母、八重子は84歳の時(1998年)、還暦の娘、筆者が、アメリカで教育学博士号を取得 した時、流麗な墨でこう揮ごうした。 静かな泉の水は涸れる: 「学び続けよ!」というメッセ-ジである。筆者はこの語句を “Constant renewal keeps the oasis alive” と意訳し、アメリカに登録する博士論文の目次前のページにWords of Wisdom by Motherとして挿入した。今も母のメッセージのプレッシャーがあり、心身には休憩がない。この母は今年の2月、誕生日前日に96歳で死去、「鳥取県立米子高等女学校」と言うのが最後の言葉だった。法勝寺という田舎から電車通してここで多く学んだことが彼女の誇りだったようだ。 父春三は88歳の時(1996年)、力強い筆でこう揮ごうした。 直進:今でいう大検、当時の文検を独学でパスし、高等学校で教えてきた父の、この語句の意は易しいが実行は難しい。「真ッ直ぐ進め」とは一体何をしようか、と、今アメリカの大学の教職を終えて帰国するにあたって考える。アメリカでは日本文化を教えてきたからだ。うっすらと見えてきているビジョンは日本の平和を次世代に繋げていく活動だ。奥深い伝統と魅力的な文化を有する日本の平和を次世代に残すために精進し、直進することが生涯精進し続けた両親の遺訓を守っていくことだろうと考えている。(彩の渦輪)