公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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書評 『嘘だらけの日X近現代史』シリーズ 倉山満

2017-03-01 07:53:52 | 麻薬

三国干渉に何故ドイツ帝国が加わるのか理解できた。なるほどなあ。それにしても見事にドイツ帝国包囲網を媒介した。1907年日露+日仏+英露 協商に日英同盟ー露仏、小村壽太郎の働きは見かけ以上に重要な意趣返しは偶然だったのだろうか?憲政史観とも言える著者の外交と憲法の極めて明快な整理「戦争に勝つために憲法がある」、近現代を見れば誰もが同意できる。本来ならばこのシリーズから読むべきだったのかもしれないが、人間社会の生産性は人口と、種族集団性、知的有機性、物的有機性(交易及び財の保存)の掛け算に依存する。1990年までの日本はこの四つのファクターのいずれも上昇していた。種族集団性を構成するものが、言語統一の下の憲法である。コレがないときは生産性がゼロで停滞社会になり、やがて他国に支配される。倉山満氏のいう戦争に勝つために憲法(憲政の常道)があるというのはこのような意味で正解である。

このシリーズ、だいたいは文献事実と当事者証言に忠実なのだが、倉山氏の脳内フィルターで陰謀歴史観を必要以上に(くそみそいっしょに)敵視しているので、つまらなくしています。文筆家は避けるべき陰謀論ですが、ロスチャイルドだけが陰謀(犯罪を含む)を張り巡らしているのではなく、複数の戦争計画が日米開戦に集結したと考えるのが公平ではないかと思います。

日本の海軍力が過剰に評価されていたという倉山氏にとってはトンデモ説も多少は考慮してもよいのではないだろうか。というのも、現代の核兵器(移動手段も含む)体系に相当するものが海軍であったという時代が、19世紀から20世紀の初頭にかけて続いていたし、国際的常識だったことは忘れてなならないポイントなんだから。

(左からヘンリー・フォード、ハーディング大統領、エジソン、ファイアストーン 1921年、ハーディング大統領が疑惑の病死をする2年前の写真)
レインボー戦略を軽く見るからハーディング大統領の評価がまるでできていません。ハーディング大統領を歴代最低の共和党大統領とするのは、国際主義者の公式見解です。米国にとっては太平洋支配を目指して、障碍となる日英同盟を骨抜き(米国を発動要件から除外)にしたハーディング大統領功績、つまり米国を太平洋国家に方向付けした功績は多大です。但し、国際主義者に反旗を翻し、単独講和したという一点だけを理由として毒殺されたと私は見ています。この謎を無視するのは倉山氏が正統派帝国憲法=憲政史観派のような顔をしながら、実は国際主義者の擁護者なんじゃないのかと私は疑います(感想レベルの話;根拠はない)。ハーディング大統領がサンフランシスコのホテルで急死した後の死体解剖をフローレンス夫人が拒否し主治医のソーヤー博士も急死、直後に夫人も急死するという一連のいかにも不自然な成り行きで、真相は闇の中ですけど。現職大統領の暗殺でしょう。

彼の最後を直視したならば、決して日英に挟撃されると言うのはハードランディングの妄想ではなく、英国は米国を金融で盗み取ろうとしていたし、実際にアメリカ合衆国がクラウン(シティ-イングランド銀行は1815年からロスチャイルドのものです-と米系金融資本家)に盗み取られる直前の大統領がハーディング大統領であって、盗みとられた事実は今日に至っても影響し、FRBとIMF=世銀が鼎立している。

そう言いながらも、スターリンやコミンテルン、コミュンフォルムの話になると学術からの誹謗を避けたいのか、何が本当かわからないとして倉山氏は筆をごまかしている。北一輝、大川周明とともに猶存社の中心メンバー国家改造右翼であった満川亀太郎は、1919年(大正八年)5月には、「何故に過激派を敵とする乎」と題する文章を発表し、ソ連政府を承認すべきことを訴えている。ここにも1919年が断層となって露頭している。

どんな政治(社会)イベントにも裏の本命の計画はあるというのが、倉山氏の得意な「賢人の知恵」KKJKKSSにまさる賢者の知恵だということを、加えてみることをおすすめする。しかしそんなことは百も承知である倉山氏は、予め裏の本命の計画を拒絶して描いたところに(故に現代に近づくほどつまらなくなる)倉山教科書的シリーズの面白みに減退がある。フランス革命の近著もそういう計算なんだろう。間を真実で埋めるのは劇薬すぎるので、嘘の常備薬が売れるという割り切りが世の常か。

歴史常識批判のシリーズは批判の限りでは面白みがあるのですがね。これも文筆業の限界なんでしょうか。

もう一つX=ロシア編の中で残念なのは、コソボを単なるバルカンの地域と見ていること。歴史学としては、重要な利権基軸、アフガントルコ麻薬ルートを理解しておかなければならないところです。アフガン+トルコ+コソボは一貫した麻薬利権(いまだにこれ以上に利益の上がる物販ビジネスはない)の歴史と戦争の関係に目を向けるべきです。なぜアヘンの産地であり集積地かつ消費地である熱河を関東軍が取りに行ったのか、これさえも不明になるでしょう。意図して避けるのはネット枠の文化芸者になりたいからなのでしょうか。


CIAに狙われては文筆家としては命あっての物種かな。なお『小和田恒所長は満場の法廷で、「国際法に独立宣言を禁止する条文はない」と述べた。判断に法的拘束力はないものの、コソボでは人口の9割を占めるアルバニア系住民が歓喜し、車のクラクションを鳴らすなどして祝った。ファトミル・セイディウ(Fatmir Sejdiu)大統領は、独立をめぐるすべての疑念が取り除かれたと語った。』コソボの独立が何故必要なのかよく考えてみたのかな皇太子の義理の父は。。

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