■一方、懲戒請求を受けた対象弁護士からは、次の弁明書が提出されました。
↑
大型店との共存で話題となった地元小売業組合だがセキチューにより退去させられる憂き目に。↑
↑
現在は食堂と100円ショップのみ営業中だがともに今月下旬までに退去しなければならないという。↑
*****
弁明書*****
PDF ⇒ 20170405b16_benmeisho.pdf
事案番号 平成29年(綱)第5号
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
対象弁護士 池末 登志博
弁 明 書
平成29年4月5日
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
対象弁護士 池末 登志博
第1 請求の趣旨に対する答弁
対象弁護士池末登志博につき、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
との決定を求める。
第2 懲戒を求める事由に対する認否・反論
1 1項について
(1)懲戒請求者が前橋地方裁判所桐生支部、平成26年(ワ)第26号貸借権確認等請求事件、同平成28年(ワ)第19号建物退去土地明渡等請求反訴事件において、同主張をしていた事実はこれを認める。
(2)平成29年2月9日言渡の判決では、同事実は認められていない(乙1)。
2 2項について
(1)金1140万円についての争いは平成25年10月17日になって初めて発生した訳ではなく、預託金残金の争いは本件賃貸借成立当時から存在していたものと思われる。
(2)そして、平世13年3月31日、平成12年5月時点での保証金の残高が3693万6789円である旨、合意したとするのが懲戒請求者の主張であった。
(3)懲戒請求者がセキチューを被告として訴訟を提起したのは平成26年2月20日である(乙2)。
3 3項、4項について
(1)懲戒請求者が対象弁護士に訴訟代理を依頼し、上記訴訟を進めてきた事実はこれを認める。
(2)セキチューとの和解を強引に進めるようになった事実はこれを否認する。
(3)同訴訟の原告代表者本人、証人尋問以降の経緯を時系列に纏めると以下のとおりとなる。
①平成28年8月9日原告代表者及び証人の尋問が行われる。
②同年10月4日午前11時、最終準備書面提出。裁判官から和解の勧め有り。
③同年11月10日11時45分和解期日、裁判官が懲戒請求者の主張は判決になると認められない旨の心証開示し、和解で解決するよう、指導有り。
④同年12月6日4時30分和解期日。
⑤同年12月28日午前10時30分、結審。
⑥平成29年2月9日判決言渡。
(4)和解内容は懲戒請求者が土地建物を明け渡し、セキチューは賃料等一切請求しない、というものであった。
頭書、懲戒請求者代表者森嶋は同和解を拒否したが、次にこれを受け入れる方向で検討する旨、裁判所に回答した。しかし最終的には組合員の同意が得られないとして判決に至った。
4 5項について
(1)判決が敗訴となった事実はこれを認める。
(2)懲戒請求者が角田弁護士を通し、訴訟記録を取り寄せた事実は不知。
(3)上記のとおり、平成28年12月の段階で裁判官からの心証開示があり、判決の内容は懲戒請求者が敗訴であることが予想されていた。そして、懲戒請求者の代表者は対象弁護士に対し、他の組合員が他の弁護士をたって控訴すると言っている、と告げた。
(4)そこで、対象弁護士は懲戒請求者に対し、判決が言い渡されれば上記控訴の都合上、訴訟記録が必要となると考え、訴訟記録、判決正本、預かり書類一切を懲戒請求に交付した(乙3)。
(5)従って、本件弁明書も対照弁護士の訟廷日誌及び残存書面(訴状写、判決写、準備書面等)の極限られた書類及び対照弁護士の記憶により作成しているものである。
5 6項について
(1)同事実は否認する。
(2)本件懲戒請求書が対象弁護士に送達するまで、この点に関する懲戒請求者の対象弁護士に対する問い合わせは全く無かった。
6 7項について
(1)この証拠書類はこの裁判の勝敗を決定するもの、とする主張はこれを否認する。
(2)なお、この証拠書類がなにを意味し(証拠書類の特定)、裁判の勝敗をいかなる理由で決定するものなのか、懲戒請求者に釈明を求める。
(3)その余の事実は不知。但し、懲戒請求者は刑事の忠告により本件の控訴をせんとした旨、主張しているが、上記4項(3)の懲戒請求者代表者の発言と矛盾しているものである。
7 8項について
(1)証拠書類の改竄の事実はこれを否認する。
(2)証人尋問後の陳述書について対象弁護士は、訴訟手続き上、証人尋問の後に同内容と反する陳述書を出すのは好ましくない旨、助言した記憶はある。
(3)重要書類を提出していない事実は否認する。
(4)これを懲戒事由とするのであれば、重要書類を特定し、これがいかなる意味で重要なのか、対象弁護士が懲戒請求者の意思に反し提出しなかったのか否か、詳しく主張されるべきである。
8 9項について
(1)別紙3について付箋を付けて表以外の記事事項が映らないコピーを作成した事実はこれを認める。
(2)これは懲戒請求者の主張書面(準備書面)に同コピーを添付したもので、準備書面において懲戒請求者の保証金残金の主張を整理したものである。従って、証拠として提出したものではなく、懲戒請求者の言いがかりに過ぎない。
第3 対象弁護士の主張
1 上記のとおり、懲戒請求者の懲戒事由の釈明事項に答えていただきたい。
2 対象弁護士の手元に訴訟記録はほとんど存在しない。同訴訟記録の提出を求める。
3 懲戒請求者代表者は平成29年2月9日か10日本件訴訟記録を受領した後、電話で対象弁護士の事務局に対し、本件事件について今後も協力してくれと伝えた。従って、この時点では、少なくとも、証人尋問後の陳述書を提出していない事実等は認識していたはずである。
以上
*****
弁明書2*****
事案番号 平成29年(綱)第5号
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
対象弁護士 池末 登志博
弁明書2
平成29年4月19日
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
〒373-0852 群馬県太田市新井町516-4 グランビル太田201
いちろう法律事務所(送達場所)
電 話 0276-49-5537
FAX 0276-49-5711
対象弁護士代理人 弁護士 青 木 一 郎
第1 平成29年4月9日付懲戒請求書(追加分)の懲戒請求の趣旨に対する答弁
対象弁護士池末登志博につき、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
との決定を求める。
第2 平成29年4月9日付懲戒請求書(追加分)の懲戒を求める事由に対する認否・反論
1 懲戒請求者と東京弁護士事務所や顧問会計事務所との遣り取りは不知。
2 懲戒請求者が円空茶屋工事に係る1470万1100円分の領収書の証拠提出を求めたにもかかわらず、対象弁護士がこれを無視した点は否認する。
対象弁護士が懲戒請求者側から当該領収書を受領したり、これを証拠提出するよう求められた事実はない。
懲戒請求者代表者は、平成28年5月16日付陳述書(乙4)の第6項のなかで、円空茶屋建設に関して触れているが、そこで固定資産台帳兼減価償却計算書(これは裁判の証拠として提出している。)を援用していたものの、領収書の話は出てこない。もし領収書を提出して欲しいとの要望があったならば、この陳述書のなかで触れられて然るべきであるが、そうでなかったのである。懲戒請求者代表者は、当該陳述書の内容を確認した上で、署名押印しているのである。この事実は、上記領収書が対象弁護士に交付されていなかったことを示している。
以上
↑
円空茶屋。↑
*****
弁明書3*****
事案番号 平成29年(綱)第5号
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
対象弁護士 池末 登志博
弁明書3
平成29年4月27日
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
〒373-0852 群馬県太田市新井町516-4 グランビル太田201
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対象弁護士代理人 弁護士 青 木 一 郎
第1 平成29年4月14日付懲戒請求書3(追加分3回)の懲戒請求の趣旨に対する答弁
対象弁護士池末登志博につき、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
との決定を求める。
第2 平成29年4月14日超過請求書3(追加分3回)の懲戒を求める事由に対する認否・反論
1 ①について
(1)ア 懲戒請求者が甲第13号証の原本を証拠として対象弁護士に提出した点については否認する。
イ また、懲戒請求者が述べるような裏が印刷されたとする甲第13号証の原本を対象弁護士事務所で事務員とともに確認したというのであれば、その点は否認する。
ウ その他の部分については、認否の限りではない。
(2)ア 対象弁護士は、当初、超過請求者から甲第9号証の写しを預かり、これを裁判所に証拠として提出している。したがって、対象弁護士は、甲第9号証の原本は預かっていない。
また、甲第13号証も同様に、懲戒請求者から甲第13号証の写しを預かり、これを裁判所に証拠として提出している。
その後、対象弁護士が懲戒請求者に甲第13号証の原本を探させて、原本が存在したため、それを裁判官に確認してもらった記憶はある(その原本というのは、落書きがあったり、敗れてくしゃくしゃのものだった)。
したがって、対象弁護士は、懲戒請求者が述べるような裏が印刷されたとする甲第13号証の原本は預かっていない。
なお、懲戒請求者は縷々述べるが、いずれにしろ裁判所において甲第13号証の原本そのものの存在は認められているのであるから、裏面を提出するか否かが本件訴訟においてどれほど重要であるかは理解できない。
イ 超過請求者が述べるような裏が印刷されたとする甲第13号証の原本を対象弁護士事務所で事務員とともに確認したということはなく、事務所で確認したのは、裏が印刷されていない甲第13号証である。
2 ②について
(1) 対象弁護士が反訴状に基づき計算した損害額を提示し、和解を勧めたこと及び懲戒請求者らの意向で和解しなかった点は認めるが、懲戒請求者の評価部分については認否の限りではない。
また、対象弁護士が懲戒請求者を脅迫した点は否認する。
(2) 裁判官は、裁判の席上で、判決に至った場合における反訴原告勝訴、懲戒請求者ら敗訴の心証を開示した。
そのため、対象弁護士は、超過請求者に、反訴状に基づいた損害額の試算をして、判決に至った場合の損害見込み額約4546万円を提示した。そのときに対象弁護士が資産・作成したメモが甲21である。
対象弁護士は、和解であれば建物を明け渡すのみで、懲戒請求者らに上記のような損害が被ることを回避することができたため、依頼者の利益を考え懲戒請求者に和解を勧めたのは事実である。
しかし、対象弁護士が懲戒請求者に和解を強要した事実はない。現に、懲戒請求者らのいこうで和解せず、判決に至っている事実こそ、対象弁護士が和解を強要していないことの証左である。
以上
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弁明書4*****
事案番号 平成29年(綱)第5号
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
対象弁護士 池末 登志博
弁明書4
平成29年5月25日
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
〒373-0852 群馬県太田市新井町516-4 グランビル太田201
いちろう法律事務所(送達場所)
電 話 0276-49-5537
FAX 0276-49-5711
対象弁護士代理人 弁護士 青 木 一 郎
第1 平成29年5月10日付懲戒請求書(4)の懲戒請求に対する認否・反論
1 「1①について」
(1) 否認する。
(2) 懲戒請求者は、対象弁護士及びその女性事務員が甲第13号証の原本を預かったにもかかわらず、これを隠蔽している旨主張しているが、事実でない。
繰り返しになるが、平成29年4月27日付弁明書3で述べたとおり、甲第13号証については写ししか預かっていない。対象弁護士もその女性事務員も、懲戒請求者が述べるような裏面に記載等のある甲第13号証の原本を預かってなどいないし、これを事務所で確認をしてもいないのである。事務所で確認をしたのは裏面の記載等がない甲第13号証である。
(3) なお、懲戒請求者は、甲第13号証の原本にされた公証役場の押印日を強調しているが、これが事案解決との関係で重要な意味があるとは考えられない。
判決文(14頁)を見ると、保証金上乗せの有無に関して、甲第13号証が原告(懲戒請求者)の有利な事情として判示されなかったのは、「誰の押印もなく、書面の体裁も備忘のためのメモと考えられることからすると、原告の主張を受け入れたことを示すものとはいえ」ないとされており、被告側の押印がないことが重視されている。裁判所は、甲第13号証の原本の存在を前提としていたし、日付についても特に問題視していなかったのである。
これに対し、懲戒請求者は、判決文の「誰の押印もなく」との記載に関して、原本の裏面に公証人の押印があったと反論するかもしれないが、もしそのような公証人の押印があったとしても、判決への影響はない。原告(懲戒請求者)側が公証人に押印してもらったとしても、被告が原告主張を受け入れるか否かとは関係がないからである。
いずれにせよ、甲第13号証の原本に重要な証明力はない。
2 「2②」について
(1) 「1.」について
ア 否認する。
イ 懲戒請求者の主張するような改ざん等はしていない。
(2) 「2.」ないし「5.」について
ア 何を懲戒事由だと主張しているのか分からない内容であり、認否の限りでない。
イ なお、稲垣則夫氏については呼出で人証申請をし、裁判所から採用決定を得たが、本人不出頭のため、尋問できなかったのである。
(3) 「6.」について
ア 別紙Gの表を対象弁護士に提出したという趣旨であれば、否認する。
イ 対象弁護士は、懲戒請求者から別紙Gの表を提出してもらったことも、見たこともない。
以上
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弁明書5*****
事案番号 平成29年(綱)第5号
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
対象弁護士 池末 登志博
弁明書5
平成29年6月5日
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
〒373-0852 群馬県太田市新井町516-4 グランビル太田201
いちろう法律事務所(送達場所)
電 話 0276-49-5537
FAX 0276-49-5711
対象弁護士代理人 弁護士 青 木 一 郎
第1 平成29年5月12日付懲戒請求書(5)に対する認否・反論
1 全体について
具体的にどの部分を指して懲戒理由として主張しているのか不明である。
2 なお、対象弁護士が相手方代理人に強く反論しないとか、証拠の偽造等という意味で証拠書類を細工していたという事実はない(平成29年4月5日付弁明書で述べた通り、証拠提出ではなく、準備書面に添付する表として書類に加工したことはある)。
以上
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弁明書6*****
事案番号 平成29年(綱)第5号
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
対象弁護士 池末 登志博
弁明書6
平成29年6月29日
群馬弁護士会綱紀委員会 御中
〒373-0852 群馬県太田市新井町516-4 グランビル太田201
いちろう法律事務所(送達場所)
電 話 0276-49-5537
FAX 0276-49-5711
対象弁護士代理人 弁護士 青 木 一 郎
第1 平成29年6月8日付懲戒請求書(6)に対する認否・反論
1 「(1)」について
(1) 否認する。
(2) 平成29年4月25日付弁明書4で述べたとおりGを提出して貰ったことも、見たこともない。
2 「(2)」について
(1) 否認する。
(2) 甲13号証の原本とされるものについて、用語に混乱がある可能性があるので、次のとおり整理する。
ア 当初、対象弁護士は、甲13号証として、裏面に記載のない表面のみ印刷された写しを証拠提出した。
その後、対象弁護士は、懲戒請求者の代表に対し、その原本を探すようにお願いしたところ、同人は、破けてくしゃくしゃになったものを探し出してきた。対象弁護士が、このくしゃくしゃになったものを確認したところ、裏面には懲戒請求者の主張するような記載がなかったと記憶している。この裏面の記載のない表面のみ印刷されたものについては、裁判官に確認して貰った後、懲戒請求者の代表に返している。
イ これに対し、懲戒請求者は、裏面に記載のある原本が存在すると主張し、更に、上記の対象弁護士が確認したものがそれである旨主張する。
しかし、そもそも裏面に記載のある原本が存在するか明らかでないが、上記の対象弁護士が確認したものは裏面に記載がないものである。
これまで対象弁護士が甲13号証の原本を預かっていないと述べてきたのは、懲戒請求者が主張するような裏面に記載のある原本はあずかっていないということである(弁明書3の2頁目)。
ウ 以上の通り、対象弁護士は、懲戒請求者のいう裏面に記載のあるものは確認していない。また、裏面に記載がないものについては懲戒請求者の代表者に返却している(そのため、現在は預かっていない)。
いずれにせよ、懲戒請求者の主張は事実でない。
以上
*********
■以上の結果、群馬弁護士会(会長・釘島伸博弁護士)は、2017年9月27日付で、池末登志博弁護士を「懲戒しない」とする決定書を当会会員に送ってきました。
*****
群馬弁護士会からの事務連絡******
PDF ⇒ 20170928mm.pdf
平成29年9月28日
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
代表理事 森 嶋 善次郎 殿
群馬弁護士会綱紀委員会
委員長 藤 倉 眞
事 務 連 絡
平成29年(綱)第5号事実に関し,「懲戒請求手続進捗伺書」と題する書面を受領いたしました。
本件については,9月26日付けで議決され,9月27日付けで決定が出されました。本日午前に配達証明取扱いの書留郵便で送付いたしました。
よろしくお願いいたします。
*****
決定通知書*****
PDF ⇒ 20170928mm.pdf
平成29年9月27日
懲戒請求者大間々あかがね街道市協同組合
代表理事 森 嶋 善次郎 殿
群馬弁護士会
会長 釘 島 伸 博
懲戒請求事実の決定について(通知)
本会は,下記事業につき,綱紀委員会の議決に基づき別紙のとおり対象弁護士を懲戒しない旨決定したので,綱紀委員会及び綱紀手続に関する会規第55条第2項の規定により,綱紀委員会議決書の謄本を添付して通知します。
事案番号:平成29年(綱)第5号
懲戒請求者は,この決定について不服があるときは,弁護士法第64条の規定により,日本弁護士連合会に異議を申し出ることができます。
なお,異議の申出は,この通知を受けた日の翌日から起算して3か月以内に,書面によってしなければなりません(郵便又は信書便で提出した場合,送付に要した日数は算入しません。郵便又は信書便に当たらない宅配便,メール便,ゆうパックなどの場合,送付に要した日数は算入されます。)。
異議申出書の記載事項及び必要部数については,以下のウェブサイトを御覧ください。
*懲戒請求本案に関する異議申出の方法について
http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/autonomy/chokai/tyoukai_igi.html
(又は,検索サイトで「懲戒異議申出』と検索してください。)
インターネットを御利用にならない場合には,ウェブサイトと同内容の書面を郵送かファックスでお送りしますので,以下までお申し付けください。
*異議申出書の提出先・問い合わせ先
日本弁護士連合会(担当:審査部審査第二課)
〒100-0013東京都千代田区霞が関1-1-3
電話 03-3580-9841(代)
*****
議決書*****
PDF ⇒ 20170928mm.pdf
<P1>
平成29年(綱)第5号
議 決 書
群馬県みどり市大間々町大間々1885-6
懲戒請求者 大間々あかがね街道市協同組合
代表理事 森 嶋 善治郎
群馬県桐生市相生町2-371-1 アゴラ21・1階
わたらせ法律事務所
対象弁護士 池 末 登志博(登録番号17679)
上記代理人弁護士 青 木 一 郎
主 文
対象弁護士につき,懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする,
理 由
第1 本案の概要
懲戒請求者は株式会社セキチュー(以下「セキチュー」という。)に対して賃借権確認請求等の訴訟を提起し(前橋地方裁判所桐生支部平成26年(ワ)第26号),またセキチューから懲戒請求者は反訴を提起された(建物退去土地明渡請求反訴事件同支部平成28年(ワ)第19号)。(以下本訴反訴を併せて「本件訴訟」という。)対象弁護士は本件訴訟の懲戒請求者訴訟代理人に選任された。
本件訴訟は平成29年2月9日懲戒請求者の全部敗訴となり,懲戒請求者は控訴した。対象弁護士は,控訴審ではその代理人となっていない。
<P2>
対象弁護士は本件訴訟について,証拠を変造して裁判所に提出したり,預かった書類を適正に提出しなかったなどとして懲戒請求がなされた。
第2 前提となる事実
懲戒請求者は組合員のために共同店舗の設置や運営をなしており,セキチューから土地建物を賃借していた。
上記事件は本訴としては,懲戒請求者が株式会社セキチューに対して賃借権を保有することの確認を求めるとともに,株式会社セキチューが転借人に違法に通知をしたために転借入が退去してしまい,懲戒請求者が損害を被ったとしてその賠償請求をなしたものである。反訴としては,懲戒請求者の賃料不払いを理由として土地建物の明渡しと未払い賃料等を求められたものである。
本件訴訟は対象弁護士が懲戒請求者の訴訟代理人として訴訟行為をなしたが,懲戒請求者が全部敗訴した。
なお,本件訴訟の争点は,①保証金の額,②不払い賃料の額,③増改築禁止特約違反の有無及びその背信性,④無断転貸について信頼関係破壊の事情の有無,⑤株式会社セキチューの通知の違法性及び懲戒請求者の損害額である。
第3 懲戒請求の事由の要旨
1 懲戒請求者が対象弁護士に交付した保証金などの残高の一覧表について,対象弁護士は欄外の作成者などの記名がある部分をマスキングして裁判所に提出して裁判所に提出した。
2 懲戒請求者は対象弁護士に対して,賃借中に懲戒請求老僕が店舗(円空茶屋)の建築費を支払った証拠として提出するように2通計1470万1100円の領収書を交付したが,懲戒対象者はこれを裁判所に提出しなかった。
3 懲戒請求者は保証金残高を懲戒請求者とセキチューが確認した文書として覚書と「預り保証金残高(敷金は除く)」と記載した原本を証拠として提出する
<P3>
ように預けたが,対象弁護士は後者について表面を写しとして提出しただけで,裏面の公証人の確定日付がある部分を証拠として提出しなかった。
4 懲戒請求者は本件訴訟事件の結審に際して,その代表者作成の陳述書を提出するよう求めたが,対象弁護士はこれを拒否した。
5 懲戒請求者は裁判所の和解手続きの際に対象弁護士から存在しない負債があると言われ,強引に和解するよう求められた。
6 以上について対象弁護士の行為は,懲戒請求者の権利を妨害し,弁護士の品位を失うものである。
第4 対象弁護士の弁明の要旨
1 前提となる事実に争いはない。
2 第3の1については,懲戒請求者の保証金残高の主張をするために,そのコピーを準備書面の一部として提出したものである。欄外の作成者等をマスキングしたが,証拠を変造して提出したものではない。
3 同2については預かっていない。
4 同3について、「預り保証金残高(敷金は除く)」と記載した文書はその表面の写しを証拠として提出した。その後,破損しているものを預かり(裏面がなく,表面のみ印刷されているもの),これを裁判官に見せた後に懲戒請求者に返した。また,裏面を提出しなかったとしても判決の結論に影響するものではない。
5 同4については,証人尋問後であり,その内容と反する記載のある陳述書を提出することは好ましくないと助言した。
6 同5については,裁判所から判決の確定的な見通しを告げられ,懲戒請求者にとって和解した方が有利であるからこれを薦めたものに過ぎない。
7 従って,対象弁護士は懲戒請求者の権利も妨害していないし,弁護士として失当な行為をしたものではなく,その品位に欠けるものでもない。
<P5>
第5 証拠
別紙証拠目録のとおり
第6 調査の結果及び判断
1 対象弁護士が証拠を変造したとの懲戒請求者の主張についてであるが,本件訴訟は保証金残高が争点であるので,対象弁護士の弁明のようにこれを説明するためにその残高一覧表を提出することは十分ありえること,証拠として提出するのに際してわざわざ作成者などをマスキングする意味はないこと,当該一覧表は税理士法人作成のものではあるが公の書類ではなく証拠として提出する意味もそうは大きくないものとも考えられること,準備書面の一部として提出したとする対象弁護士の弁明に対して懲戒請求者からの具体的な反論はないことから,準備書面の一部として提出したものと認められる。
よって,この点について,弁護士の品位を害したと言えず,懲戒事由は認められない。
↑(注:当会会員である懲戒請求者の説明によれば、対象弁護士が勝手にマスキングして裁判所に提出した箇所は、「(セキチューの当時の)米田経理部長と互いに合意をして確認したものです」というくだりです。この背景として、セキチューの当時の米田経理部長は、前任者の稲垣経理部長がセキチューのカネを横領したため平成14年10月に解雇されて、その後任として同社経理部長に就任したわけですが、「(前任者の)米田のせいで経理がメチャクチャでわからない」からとして、当会会員である組合代表者を高崎にあるセキチューの事務所に呼んで話し合いをしました。その結果、平成15年1月時点での残高2184万4711円で決定して、双方で「これからはこれでずっとやっていきましょう」と合意を確認し、その後、組合側は毎月きちんと支払いを続けていました。ところが、セキチューが突然テナントに退去命令を送り付けてきたため、組合側は約束違反に気付き、訴訟に至ったものであり、このセキチューとの合意に関する残高表を対象弁護士が勝手にマスキングしたことは重大な背任行為です。にもかかわらず、群馬弁護士会は不問どころか、真逆の結果判断をしていることがわかります。懲戒請求者の訴えはろくに読みもせず、お仲間の弁護士の言い分だけを聞く弁護士会の体質が如実に示されている典型です」
2 対象弁護士は円空茶屋建設費の領収書合計1470万1100円を裁判所に提出していないことは争いがない。そこで,対象弁護士がこの書類を提出するよう依頼を受けていたか否かが問題である。これについては,懲戒請求者に未払い賃料があるので解除するとのセキチューの主張に反論するものである。従って.重要な争点に関するものであり,懲戒請求者が提出を依頼したとの主張にも信用性はある。
しかし,本件訴訟における懲戒請求者代表者の代表者本人尋問に際して提出された懲戒請求者代表者の陳述書にはこの領収書の具体的記載はない。この陳述書は懲戒請求者代表者によると同人が下書きしたものを対象弁護士が体裁を整えるなどして作成したというものであり,いわゆる対象弁護士の作文ではなく,懲戒請求者代表者の主張はほぼ網羅されているものと認められる,そうであれば,本件領収書やその存在を意識した記載があるはずである。この陳述書
<P5>
では,懲戒請求者は円空茶屋の建設費に関しては固定資産台帳兼減価償却計算書を援用したのみであり,この計算書は対象弁護士は証拠と.して提出しでいる。これらのことからすれば,懲戒請求者が'との領収書を対象弁護士に交付したとまでは認められない。
3 甲第13号証の原本(裏面に確定日付がある)を対象弁護士が預かったか否かであるが,この書面は甲第12号証の内容を裏付ける重要な書証であり,しかもおそらくは提訴する少し前にわざわざ確定日付までとったのであるから,懲戒請求者が対象弁護士に預けたことも十分考えられる。そして,懲戒請求者の主張によると一度原本と写しを預けたが,他で使用するため原本は戻してもらった。その後原本を再度見せに行き,そのまま返してもらっていないとのことである。
懲戒請求者が再度甲13号証を預けに行ったことは,対象弁護士も認めるところであり,対象弁護士が一度写しのみを預かりそれを裁判所に提出後,その原本を探すように懲戒請求者に依頼したからとのことである。
当該証拠明番を懲戒求者代表者から確したところ,甲13号証は写しと記載されていることから,裁判所に提出したときは写しであったものである。従って,最初に預けたときには裏面に確定日付のある原本は預けていないことが推測される。そこで二度目に預けたものが裏面に確定日付のあるものなのか表面のコピーのみなのかが問題であるが,確定日付は本件訴訟の訴え提起時以以前であるので,原本であれば裏面に確定日付があったと考えられる。一方,わざわざ確定日付をとったのであるから確定日付があるものを預けるのであれば,預ける際にそのことに触れるのが自然とも考えられ,結局対象弁護士が裏面に確定日付のある原本を預かったとまでは断定できない。
4 甲13号証の重要性及び判決への影響を検討すると,確定日付があっても,それはそのときに存在したことを示すものであって,その内容が正しいことを示すまでのものでない。さらに,甲13号証は甲12号証の内容を基礎づける
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ものではあるが,判決では甲12号証は合意を示すものではないものと認定されている。従って,確定日付の有無は判決への影響はなかったものと考えられる。この文書の作成日付が平成11年8月31日であり,確定日付が平成25年11月7日であり,本件訴訟の提訴日が平成26年2月20日であることからみれば,なおさら確定日付の持つ証拠価値は低いものである。
そうすると,仮に対象弁護士が確定日付のある原本を預かりこれを裁判所に提出しなかったとしても,その過失の程度と結果は軽微であり,弁護士の品位を害したとまでは言えない。
5 懲戒請求者代表者への尋問後,懲戒請求者が代表者の陳述書を提出したい要請したのに,対象弁護士がこれを拒否したことについては,尋問後の陳述書については,裁判所が補充を求めたというものでない限り,その証拠価値は極めて低い。従って,これを提出するかどうかは弁護士の裁量の範囲と考えられ,提出しなかったからと言って弁護士の品位が問題になるものではない。
6 和解の際,存在しない夫妻があると言われ,強引に和解を勧められたとのことについて,強引であったかどうかは不明である。判決で元本総額2776万3576円の負債が認定されており,和解を勧めた時点でもその様な可能性は高かったのだから,その見通しを説明した上で,和解を勧めても問題はない。
よって,弁護士の品位を害したと言えず,懲戒事由にはあたらない。
7 よって,懲戒請求事由はいずれも理由がないから,主文のとおり議決する。
平成29年9月26日
群馬県弁護士会綱紀委員会
委員会 藤倉 眞
<P7>
別紙
1 懲戒請求者提出分
「争点」で始まる文書
「とりせんとの金1140万円に対しての承認された人」で始まる文書
議事録
領収証書
照会申出書
照会事項(回答)
保証金残金など一覧表(マスキングされたもの)
同上(マスキングがないもの)
登記現在事項全部証明書
領収書2通
「預かり保証金残高(敷金は除く)」で始まる書面。(本件訴訟の甲9)
「Dr.西野の失敗しない会社えらび」で始まる文書(同甲10)
「株式会社セキチュー御中」で始まる文書(同甲11)
覚書(同甲12)
「預かり保証金残高(敷金は除く)」で始まる書面(本件訴訟の甲13)
同上(裏面に確定日付等があるもの)
陳述
「あかがね訴訟」で始まる文書
「預かり保証金残高(敷金は除く)」で始まる書面(本件訴訟の甲13に線で落書きがあるもの)
内容証明郵便
同上(本件訴訟の乙3の1)
送付案内,
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■群馬弁護士会からの議決書を読んだ当会会員は、弁護士への信頼を完全に喪失してしまっています。
当会では、本件は個人的な要素を多々含むことからオンブズマン活動とは直接関係がありませんが、あまりにも群馬弁護士会の対応が酷いため、この問題について取り上げることにしました。
当会会員は、懲戒請求の議決決定書を受理してから3か月以内に東京の日弁連に異議申立てが可能ですが、どうせ同じく弁護士仲間なので、異議申立てをしても時間と手間のムダだろうと思っています。しかし、大規模ショッピングセンターの出店の裏には、こうした強引な権利の乗っ取り行為が付きものだという情報もあり、同じような被害を生じないように、世間に注意喚起を行うことが重要であると考えます。
そこで、当会会員に、群馬弁護士会の議決書に対する反論を聴取したところ、取り急ぎ次のコメントが寄せられました。
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「第1 事案の概要」への反論*****
対象弁護士が公文書隠ぺい改ざんしたり、証拠書類を提出しないために、裁判官が誤った判決を出してしまったと思います。控訴審では対象弁護士を信用できないため、従来から相談していた東京弁護士会の10人の弁護士のコメントに基づき、東京の弁護士を起用せざるをえませんでした。
また、3年間の前橋地裁桐生支部の裁判において、対象弁護士からは、はじめの1年間には一度も、何の経過報告もありませんでした。このことは法テラスにも相談したこともあります。対象弁護士にその旨伝えるように言われたので、池末弁護士に「今度の裁判はいつでしょうか」と電話で聞いたところ、「いついつに来てくれ」と言われました。
そして、その日に前橋地裁桐生支部を訪れ、裁判の過程で一度だけ円卓会議室の後席で話を聞いたことがありました。その間約7分くらいでした。その時、次回の裁判日を聞き、当日、裁判所に行って出席しました。池末弁護士には出席するとは伝えていませんでしたが、私が来ているのを見て「何しに来たの?」と言われました。そして裁判官が入室して来ました。ところが30秒もしないうちに、池末弁護士は私を廊下に呼び出して「次の裁判が始まるので」と言われ、その場で返されてしまいました。というわけで、私は裁判官の顔をちょっと見ただけでした。
こうした池末弁護士の対応に納得できないため、弁護士とはこのようなものかと疑念を持ち、念のため警察に相談しました。「群馬弁護士会に相談したいのですが」と言うと、対応した警察官は「弁護士同士の何かの繋がりがあるかもしれないから、東京弁護士会館に行ってみてはどうか」と言われました。
そのため、その後、東京弁護士会館に5回赴きました。都度1組2人の弁護士さんが対応してくれたので、合計10人の弁護士の方がたとお会いしました。相談の結果「3年間の内、なんの経過報告も無いとは、ひどいものだ。即解任したほうがよい」と10人中8人の弁護士さんがコメントしてくれました。理由は「地方裁判所で敗訴すると、控訴しても80%の割合で高裁で勝訴するのは難しい」と言うことでした。しかし残りの2人の弁護士さんには「委任弁護士は裏切り行為はしないはずだから、信じなさい」と言われました。さらに「司法に携わる者がそのようなことをしたら、日本は秩序の無い国だと世界から借用されなくなってしまいます。だから最後まで信じなさい」と言はれたのでした。
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■こうして、当会会員はセキチューを相手取り対象弁護士に訴訟代理を依頼し勝訴を目指したものの、セキチューが反訴してきてから対象弁護士にしきりに和解を勧められたり、証拠資料を勝手に加工されて提出されたりして、苦労して設立し営業を続けてきた組合の店舗をセキチューに明け渡すことになった上に、群馬弁護士会に対して対象弁護士の懲戒処分を申し立てましたが、これも棄却されてしまいました。
皮肉なことに群馬弁護士会の現在の会長は、当会会員が代表を務める大間々あかがね街道市協同組合に対して反訴してきたセキチューの訴訟代理人です。こうした懲戒請求の場合、弁護士会では綱紀委員会という組織を通じて調査をしますが、同じ弁護士仲間であり、しかも今回の事件では、対象弁護士の相手が現在の弁護士会会長ということで、本当に公平公明公正な審理がなされたのか、あるいは利益相反の恐れはなかったのか、など極めて不透明な結果となっています。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】