栗田美術館→足利学校→鑁阿寺→境道の駅
鑁阿寺はある意味祖先ルーツの地
足利学校は《前澤輝政は、下毛野国(のちの下野国)が作られた際、国府は現在の足利市伊勢南町付近に置かれたとし、このときに国府に併設して国学がおかれ、これが足利学校の由来で、創立は8世紀であるとの新しい国学起源説を明らかにしている。前澤は自説の論拠として、現在使われていない古い地名で、足利市伊勢町・伊勢南町の境界付近が「国府野」「学校地先」と呼ばれていたことと、「國」などと刻印された瓦がここで出土したこと、江戸時代まで、この地が学校領であったことが古地図で確認できることなどを挙げている。ただし、前澤は、国府と国学は都賀郡(現在の栃木市方面)に移転したが、何故、足利の国学が廃絶せずに残ったのかについては理由を述べていない。また、足利に国府が置かれたかもしれないというのも、文献などによる有力な証拠がなく、今のところ仮説に過ぎないことに注意する必要がある。》、諸説あって、なぜ最高学府がここだったのかは不明。
昭和25年12月25日の栗田英男の質問、白洲次郎の東京電力の利水権簒奪介入政治資金捻出をあぶり出している。
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
東北電力融資に関する緊急質問を許可いたします。栗田英男君。
〔副議長退席、議長着席〕
〔栗田英男君登壇〕
○栗田英男君 私は、日本最大の利権闘争の河川として国民から多大の疑惑を抱かれている只見川の電源開発に対し、政府が東北電力にとりたる見返り資金の融資措置について、その所信をたださんとするものであります。
只見川事件は、上田、本名の水利権について、去る七月二十五日の秘密閣議において、行政処分という強権をもつて東京電力の水利権を取消し、新たに東北電力に許可するという不当措置に端を発したものであります。本水利権を東北電力に許可するについては、当時電力行政を担当する公益事業委員会は絶対反対の態度であつたので、本年三月以来しばしば吉田側近において強権措置を計画されていたが、これが実現を見るに至らなかつたのであります。しかるに、七月末日公益事業委員会の廃止を好機として、吉田、白洲の陰謀によつて福島県知事を買収し、当時の野田建設大臣を威嚇し、総理大臣の強権を濫用して、極秘のうちに水利権強奪の閣議を開き、一夜にして東京電力の水利権を奪い去つたという、前代未聞の怪事件であります。(拍手)
かくのごとく強権と謀略によつて水利権を東北電力が獲得するや、国会解散の直前、当時の池田大蔵大臣は、上田、本名の両地点に対し、見返り資金十二億円を早急に融資するように、大蔵省事務当局に厳命をしたのであります。しかるに、右二地点は、昭和二十七年度経済安定本部緊急電源開発計画及び昭和二十七年度公益事業委員会電源開発計画に、予定地点として全然計画されてなかつたのであります。電源開発融資に対し、いかに大蔵大臣の厳命といえども、工事計画なき地点に――さらに公益事業委員会廃止後、電力行政をつかさどる通産大臣の許可なき発電所建設に融資することはできません。そこで、大蔵大臣は、吉田総理の威をかりて、またまた通産大臣を威嚇し、臨時にこの二地点を本年度開発計画に新たに加え、さらに通産大臣をして、早期開発上必要であるから、すみやかに十二億円を東北電力に融資するよう見返り資金放出依頼の要請書簡を大蔵大臣あてに提出せしめたのであります。
一方、本水利権認可に関連して、公共事業令第五十九条によれば、建設大臣が福島県知事に認可するにあたつては、当然公益事業委員会の同意を得るとともに、同委員会もまた福島県知事に対し、建設大臣と協議して認可を与えなければならないのであります。しかるに、建設大臣は、公益事業委員会の反対をおそれて、最後まで意見を求めず、七月二十五日、閣議において秘密裡に決定し、越えて八月四日、公益事業委員会の廃止を待つて福島県知事に認可を与え、福島県知事は、右認可に基き、八月五日、東北電力に水利使用を許可したのであります。ここにおいて、公益事業委員会は七月末日をもつて廃止となり、同委員会に福島県知事より稟伺中の書類一切は、八月十九日に通産大臣に引継がれたのであります。しかしながら、すでに本件に関しては、建設大臣が八月四日付をもつて一方的に認可を与えておりまするので、これを合法化するため、通産大臣もまたすみやかに認可するよう吉田総理の至上命令が発せられまして、あわてた通産大臣は、建設大臣の認可と日付を一致せしむるために、驚くべきことには、公文書を偽造し、鉛筆をもつてメモ程度の案文をつくり、起案者不明の課長、次長、局長、政務次官、大臣の印鑑等なき、でたらめきわまる書類を作成し、これを原本として、この重大なる水利権処分に対する同意を建設大臣に与えるとともに、福島県知事に対しては、これが水利使用を許可したのであります。
私は、この乱暴きわまる事務処理を目のあたりに見て、しばし暗然といたしまして、後日の証拠として、一件書類を、このように写真に撮影いたして参つたのであります。(拍手)通産大臣は、かくのごとき数々の不当手続を前提として、九月二十六日、両発電所の新設を東北電力に許可し、この許可と同時に、大蔵大臣は、別わくより十二億円を本年度分として東北電力に融資決定をいたしたのであります。
以上が今日までの見返り資金融資経過の概要でありまして、私は、以下三点に関し、関係大臣の明確にして率直なる答弁を求むるものであります。
質問の第一点は大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵大臣は病気で欠席という連絡がありましたので、愛知政務次官に対してお尋ねをいたします。
本年度電源開発見返り資金の総額は、当初三百億円と決定いたしておつたのであります。しかも、この三百億円は、本年度新規事業に融資せず、前年度の継続工事にのみ当てるということが原則であつたのであります。しかるに、大蔵大臣は、みずからつくつたこの原則をまつたく無視し、特に通産大臣より上田、本名二地点に対する見返り資金放出要請書簡を提出せしめ、大蔵省の手持資金より十二億円を特別に開発銀行に預託し、本年度分としてこの十二億円を融資するという、東北電力に対してのみ特段の政治的考慮が払われたのであります。これを他の電力会社の融資状態に比較するとき格段の差があり、この露骨にして強引なるやり品には、まさに唖然たらざるを得ないのであります。(拍手)
たとえば、現に工事中であり、本年度新規計画として当局より認められている関西電力打保発電所、北陸電力神通川第二発電所、中部電力井川奥泉発電所、中国電力柴木川発電所、四国電力伊尾木川発電所、北海道電力層雲峡発電所等、鋭意自己資金を苦心して調達し、これによつてようやく開発を続けているのであります。関係業者は、これがためしばしば見返り資金の融資を懇請しているにかかわらず、これらに対しては、今日まで、本年度新規計画分には見近り資金のわくなしとした、大蔵、通産両省ともに耳を傾けなかつたのであります。(拍手)しかるに、大蔵大臣は、この上田、本名の二地点は、本年度計画中になきはもちろん、水利権はさきに建設大臣が行政処分によつて強奪し、ために福島県知事と東京電力は裁判をもつて抗争し、通産大臣は公文書を偽造してこれに許可を与え、新潟、福島両県は本許可によつていよいよ対立を深めたという、いわくつきの本発電所の新設工事に、いまだかつてない異例の措置をもつて、しかも別わくより十二億円を融資するとはいかなる理由によるか、断じて了解し得ないところであり、この点に関し、大蔵大臣の明確なる答弁を求むるものであります。(拍手)
質問の第二点は通産大臣にお尋ねいたします。本発電所の水利権を建設大臣が八月四日付で認可するにあたり、通産大臣もまた同日付で認可を与えているが、本件書類は、八月十九日付公益第三十九号をもつて、公益事業委員会より通産省公益事業局が受付けており、とうてい八月四日の事務処理は時間的に不可能であります。しかるに、通産大臣は、行政最高の長たる身をも忘れて、公文書を偽造し、無責任きわまる怪文書を作成して、八月四日付で認可したるは、いかなる理由によるか。(拍手)さらにまた、九電力会社の均衡を全然無視し、東北電力に対してのみ見返り資金放出依頼の要請書簡を大蔵大臣に提出したるは、これまたいかなる理由に基くか。通産大臣の明確なる答弁を求めるものであります。(拍手)
第三点は吉田総理にお尋ねをいたします。吉田総理は欠席のようでありますので、官房長官にお尋ねをいたします。只見川の電源開発にからみ、かくのごとく不明朗きわまる政治的陰謀を顧みて痛感する点は、昭和二十五年に公益事業委員会なる新しき行政委員会制度が設けられたゆえんは、実に政党と官僚の支配から公共事業を守る点にあつたのであります。しかるに、同委員会廃止と同時に、かくのごとき不明朗なる政治的措置がとられ、巨額の財政資金を投入する電源開発が吉田政府の手によつて行われるということは、国民のためまことに不幸であるといわざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、只見川開発資金は実に一千六百億円の巨額を要するので、白洲東北電力会長就任以来まさに垂涎の地であり、政治資金獲得のため絶好の河川として、白洲をこの地に就任せしめたる吉田総理の配慮は、実にこの点にあつたのであります。(拍手)以来、宮下、柳津、片門の三発電所、十二万キロの工事を施行中にして、間組、前田建設その他数社の請負金額は、早くも七十五億円に達しているのであります。さらに、本工事現場に近き上田、本名の二地点を陰謀によつて強奪し、右二地点の発電所建設費八十億円の工事契約、見返り資金融資等にからみ、吉田側近は巨額の政治資金を獲得し、得たる資金はあげて総選挙並びに吉田、鳩山首班抗争にばらまかれたと伝えているのであります。(拍手)
これを要するに、本件にからみ政府のとりたる一連の強引きまわる工作は、只見川の開発によつて政治資金を獲得せんとする吉田、白洲側近閣僚等の画策せる最も悪質なる政治的陰謀であり、白洲のアメリカ行きは実に本件の国会における糾明を恐れて逃避したものであり、(拍手)今や吉田政府は、只見川をめぐり、戦後最大の疑獄事件の様相を呈するに至つたのであります。(拍手)
吉田総理は、これに対し、国民の疑惑を一掃する良心と誠意があるならば、今回の紛糾の原因となりたる只見川二地点の開発許可を白紙に返し、電源開発促進法の定むるところにより、電源開発調整審議会において、技術的、経済的見地から十分検討を加えるか、あるいは上田、本名の開発工事を電源開発株式会社に当らしむるか、この二点のいずれかを選び、電気事業の健全なる発展のために、公正にして明朗なる電源開発の態度を明らかにすべきであります。(拍手)この点に関し、吉田総理の明確なる答弁を求めるものでありまして、その答弁いかんによりましては再質問の権利を留保いたしまして、私の緊急質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 栗田君にお答え申し上げます。
只見川の水利権の変更その他電源開発に関しまして政府のとつた措置につきましては、東北電力、東京電力両会社の実情につき慎重に検討を加えた結果、現下の急迫した電力事情を考えると、電源の早期開発は一日もゆるがせにできない事情にあるので、電源の早期かつ経済的開発をはかるため、東北電力をして急速にこの工事に着手せしむることとし、また所要の開発資金の融資をいたした次第であります。通産省といたしましては、本名、上田両地点につき公共事業令に基く許可を行うにあたりまして、工事所要資金調達ができるかいなかを確かめる必要上、大蔵大臣に対して、両地点開発の本年度所要資金約二十億円を要するうち、十二億円程度を見返り資金より融通し得るやいなやを照会したのであります。これに対しまして、大蔵大臣より、両地点を開発する上において見返り資金より融資を必要とする額については融資を考慮する旨の回答が通産省にあつた次第であります。
公文書偽造の事実については、さような事実はまつたくございません。八月一日付書類の引継ぎを受けており、通産省としては成規手続による書類に基いているのでありまして、ただいま申し上げた通り、公文書偽造等の事実はまつたくございません。
さらに、政府においては、二十七年度の見返り資金対象工事としての新規開発地点は、各地区一箇所、全国九箇所と決定し、それぞれ政府資金の融資を行うことといたしているのであります。政府資金の総工事費に対する割合は六割を確保すべく、目下関係省、開発銀行等と協議中であり、まだ最終的決定までには参りませんが、おおむねその目標の確保は可能と考えておるのでありまして、東北電力の場合と同様、他の会社の場合にも行うのであつて、何らふつり合いを生ずるがごときことはないものと信じております。(拍手)
〔政府委員愛知揆一君登壇〕
○政府委員(愛知揆一君) お答えいたします。本名、上田開発資金の昭和二一十七年度融資見込額は十二億円という計画になつておりまするが、これは、本年度の見返り資金投資計画額の三百億円のうちに、未計画分が五十三億円ございましたので、そのうちから充当することが適当と考えたわけでございます。なお、この十二億円の計画の内訳は、第三・四半期分が九億円、第四・四半期分が三億円と見込まれておるのでありまして、今日までに現実に貸し付けられました額は六億円でございます。なお残りの六億円につきましては、先ほど申しました未計画分から充当することが可能であると考えられるのでありますが、なお充当ができません場合におきましては、予備費のうちから支出することが可能であるのでございます。従つて、本件の実施のために他の計画に支障を来すというようなおそれは絶対にございません。(拍手)また本名、上田に対する十二億円の計画は、新規工事に対しましては工事費の六〇%を出すということが一般の基準でございまして、その基準通りにいたしておるのでありまするから、本名、上田につきましても、他の計画に比較いたしまして、不正、不純というようなことは絶対にございません。(拍手)
鑁阿寺はある意味祖先ルーツの地
足利学校は《前澤輝政は、下毛野国(のちの下野国)が作られた際、国府は現在の足利市伊勢南町付近に置かれたとし、このときに国府に併設して国学がおかれ、これが足利学校の由来で、創立は8世紀であるとの新しい国学起源説を明らかにしている。前澤は自説の論拠として、現在使われていない古い地名で、足利市伊勢町・伊勢南町の境界付近が「国府野」「学校地先」と呼ばれていたことと、「國」などと刻印された瓦がここで出土したこと、江戸時代まで、この地が学校領であったことが古地図で確認できることなどを挙げている。ただし、前澤は、国府と国学は都賀郡(現在の栃木市方面)に移転したが、何故、足利の国学が廃絶せずに残ったのかについては理由を述べていない。また、足利に国府が置かれたかもしれないというのも、文献などによる有力な証拠がなく、今のところ仮説に過ぎないことに注意する必要がある。》、諸説あって、なぜ最高学府がここだったのかは不明。
昭和25年12月25日の栗田英男の質問、白洲次郎の東京電力の利水権簒奪介入政治資金捻出をあぶり出している。
○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
東北電力融資に関する緊急質問を許可いたします。栗田英男君。
〔副議長退席、議長着席〕
〔栗田英男君登壇〕
○栗田英男君 私は、日本最大の利権闘争の河川として国民から多大の疑惑を抱かれている只見川の電源開発に対し、政府が東北電力にとりたる見返り資金の融資措置について、その所信をたださんとするものであります。
只見川事件は、上田、本名の水利権について、去る七月二十五日の秘密閣議において、行政処分という強権をもつて東京電力の水利権を取消し、新たに東北電力に許可するという不当措置に端を発したものであります。本水利権を東北電力に許可するについては、当時電力行政を担当する公益事業委員会は絶対反対の態度であつたので、本年三月以来しばしば吉田側近において強権措置を計画されていたが、これが実現を見るに至らなかつたのであります。しかるに、七月末日公益事業委員会の廃止を好機として、吉田、白洲の陰謀によつて福島県知事を買収し、当時の野田建設大臣を威嚇し、総理大臣の強権を濫用して、極秘のうちに水利権強奪の閣議を開き、一夜にして東京電力の水利権を奪い去つたという、前代未聞の怪事件であります。(拍手)
かくのごとく強権と謀略によつて水利権を東北電力が獲得するや、国会解散の直前、当時の池田大蔵大臣は、上田、本名の両地点に対し、見返り資金十二億円を早急に融資するように、大蔵省事務当局に厳命をしたのであります。しかるに、右二地点は、昭和二十七年度経済安定本部緊急電源開発計画及び昭和二十七年度公益事業委員会電源開発計画に、予定地点として全然計画されてなかつたのであります。電源開発融資に対し、いかに大蔵大臣の厳命といえども、工事計画なき地点に――さらに公益事業委員会廃止後、電力行政をつかさどる通産大臣の許可なき発電所建設に融資することはできません。そこで、大蔵大臣は、吉田総理の威をかりて、またまた通産大臣を威嚇し、臨時にこの二地点を本年度開発計画に新たに加え、さらに通産大臣をして、早期開発上必要であるから、すみやかに十二億円を東北電力に融資するよう見返り資金放出依頼の要請書簡を大蔵大臣あてに提出せしめたのであります。
一方、本水利権認可に関連して、公共事業令第五十九条によれば、建設大臣が福島県知事に認可するにあたつては、当然公益事業委員会の同意を得るとともに、同委員会もまた福島県知事に対し、建設大臣と協議して認可を与えなければならないのであります。しかるに、建設大臣は、公益事業委員会の反対をおそれて、最後まで意見を求めず、七月二十五日、閣議において秘密裡に決定し、越えて八月四日、公益事業委員会の廃止を待つて福島県知事に認可を与え、福島県知事は、右認可に基き、八月五日、東北電力に水利使用を許可したのであります。ここにおいて、公益事業委員会は七月末日をもつて廃止となり、同委員会に福島県知事より稟伺中の書類一切は、八月十九日に通産大臣に引継がれたのであります。しかしながら、すでに本件に関しては、建設大臣が八月四日付をもつて一方的に認可を与えておりまするので、これを合法化するため、通産大臣もまたすみやかに認可するよう吉田総理の至上命令が発せられまして、あわてた通産大臣は、建設大臣の認可と日付を一致せしむるために、驚くべきことには、公文書を偽造し、鉛筆をもつてメモ程度の案文をつくり、起案者不明の課長、次長、局長、政務次官、大臣の印鑑等なき、でたらめきわまる書類を作成し、これを原本として、この重大なる水利権処分に対する同意を建設大臣に与えるとともに、福島県知事に対しては、これが水利使用を許可したのであります。
私は、この乱暴きわまる事務処理を目のあたりに見て、しばし暗然といたしまして、後日の証拠として、一件書類を、このように写真に撮影いたして参つたのであります。(拍手)通産大臣は、かくのごとき数々の不当手続を前提として、九月二十六日、両発電所の新設を東北電力に許可し、この許可と同時に、大蔵大臣は、別わくより十二億円を本年度分として東北電力に融資決定をいたしたのであります。
以上が今日までの見返り資金融資経過の概要でありまして、私は、以下三点に関し、関係大臣の明確にして率直なる答弁を求むるものであります。
質問の第一点は大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵大臣は病気で欠席という連絡がありましたので、愛知政務次官に対してお尋ねをいたします。
本年度電源開発見返り資金の総額は、当初三百億円と決定いたしておつたのであります。しかも、この三百億円は、本年度新規事業に融資せず、前年度の継続工事にのみ当てるということが原則であつたのであります。しかるに、大蔵大臣は、みずからつくつたこの原則をまつたく無視し、特に通産大臣より上田、本名二地点に対する見返り資金放出要請書簡を提出せしめ、大蔵省の手持資金より十二億円を特別に開発銀行に預託し、本年度分としてこの十二億円を融資するという、東北電力に対してのみ特段の政治的考慮が払われたのであります。これを他の電力会社の融資状態に比較するとき格段の差があり、この露骨にして強引なるやり品には、まさに唖然たらざるを得ないのであります。(拍手)
たとえば、現に工事中であり、本年度新規計画として当局より認められている関西電力打保発電所、北陸電力神通川第二発電所、中部電力井川奥泉発電所、中国電力柴木川発電所、四国電力伊尾木川発電所、北海道電力層雲峡発電所等、鋭意自己資金を苦心して調達し、これによつてようやく開発を続けているのであります。関係業者は、これがためしばしば見返り資金の融資を懇請しているにかかわらず、これらに対しては、今日まで、本年度新規計画分には見近り資金のわくなしとした、大蔵、通産両省ともに耳を傾けなかつたのであります。(拍手)しかるに、大蔵大臣は、この上田、本名の二地点は、本年度計画中になきはもちろん、水利権はさきに建設大臣が行政処分によつて強奪し、ために福島県知事と東京電力は裁判をもつて抗争し、通産大臣は公文書を偽造してこれに許可を与え、新潟、福島両県は本許可によつていよいよ対立を深めたという、いわくつきの本発電所の新設工事に、いまだかつてない異例の措置をもつて、しかも別わくより十二億円を融資するとはいかなる理由によるか、断じて了解し得ないところであり、この点に関し、大蔵大臣の明確なる答弁を求むるものであります。(拍手)
質問の第二点は通産大臣にお尋ねいたします。本発電所の水利権を建設大臣が八月四日付で認可するにあたり、通産大臣もまた同日付で認可を与えているが、本件書類は、八月十九日付公益第三十九号をもつて、公益事業委員会より通産省公益事業局が受付けており、とうてい八月四日の事務処理は時間的に不可能であります。しかるに、通産大臣は、行政最高の長たる身をも忘れて、公文書を偽造し、無責任きわまる怪文書を作成して、八月四日付で認可したるは、いかなる理由によるか。(拍手)さらにまた、九電力会社の均衡を全然無視し、東北電力に対してのみ見返り資金放出依頼の要請書簡を大蔵大臣に提出したるは、これまたいかなる理由に基くか。通産大臣の明確なる答弁を求めるものであります。(拍手)
第三点は吉田総理にお尋ねをいたします。吉田総理は欠席のようでありますので、官房長官にお尋ねをいたします。只見川の電源開発にからみ、かくのごとく不明朗きわまる政治的陰謀を顧みて痛感する点は、昭和二十五年に公益事業委員会なる新しき行政委員会制度が設けられたゆえんは、実に政党と官僚の支配から公共事業を守る点にあつたのであります。しかるに、同委員会廃止と同時に、かくのごとき不明朗なる政治的措置がとられ、巨額の財政資金を投入する電源開発が吉田政府の手によつて行われるということは、国民のためまことに不幸であるといわざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、只見川開発資金は実に一千六百億円の巨額を要するので、白洲東北電力会長就任以来まさに垂涎の地であり、政治資金獲得のため絶好の河川として、白洲をこの地に就任せしめたる吉田総理の配慮は、実にこの点にあつたのであります。(拍手)以来、宮下、柳津、片門の三発電所、十二万キロの工事を施行中にして、間組、前田建設その他数社の請負金額は、早くも七十五億円に達しているのであります。さらに、本工事現場に近き上田、本名の二地点を陰謀によつて強奪し、右二地点の発電所建設費八十億円の工事契約、見返り資金融資等にからみ、吉田側近は巨額の政治資金を獲得し、得たる資金はあげて総選挙並びに吉田、鳩山首班抗争にばらまかれたと伝えているのであります。(拍手)
これを要するに、本件にからみ政府のとりたる一連の強引きまわる工作は、只見川の開発によつて政治資金を獲得せんとする吉田、白洲側近閣僚等の画策せる最も悪質なる政治的陰謀であり、白洲のアメリカ行きは実に本件の国会における糾明を恐れて逃避したものであり、(拍手)今や吉田政府は、只見川をめぐり、戦後最大の疑獄事件の様相を呈するに至つたのであります。(拍手)
吉田総理は、これに対し、国民の疑惑を一掃する良心と誠意があるならば、今回の紛糾の原因となりたる只見川二地点の開発許可を白紙に返し、電源開発促進法の定むるところにより、電源開発調整審議会において、技術的、経済的見地から十分検討を加えるか、あるいは上田、本名の開発工事を電源開発株式会社に当らしむるか、この二点のいずれかを選び、電気事業の健全なる発展のために、公正にして明朗なる電源開発の態度を明らかにすべきであります。(拍手)この点に関し、吉田総理の明確なる答弁を求めるものでありまして、その答弁いかんによりましては再質問の権利を留保いたしまして、私の緊急質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣小笠原三九郎君登壇〕
○国務大臣(小笠原三九郎君) 栗田君にお答え申し上げます。
只見川の水利権の変更その他電源開発に関しまして政府のとつた措置につきましては、東北電力、東京電力両会社の実情につき慎重に検討を加えた結果、現下の急迫した電力事情を考えると、電源の早期開発は一日もゆるがせにできない事情にあるので、電源の早期かつ経済的開発をはかるため、東北電力をして急速にこの工事に着手せしむることとし、また所要の開発資金の融資をいたした次第であります。通産省といたしましては、本名、上田両地点につき公共事業令に基く許可を行うにあたりまして、工事所要資金調達ができるかいなかを確かめる必要上、大蔵大臣に対して、両地点開発の本年度所要資金約二十億円を要するうち、十二億円程度を見返り資金より融通し得るやいなやを照会したのであります。これに対しまして、大蔵大臣より、両地点を開発する上において見返り資金より融資を必要とする額については融資を考慮する旨の回答が通産省にあつた次第であります。
公文書偽造の事実については、さような事実はまつたくございません。八月一日付書類の引継ぎを受けており、通産省としては成規手続による書類に基いているのでありまして、ただいま申し上げた通り、公文書偽造等の事実はまつたくございません。
さらに、政府においては、二十七年度の見返り資金対象工事としての新規開発地点は、各地区一箇所、全国九箇所と決定し、それぞれ政府資金の融資を行うことといたしているのであります。政府資金の総工事費に対する割合は六割を確保すべく、目下関係省、開発銀行等と協議中であり、まだ最終的決定までには参りませんが、おおむねその目標の確保は可能と考えておるのでありまして、東北電力の場合と同様、他の会社の場合にも行うのであつて、何らふつり合いを生ずるがごときことはないものと信じております。(拍手)
〔政府委員愛知揆一君登壇〕
○政府委員(愛知揆一君) お答えいたします。本名、上田開発資金の昭和二一十七年度融資見込額は十二億円という計画になつておりまするが、これは、本年度の見返り資金投資計画額の三百億円のうちに、未計画分が五十三億円ございましたので、そのうちから充当することが適当と考えたわけでございます。なお、この十二億円の計画の内訳は、第三・四半期分が九億円、第四・四半期分が三億円と見込まれておるのでありまして、今日までに現実に貸し付けられました額は六億円でございます。なお残りの六億円につきましては、先ほど申しました未計画分から充当することが可能であると考えられるのでありますが、なお充当ができません場合におきましては、予備費のうちから支出することが可能であるのでございます。従つて、本件の実施のために他の計画に支障を来すというようなおそれは絶対にございません。(拍手)また本名、上田に対する十二億円の計画は、新規工事に対しましては工事費の六〇%を出すということが一般の基準でございまして、その基準通りにいたしておるのでありまするから、本名、上田につきましても、他の計画に比較いたしまして、不正、不純というようなことは絶対にございません。(拍手)