The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

グラナダ版『海軍条約事件』: (4)

2018-02-07 |  ∟グラナダ版SH
グラナダ版 ”The Naval Treaty” (4)

The Adventure of Sherlock Holmes S01E03
(1984年放送)


・・・・続き : その(4)最後です


ホームズが経緯を話し始めます。
ワトソンとフェルプスと別れた後郊外の昼下がりを楽しんだ(前述のお気に入りのシーン)
日暮れまで待ち、フェルプス邸の馬小屋へ行った。 目の前はフェルプスが寝ていた部屋。 そこでは
読書をしているアニーの姿が見えた。
10時頃アニーは読書の後鍵をかけて部屋を出た筈だと(ホームズの指示通り)
「彼女は実にしっかりした人だ。 彼女の協力なしには条約書は戻らなかっただろう」と云うホームズ。
見張りは辛かったが 大きな試合を控えたスポーツ選手の様に興奮していたのだと。

すると、午前2時頃窓の外に人影が現れ部屋の中に入る様子が見えました。

真っ暗な部屋の中で怪しい人影はソファーの下を探り、そこに隠してあった条約書を取り出したところ
にホームズが部屋に侵入します。

ここで2人の争いが(シルエットだけで描かれている珍しいシーンです)

そしてその犯人はアニーの兄のジョセフでした。「私をどうするつもりだ」と云い刃物でホームズに襲
い掛かり、手の甲を切り付けるジョセフにたいして、ここで、ホームズはステッキから剣を抜き応戦します。
 (これ初めてですね、何時も持っているステッキが仕込み杖だったんです)

条約を取り戻したホームズは、ジョセフに「さあ、逃げるが良い」と逃します。 慌てて逃げだすジョ
セフ。
それを聞いていたワトソンは、驚いて「逃がしたのか?」と尋ねると、「フォーブス警部には連絡した」
と言うホームズ。
この件が表ざたになると、政府には都合の悪い事になるだろうし、ホールドハースト卿はフェルプスに
とっても表ざたにならない方が良いと考えたホームズの判断でした。


フェルプスはジョセフが犯人であった事に驚き、怒りをあらわにします。

ジョセフは株で大損をして厳格な父親にはそれを隠していた様だ。 そして、フェルプスが残業をする
事がある事を知っていたので ロンドンで食事をした後フェルプスの事務所を訪ねた。事務所には誰も
居なかったが、フェルプスが建物内に居ると思いベルを鳴らした。(何故ベルが鳴ったのかの謎が解明
された)
その時机の上にある条約書が目に入り、それが重要な書類であり 莫大な金ずるになると直感した。
そして一人屋敷に戻ると安全な場所に隠した(ソファーの下)。 何れロシアかフランスか高値を付け
た方に売るつもりであったが、フェルプスがその部屋で寝込み 条約書を取り戻す機会を失った。 
フェルプスが1人で寝る事になった時を見計らったように侵入者が現れた事で犯人が分かったのだ。
以上がホームズの説明でした。



ワトソンは「君はその部屋に条約書がある事が分かっていたのか?」と尋ねますと、「部屋の中にある
事は分かっていたが探し出すのは一苦労だ。 だから、本人に案内して貰ったのだ」とホームズ。

そんな時訪問を知らせるベルが鳴ります。

ホームズが「フェルプスさん、ご婦人の到着だ」、フェルプスは「アニーか?」と驚くと ホームズは
ここに来るように彼女にメモを残して来た。だが彼女は兄の犯罪については何も知らない」と云います。
そして、フェルプスは全てを自分の口から話す。 貴方には感謝の言葉も無いとホームズに握手を求め
ますが、ホームズは握手の代わりにステッキを手渡します。


ほっとした様子でパイプをくゆらすホームズのもとにハドソンさんがやって来ます。
「ホームズせんせい、お湯ですよ」(お顔を洗って下さいって事ね)←これが最初に書いた様にハドソン
さんにお湯を頼むホームズの言葉にリンクして落ちを付けている。上手いな~と思わせるシーンです)
それを聞いたホームズの「ありがとう」と云う笑い顔が印象的。


嬉しそうにワトソンと別れを言い、外で待つアニーの元に降りていくフェルプス。

(アニーを呼び寄せていたシーンは正典には描かれていませんが、ホームズの思いやりや優しさが表現
されている様です)
(※ 正典にも触れられていませんが、フェルプスがアニーにどの様に説明したのか、又ジョセフに対
してはどう対処されたのか・・・が気になるところ)

このエピソードは、何度も書きますが(ひつこい)何と言ってもジェレミーの麗しさ満開で何時もと異
なり色々な衣装のホームズが見られる嬉しさがあります。
そして、ジェレミーの麗しさばかりに気を取られていたものの、今回改めて見直すと、ストーリーとし
ても(これが本筋じゃない?)なかなか興味深く 陰惨な殺人事件も無くホームズの謎解き、推理、
シャーロック・ホームズらしい本格推理として楽しめる作品だと改めて感じさせられました。

そして、政府やフェルプスの名誉を守るため、敢えて犯人を捕らえず警察の判断に任せるという粋な計ら
いを見せます。と言うか、ホームズにとっては謎解きさえ解決すればそれだけで良いという判断なのかも
知れませんが。

何と言ってもホームズが溌剌としていてアクティブだし、そして感情表現も豊か、若々しい柔らかい表情
等々ホームズファン、ジェレミーファンにも嬉しい作品です。

ワトソンとの関係も丁度良い塩梅だし、いつも通りハドソンさんがキュートで可愛い(同じ?)。
ホームズにとってお母さん的な役割もあり、又今回もホームズのお手伝いもしています。
そう言えば、「空き家の冒険」でもハドソンさんはお手伝いをしていましたっけ。 ホームズのダミー
人形を隠れながら時々動かすという大役を担っていましたねえ。
正典ではあまり大きく取り上げられていないハドソンさんですが、グラナダ版では色々な点で存在感が
大きいのですね。 
そして、あれこれこき使いつつも ホームズにとってもハドソンさんは癒しになっているのでしょう。
見ていても和みます。 お茶目でキュートなハドソンさんの存在感が魅力になっています。

麗しいジェレミーを見たさに再度ジックリ観直して、ストーリーも非常に面白い作品であった事を再認識
したエピソードでした。(本末転倒)




お付き合い頂き有難うございました。






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● 『グラナダ版シャーロック・ホームズ』 : Index








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