、観光化ということが当然に頭に湧いてきたし、それについてはしかるべき筋に私見も述べてみた。その上で広大な牧場を含め、もう少し伊那側の自然環境の優れた点を紹介しようと、この勝手な独り言もその一環のつもりで、始めた。
 しかし11年の間に、当初とは大分違った考えを持つようになった。(つづく)

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

 
 
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    ’17年「秋」 (5)

2017年08月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など




 1枚目の写真は焦点が甘いけれど、天気はこんな感じで、背景にあるはずの御嶽山や乗鞍岳はきょうも雲の中。両方とも「仲良し」とでも題を付けたくなるような2頭の牛。時には、物言えぬ彼女らがこんな微笑ましい仕草を見せてくれることもある。

 きょうは下で、行政やJA上伊那、それに商工会議所も入って、入笠や牧場に関する会議が行われる。顔を出せと言われているので、これから下ることに。
 最近とみに怒りっぽくなっていることを自覚して、できるだけ静かにしていようと思うが、できるか? 過日、「貴方の愛に溢れた土地でした」なぞと言われ、面映ゆくも悪い気はしなかったが、さて、あの人も言ってた波は、高くなるだろうか。

 奥多摩も懐かしい山です。幕営でも、三条の湯なんてどうですか?

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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    ’17年「秋」 (4)

2017年08月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 山の夜は早く、昨夜は8時半ごろに酔いつぶれて寝た。夜中に何度か森の中から聞こえてくる異様な声や、物音に目を覚ましたが起床は6時ごろと、惰眠を貪るだけむさぼったことになる。
 早朝、第1牧区に上ると、快晴とまではいかなかったが、濁りのない青い秋空が中空に広がっていた。季節が空を少しづつ深く、広くしていくのを眺めながら、牛たちを呼んで塩を与えた。今年は入牧以来雨ばかりが降ったせいで、牛の調教がいつものようにできなかったが、今朝は塩場の近くの放牧地にいたので全頭が、笛と呼び声に合わせて草の斜面を登ってきた。
 
 昨日は、はしなくも老人の痩躯を晒してしまった。というか、精一杯苦労して撮ったのがあんなもの。実際に入ってみて、いろいろ気付くこともあった。きょうからJALNECを率いるT山氏がやってくるので、朝から懇切丁寧に風呂の掃除をして、新しい水を張っておいた。
 いつもならこのグループと、もうひとグループIBSが翌週に来て牧場の夏は閉幕する。しかし、今年は夏が来なかった分、秋の先駆けの役を彼らに担ってもらうことにする。
 それにしても木々の葉を揺らす風は、紛う方ない秋のそれだ。夜空ではなく、引き込まれるような青い空を見上げながら、億光年の「無窮の遠(おち)」を想像している。

 未練はないのに昨日は、タイトルが夏に戻ってしまった。

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。


 
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    ’17年「秋」 (3)

2017年08月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうは牛が脱柵でもしないかぎり、仕事はしないと決めて来た。朝から露天風呂を沸かし、ビールを持って、一人だけの贅沢な入浴と洒落た。
 静かだ。鳥の声もしない。薄い雲を通して射し込む柔日が、ここにはすでに秋が来たことを告げていた。





 湯加減はぬるめにし、風呂に入る前に釜に薪を放り込んでおいた。そうすれば、少しづつ湯温が上がり、湯がとろけてくる。この風呂は、石油でも薪でも、あるいはそれら両方の兼用も可能で、きょうのような特別の日には薪を使い、贅沢を尽くすことにした。薪で沸かしたヒノキ風呂、温泉にさえ引けを取らない。
 さて、「特別の日」と書いてみたが、雨ばかり降り続いた偽の夏を送り、ようやく迎えた秋を寿ぎ、ここで一段落しようと考えたのだ。謂わばこれは牛守の「農休み」のようなもの。ひと風呂と言わず、きょうは入湯三昧。

 赤羽さん、そうですか、今夏は山には行かなかったのですね。碁会所、ゴールデン街、そして都会の雑踏、まだ目に浮かぶように記憶してます。もう半月もすればきっと、東京の空も秋めいてくるでしょう。都会も山も、秋が一番だと思います。「種平小屋」、変換を誤りました。お赦しを。
 秋葉街道と言えば、かつて山頭火がこの街道を通り伊那まで来ました。理由は、同じく漂泊の俳人・井月の墓に詣でることだったようです。
   お墓親しくお酒を注ぐ
 の句(自由律)を残していますが、その井月の墓の近くを毎日通って、ここにきてます。

 キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
 
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