入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「秋」 (2)

2017年08月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 よくここを訪れた人から「牧場に来ても牛がいない」と言われた。特に小さな子供に見せてやりたいとやって来た親御さんからは、抗議の口調で言われたりもした。そこで今年は中間検査の後も、種牛と10頭ばかりの牛を大型囲い罠の中に入れておいたら、案の定好評だった。
 これは入牧頭数が少ないからできたことで、もっと増えれば10日以上もこのフェンスの中に置いておくことはできない。それでも、妊娠検査で陽性の牛を、今年のように10頭くらいならしばらく置いておくことも可能だろう。
 キャンプ場の最盛期もどうやら過ぎたので、牛をもっと広い第4牧区に移すことにした。そのため、その前に牧柵、特に電気牧柵の点検と補修のため、小入笠まで登った。
 いつもながら、牧柵伝いに登っていくとき目に入ってくるこの辺りの景色がまた格別に良くて、急登にも耐えることができた。晴れていれば中央アルプスの山並み、それに御嶽山や乗鞍も見ることができるが、きょうは厚い雲に遮られていた。
 電気牧柵は3か所、不良個所を発見。原因を作ったのは、鹿である。春先、この周辺を根城にしていた20頭ほどの群は捕獲したはずだが、新しい群れが代わって来たのか。下では盛んに鹿が減ったと言ってるようだが、さてどうだろう。牛が下りる10月半ばから、安気を決めている鹿との闘いを再開するつもりだ。

 それにしても、これを書いていて思ったことだが、中間検査は今月10日のことだから、あれからわずか11日しか経っていないということになる。まったくの驚きだが、それでけ忙しかったということだろう。
 京都から馴染みのKさん夫婦が登場。昨夜は種平小屋、今夜はここの山小屋。守屋山に登ってきたとか。K氏は早くも飲み始めた。

 キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

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    ’17年「秋」 (1)

2017年08月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝、集落の背後の森を抜けて開田に出たら、薄い雲の向こうに空木岳(中ア)の輪郭が影のように見えていた。ふと、山に行ってみたいと思った。どこか特定の山のことを思い浮かべたわけではなくて、単に人気のない静かな秋の山の中を歩いてみたいと思っただけだったが。
 そんなことを考えるともなく考えながらこの独り言を続けていたら、やがて次から次と各地の山々からの呼び声を聞いた気がした。特にあの山の呼び声は、ひときわ蠱惑的に聞えた。もちろんだが、それにお応えするわけにはいかない。10月の半ばごろまでは牛がいる。
 
 もっとも、そんなことを言っていては、もう、他の山には行けないということになる。今までは内心それでも仕方ないと思い、諦めていたつもりだったが、どうもそんな決意めいたものに綻びが生じ始めたようだ。
 それはそうだろう。体力のあるうちに、ヨロヨロとどこかに出掛けて行くことを真剣に考えないと、それこそ取り返しのつかないことになる。
 
 もう一つ、考えていることがある。これは牛が下りてからでもできると思うが、152号線秋葉街道をテクテクと遠く、静岡の秋葉神社まで歩いていくことだ。長年の夢だが、さてどうだろう。かなり山の中を行くことになる。
 北原のお師匠は入笠に来ると生き返るそうで、それで御年88歳でもあの通りの元気なのだとか。全くなによりだ。畏れながらこれでも師の弟子であり、その弟子は毎日入笠に来ている。お師匠には及ばずとも少しは生き返りを繰り返して、山も、秋葉街道も、いずれも諦めないでいようと思っている。88歳までは望まないにしても・・・。

 やわらかい秋の日が牧草の上に降り注いでいる。昼ごろ、皆が帰っていった。がらんとしたキャンプ場には、夏の気配はない。きょうからタイトルは「秋」。

 キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

 
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    ’17年「夏」 (35)

2017年08月19日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ようやく青空が現れ、日が射すようになった。何日ぶりだろう。しかしこの天気も、夕方にはまた崩れるようだ。気を持たせるような天気がいつまで続くというのか。

 キャンプ場の方から、ボーイスカウトの子供たちの無邪気で元気な声が聞こえてくる。まだ余裕のある幕営地Cを独占して、何がそんなに可笑しいのか笑い声が絶えない。この団のリーダーの中には、45年以上も来ている〝主”のような人もいる。今夜が最後の夜になる。ここには夏は来なかったが、彼ら彼女らには、ひと夏の良い思い出ができただろう。


    この団は、なぜか知らないが弓矢作りが盛ん


    この子たちはB幕営地のキャンパー



 新しく入れ替わって2組、その中には3家族からなる10人、小屋とテントに分散して宿泊するK井家がいる。全員集合とならなかったのは、只今例の露天風呂で入浴中の親子がいるから。

 何度でも書くが今年、入笠に夏は来なかった。来る途中できょうもコスモスの花を見たし、栗や胡桃が山道に散らばっているのも目にした。山裾に広がる稲田も少しばかり黄色く色づき出し、重みに耐えられなくなった稲穂が垂れ始めた。そこまで秋が忍び寄ってきている。山々が秋色に染まるのも、キノコが話題に上るようになるのも、もうすぐだろう。

 I上さん、わざわざ来ていただきながら留守をして済みませんでした。差し入れ有難く頂きました。

 キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
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    ’17年「夏」 (34)

2017年08月17日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上に泊まると朝が早い。昨夜で3晩、今朝も5時起床、気温は17度、曇り。すでにキャンプ場のトイレ、小屋の掃除をほぼ終えた。
 昨夜の8時過ぎ、2日目の撮影が終了し、長い1日が終わった。その様子の一端は、こんなふうにしか紹介できないが、右手の大木の背後で「水の精」が、懸命に演じていた。その中でも、その役を演ずる女子高校生が突然、小黒川源流の冷たい水の中に横たわったのにはびっくりした。かなりの間、じっと寒さに耐えていたのにはつくづく感心した。彼女は素人で、あんなことは初めての体験だったに違いない。
 「森の妖精」、「水の精」と、幻想的な映像を求めた撮影が続いた。
 
 また、濃い霧が流れ出し、雨は止まない。囲いの中の牛は時折考えあぐみ、また草を食べ続けてる。終日、ああまで草を食む姿ばかりを見ていると、習性は残酷にさえ思えてくる。ただひたすら食べ続け、何も分からないうちに牛の短い一生が終わる。
 雷鳴も聞こえてきた。地球はどうなってしまったのだろう。キャンプ場にはボーイスカウトの団体と、毎年やってくる2家族がいるが、この雨の降りようではどうしようもないだろう。雲の動きを見ると、夕方になって少し回復するが、その後は期待できない。

 こんな天気ばかりの日々、それでも昨夜、撮影隊の労をねぎらうかのように短い時間だったが、夏の星座が頭上に現れ、皆を喜ばせた。天の川を初めて見たという人もいれば、「プラネタリュウムのようだ!」と、本末転倒な叫び声を上げる人もいて可笑しかった。

 品川のI藤さん、座卓は大変に気に入って使わせていただいてます。わざわざありがとうございました。

 キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。



 

 
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    ’17年「夏」 (33)

2017年08月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 牛も青空が恋しいだろう。

 昨夜、上に泊まる。そして今夜もその予定。早朝から伊那市の広報が企画した撮影が予定されていたためだが、まるで嫌がらせをするように、雨。
 久しぶりに訪れた埼玉県のOさん夫婦も、1日予定を早く切り上げて撤収の準備を始めた。この後、明日から毎年来てくれるボーイスカウト、そして月末にJALNECが来れば、8月の団体の予定は終わる。個人の予約は〝噂の″かんとさんなど届いているが、山場は越したと見てよいだろう。
 この独り言のタイトルもいつまでも「夏」にしておきたくはないが、そうかといって「秋」とするには実質はそうでもさすがに早い気がして、この長雨の止むまで待とうと思っている。
 そういえば先日、久しぶりに松倉の集落を通ってきたら、道路の脇の毎年目にする場所にはすでにコスモスの花が咲いていた。この花はもう少し季節が進んで黄道がもっと南に傾いてから、白ぽい光の中で揺れている姿が一番似合うと思う。あの集落のように背景は黄金(こがね)色した稲田と、色づきかけ森なら、さらに文句はない。

 昨日は戦後72年目の終戦記念日だった。戦争の体験をいろいろな人から聞き、また読みもした。遠い昔のことと思っていたが、あの人たちにとってはつい昨日の出来事のように記憶されていたのだと、今ならそれが分かる。戦争を体験しない幸福な時代に、幸福な国に生まれたが、昨今の武力対武力の世界の状況は、中世とあまり変わらないのではないか。

 妖精の代理さん、音信多謝。いつか本当の妖精になってあの森へ帰っておいで。

 キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

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