公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

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KININARU研究 開発した AI は電気伝導度を測定するだけで、試料を破壊することなく内部の構造を見る

2022-06-09 03:22:00 | 白金ナノコロイド

将来金属の物性にナノ粒子が介在しているかいないか、非破壊で解析できる。


大門助教らは、量子力学的な干渉(注2)を解読する AI を開発し、電気抵抗の情報だけから金属内部の微細な構造を復元することに成功しました(図 2)。磁場の大きさを徐々に大きくすれば、波の強め合い弱め合いが交互に変化し、電気伝導度に振動が現れます。この現象はアハラノフ=ボーム振動と呼ばれ、電子の波の性質を表す代表的な実験として知られています。一般の金属には、試料の構造や不純物などの多くの散乱要因が存在します。結果として多くの散乱波が積み重なって干渉し、電気伝導度を変化させます。この電気伝導度は、散乱要因の情報を反映しながら、磁場に対して複雑に変化します。伝導度に現れる複雑なゆらぎは「量子指紋」と呼ばれ(図 1)、試料の構造や不純物などのミクロな情報が含まれています。それにも関わらず、伝導度ゆらぎのあまりの複雑さから、量子指紋を理解しミクロな情報を引き出すことはできないと考えられてきました。そこで本研究では、量子を理解する機械学習手法の開発を行い、複雑な量子指紋から金属のミクロな構造および量子干渉情報を解読することを目指しました。本研究では、学習したネットワークを解析し、潜在空間中に二次元的な層状のデータ構造が形成されていることを発見しました(図 3)。詳細な解析によって、二次元層構造の面内方向には金属の構造に由来した古典的情報が、厚さ方向には波動関数の干渉に由来した量子的情報が埋め込まれていることを突き止めました。このことは、今回開発したネットワークが古典的な情報と量子的な情報を区別して理解していることを表しています。このよく整理された情報空間の形成により、量子指紋の情報だけから金属のミクロな構造と量子干渉の情報を同時に生成することを実現しています。




 
今回開発した AI は、金属内部のミクロ構造を観察する非破壊イメージング技術として工学的応用が期待されます。非破壊イメージングとは、試料を切断するなど破壊することなく内部の構造を観察する技術です。今回開発した AI は電気伝導度を測定するだけで、試料を破壊することなく内部の構造を見ることができます。本研究で開発した AI は、1 ナノメートル程度の変化に敏感な量子干渉効果を利用しているため、ナノメートルという極めて小さな分解能で金属の内部を観察できる可能性を秘めています。本成果に端を発し、AI によるナノ構造イメージングという新時代の技術の発展が期待されます。







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