人が違うんだから当たり前!?基本的な考え方が違うなあというところはありますが、同世代だから?彼の考え方、見方には激しく同意するんですよ。
何冊かの読みかけの本を脇に置き、内田樹の「生きづらさについて考える」を読んでいます。
いつから読み始めたのか、本棚には彼の著作が並んでいますが、一番共感を覚えているのは彼の教育論でしょうか。
この著作で改めてそうだろうと思ったのは「日本の学校教育はどうしてこれほど質が悪いのか?」ということ。
16年、米国の政治外交専門誌「Foreign Affairs Magazine」が最初に取り上げ、17年には英国の自然科学のジャーナル「Nature」が同趣旨の論文を掲げたと。
そこには、日本の大学の学術的発信力の低下を人口当たり論文数の減少、GDPに占める大学教育への支出(OECD内でほぼ常に最下位)、研究の国際的評価の低下などのデータに基づいて、日本の大学教育の過去30年の試みを「失敗」と断じたと。
そして、日本の大学に著しく欠けているものとして「批評的思考」「イノベーション」「グローバルマインド」を挙げているとか。
学校教育の目指す柱の一つ、グローバル人材の育成って何なんだろう?
学びたいことを学ぶ、身に付けたい技術を身につける
グローバル人材の育成は置くとして、彼は、これからの若者たちに勧めることはとりあえず一つとして、「学びたいことを学ぶ、身に付けたい技術を身につける」。
「やりたくはないけど、やると食えそうだから」という小賢しい算盤をはじかない。
それは、やりたいことをやっていると、人のパフォーマンスは最も高まる。生き延びるのが困難な時代になるから、生きる知恵と力を最大化しておかないと。
これ、今の学校教育も社会も最も苦手としているところじゃないかな?
同化圧力が極めて高いから、時代の行く末を皮膚感覚で感じている子どもたちが、不登校になるのは当たり前かも。
『天皇主義者』宣言
もうひとつ、「『天皇主義者』宣言について聞く」は一読の価値があるかな?
天皇制を功利的に活用する政権サイドと、旧弊な因襲は廃止すればいいという左翼・リベラルの二極的な見方ではなく、護憲の最後の砦が天皇陛下であるという見方を示した彼は、天皇制は「ツール」ではなく「リソース」だと。
出典は「福音と世界」2018年8月号。