細目一党に寅兄説教強盗という設定が出てくるが、説教強盗は実際に大正末期から昭和の初めに出没した。これを追った当時の朝日新聞記者が警察からサンカという謎の漂泊民の事を知り、すっかりサンカ作家三角某となって多くのトンデモ本を残した。その記載の多くは推測でできてるのは当然だが、権力が記録のない一族を使って謀略を張るという事は今もあるだろう。生業は昔とは違うだろうが窃盗品の売買と地下経済を結ぶには地下金融の番人が必要なのかも知れない。漂泊の民は江戸時代から徳川に迫害されていた。明治になると戸籍がまた迫害し、不定住の民を許容しなくなった。
サンカ(山窩)は、日本にかつて存在したとされる放浪民の集団である。本州の山地に住んでいたとされる。定義については後述のように激しく論争されてきた。呼称は日本の警察による便宜上のものであり、差別用語としても使われる。
岡本綺堂 山の秘密など参考に
人気シリーズ天切り松闇語り、文庫版、水谷豊が解説を書いている。役者として本を読むとはそういう性なのか。
我々の世代には大正から昭和の一桁くらいまでの世相や風情は全く想像ができない。本を読んでも色気が付いてこない。空気が吸えない。そこを補ってくれそうな天切り松闇語りシリーズはありがたい。もしかしたら、歴史上の昭和初期よりもやや古風な昭和かもしれない細目の安吉一家の意地の世界を息抜きに読み続けると、べらんめえになっている。
そして寅兄の203高地