■選挙買収で有罪が確定した河井案里元参院議員の陣営に、自民党から1億5000万円が提供された問題は、私たち有権者に大きな衝撃を与え、その余韻は、本記事末尾のとおり、今なお尾を引いています。そうした中で、昨年1月に同様な選挙買収事件が前橋市区を舞台に発生したことから、当会は前橋地検に都合3通の告発状を提出してきました。この度、ようやく前橋地検が正式受理をしたとの報道を受けて、3月25日(金)15時から県庁5階記者クラブ「刀水クラブ」で、記者会見を行いました。記者会見にあたり、当会から以下のレジメと、前橋地検に提出した告発状の写しを18部用意して、事前に配布しました。
↑3月25日(金)15時5分前に群馬県庁5階にある刀水クラブを訪れると、会見場には既にNHKのカメラのマイクがセットされていた。↑
*****記者会見レジメ*****ZIP ⇒ 20220325nulpw.zip
2022年3月25日
関係各位
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
3月23日付で前橋地検が当会の告発状を正式受理した件について
当会は昨日3月24日の報道で、表記の事実を知りました。昨年3月1日に最初の告発状を前橋地検に提出してから、388日を経過したことになります。この場をお借りして、今回の地検による告発状受理に関して、これまで賜りました大勢の有権者のかたがたからの貴重な情報提供、アドバイス、そして励ましのエールなどあたたかなご支援をいただいたことに対しまして厚く御礼申し上げます。
政治とカネをめぐる不祥事が依然として後を絶たない現状を、いかに多くの県民有権者の方々は憂慮しているかを改めて痛感した次第です。
さて、昨年(2021年)2月7日に投開票された前橋市議選に立候補した複数の陣営に、同市区選出の県議から「陣中見舞い」と称して現金入りの封筒が渡されるというカネまみれの違法行為が明らかになったことを受けて、当会は2021年3月1日に、渦中の群馬県議とその関係者を前橋地検に告発しました。
そのあと同年5月25日に地検から呼ばれたので訪問し、担当検事と面談したところ、内容に修正が必要だと説明を受け、それに基づき最初の告発状が5月31日に返戻しされました。そして修正した告発状を6月15日にあらためて地検に直接提出しました。
その後、何の動きもないため、10月11日に地検と県警を訪れ、状況の進捗について打診しましたが、双方から「引き続き連携して協議を進めている」との回答を得るにとどまりました。
年が明け、今月に入り3月4日の夕方に前橋地検から当会事務局に電話があり、「狩野県議の件で担当検事がお話したいことがあるので、代表と事務局長に地検に来てほしい」との要請がありました。そこで3月10日の13時半に前橋地検を訪れたところ、再度、告発事実について書きぶりを修正するよう指摘があり、その場で前回までに提出した告発状3通が返戻しされました。
そして、修正指摘を反映したうえで、あらためて3通の告発状の記載を整えて、3月18日(金)午後3時に前橋地裁(ママ)を訪れて、3通の告発状を提出しました。3月23日の地検の当会告発状の受理報道に接し、当会は3月18日付3通の告発状が受理されたものと認識しております。
地検による今後の厳正な捜査及びその結果について、当会は県民有権者の皆様とともに注してまいりたいと存じます。
以上
配布資料:3月18日付告発状3通
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**********
■冒頭、レジメに沿って当会代表から概要説明を行った後、事務局長から追加説明を行いました。
「政治資金規正法違反の告発は最初に出したのが昨年5月25日。一方、公職選挙法違反の2件は去年の3月1日に出したもので、そのニュースを聞いた県民のかたがたから、政治資金規正法の不記載とかいうので、私のところは(献金したのに)全然記載してもらっていないのでおかしいんですけど、という問い合わせがあり、それを調べて5月25日に、たまたま検察から呼び出しがあったときに、これも受け取ってくださいと話ところ、お預かりsますということでした。そのため、1つは5月25日、他の2件は3月1日となります。途中、検察から何度か呼ばれました。今まで何度も(司直に)告発していますがこういう対応は初めてで、ここのところをちょっと直してほしいと言われました。本当のところどういう風になるのか、1年経過したので不安だったのですが、今回の報道で受理されましたと聞いて、びっくりしました。ただしこのまま、どのような展開になるのか、今までの経験のように、うやむやにされて嫌疑不十分だとか処分保留だとか、また突っぱねられるのではないかという一抹の不安もあります。ぜひ広島のほうの河井夫妻の事件もあり、34人が追起訴されたというのがちょうどいまニュースになっており、うまく進展するのかなあと期待するところです。何か質問があればよろしくお願いします」
すると、幹事社の読売新聞前橋支局の記者から発言をいただきました。
「質問させてください。まず提出日というか、告発した日付については、今お話があったと思いますが、いただいた告発状だと3月18日付になっていると思いますが、最終的には3月18日付のものが最新ということですか?」
「実は検察では、『出したものを書き直してほしい』というときは「返戻し」といって、ようするに前回出した告発状を突き返されるわけです。『確かに返しました』ということで、署名させられるんです。3月10日に地検に伺ったときも、前回出したものを返されまして、『これは確かに返却されました』という文書に押印させられました。ですので、告発状の日付は3通とも3月18日ということで我々は認識しております」
「ありがとうございます。あとですね、何度か変更を求められたということですが、内容的なことなのか、法律的なことに関わることで特に書き直されたということはありましたか?」
「それはありません。ありませんが、章立てとか、お手元にお配りした告発書の写しを見ていただくとお分かりいただけると思います。それぞれ少し、タイトルの付け方が若干異なる書きぶりとなっていますが、要は告発事実について、最終的にしっかりと、参考事項については別章立てにしてくれ、という、そういうかたちなんです。まあ私らはとにかく、県民有権者の方々から情報提供を受けたものと、あとは情報公開などを踏まえてこういうふうに(告発状として)まとめたわけですが、やはり参考情報についてどこまで書いていいのか、いままで何十回と書いていますが、そのあたりの塩梅がよくわかりません。そして今回、地検からコメントがつきました。それに沿って書き直した結果、お手元にあるのが、最終版ということで、3月18日付が、これが正式に受理されたということです。つまり、告発状の中身は全然変わっていません。言い回しがちょっと変わっただけで、具体的な内容は変わっていません。例えば、『これこれこうだ』という前置きを抜け、というかたちですね。簡潔に、告発事実を書くようにと言われました。冗長文のある箇所ですね」
「わかりました。ありがとうございます。他社さん、他に質問あればお願いします」
「地検からそちらに(正式受理の)連絡はあったのですか?」
「我々のところには連絡はございません。したがって読売さんの記事と、それからNHKさんの朝の7時40分ごろのネット情報ではじめて知ったわけです。だから直接は、地検から何も通知は受けていません。ただ、あのとき、告発状の書き直しのため呼ばれた時に、『今度はうまくいくかな』とやや期待していたのは事実です。一方で、何度もはぐらかされてきたものですから、そのトラウマがあったもので、期待と不安が入り混じった気持であったことも事実です」
「他の組織のことだからわからないと思いますが、結局なぜ1年経って、ということで、書式のやりとりとか、修正というのはあったわけですが、これだけ時間をかけたところですが、オンブズマンの皆さんからからすると、結局、期待の方が大きかったのでしょうか?あるいは、1年かけて整えて受けてくれたのか?それとも、受けざるを得ないから受けたのか?みたいなところはどうでしょうか?」
「結果オーライなのでその辺は評価したい、と言いますか、評価せざるを得ないと思います。なぜこんなに時間がかかったのか、ということについては、24日に地検からマスコミに対して、どういう形でどういうメッセージで、正式受理という内容が伝えられたのか?おそらく地検からの発表情報は、そんなに詳しくはなかったはずでしょうが、本来は我々にイの一番伝えてほしかったと思います。この1年、本当にダメかなという気持ちが大きくなりかけたころ、まあ、ちょうど年度末が迫る寸前ですけれどもこういうこととなり、結果オーライということでそれはそれで評価したいと思います。今後、どういうふうに(本件捜査が)進むか、依然として慎重に見極めていかざるを得ないと考えております。今まで何度も(告発を)やってきて、その都度、はぐらかされてきているオンブズマンとしての感想です。事実、別件で警察に行ったときも、『本件ちゃんとやってくれているのでしょうか?』と聞くと、『ちゃんとやっていますよ。進めますから』という期待を持たせる発言を3回ほど聞いていましたので、どうにかなるのかなあと思っていたわけですが、ようやく実を結んだというのが現在の気持ちです。実はこういう対応について我々同士で話したのですが、かつて経験がありません。言葉遣いも丁寧だし、今までは、実は別件で今数件の告発をしているんですけれど、その場合はめったに会ってもくれないし、ただ出しておいてくれというだけで、検察事務官の方に告発状を渡すのが関の山でした。今回は破格の対応ということで、最終的に、地検で面談したときも、かなり緊張されている風情が見られました。それは『これから大きい事件に取り組むぞ』という武者震いなのか、それとも別の理由なのか、今でもよくわかりません。それは結果が証明してくれると思います。いずれにしても、今まで何十回も告発してきましたが、このような丁重な対応というのは、我々オンブズマンとしても初めてです。『本当に何度も足を運ばせてしまって申し訳ないですね』と何度も言われました。最後のほうの対応はとくに丁寧な応対をされたので、こんなことは初めてだったので、調子がくるってしまうほどでした。なんと廊下まで見送りに来ていただきまして、丁寧な対応に驚くとともに感謝しています」
「先方(検察)との1年間のやり取りについて証拠関係について当初から比べて追加したものはあるのですか?」
「ないですね。政治資金規正法の方で、領収書については、あとから情報提供があったので、追加証拠として付けて提出した経緯はあります。結局、どこにも寄付したのに記載がないということを危惧したかたがたから『寄付をしたのにその記録が収支報告にないんだよ。どうしかしてほしい』ということで情報が入ってきたので、それが追加というかたちで提供した経緯はあります」
「告発してからの追加ということですか?(地検に)言われて追加提出ということではなくて?」
「追加で情報提供が来ました。実際に、実名で、それから、支払ったという帳簿、帳票類を含めて、情報提供があったのでそれを追加資料として提出しました。これは強力な証拠になるはずです。ただ、それを地検に出してからもうすでに8か月くらい経過していますが」
「1点だけ質問があります。対応の違いとはどのように考えていますか?」
「それがわからないんです。不思議すぎるほど丁重な対応でしたので。通常に考えてみれば、類似事件、先ほどもご説明したように広島における河井夫妻のあの出来事。たまたまこの事件自体もそれと関連していますが、それからずっと、公判などを経由して、最近になって先ほどの話もあった通りもらった方も検察審査会の結果によって、起訴になったという、そういう事態もありましたので、無視が出来なくなったというか、社会的に影響が大きいのでこのまま看過してフェードアウトするという事態はやはり避けたいという判断が働いているかもしれません。ということは、その裏返しとして、かなり政治的な何かがあって、進めるべきか、どこまでやるべきか、いろいろな判断が働いたのではないかと、オンブズマンとして今までこういう公選法違反などの事件に関連して、東京地検の対応なども経験しています。そういったいろいろな様々な要因が働いて、時間が経過してしまったのではないかと、私どもとしては考えています」
「要するに、検察の大きな方針がかわって、これまで河井夫妻の事件で、検察庁はそのまま不起訴だったのが、大きく転換したのだと、検察の大方針が変わったのがこちらにも波及したというお考えでしょうか?」
「私どもはそういうふうに考えています。それは非常に無視できないし、大きな影響を与えた要素だと思います。だからタイミング的なものがあって、これから選挙シーズンに入りますが、今のうちに、けじめをつけるために公表したのではないか、と。つまり受理をする決断をしたのではないかと。時期的なこともありますが、その影響が大きいのではないかと思っています」
最後に、当会から貴社の皆さんに以下のことを伝えました。
「それからおカネが陣中見舞いとして配られて、では、そのおカネはどこから来たのかということで、やはり情報提供がありました。こういうふうに不透明なおカネが入って動いているよ、ということで、今回の告発は、私どもは、おカネの出と入りがマッチングしてセットになっていると思っているわけです。ですので、この3件とも、それぞれ特徴的な公選法の寄付の禁止、飲食の供応の禁止、それと政治資金規正法の収支報告書の不記載或いは虚偽の記載というところの、違法行為ということで、3件をワンセットで考えており、今後を注目したいと思います。政治資金規正法違反容疑の告発では、実はこんなに証拠があるので、これを全部皆さんへの配布用として印刷できませんでした。ですが、当会の代表のブログには全部資料をアップしていますので、そこからダウンロードできます。よければアクセスしてください。もちろん、ここにもハードコピーがありますので、閲覧、もしくはコピーしたい方は遠慮なくお申し付けください」
最後に幹事社の読売新聞記者のかたから「他かにありませんか。ではいったんここで終了させていただきます。どうもありがとうございました」とあいさつをいただきました。当会からは「引続き我々の活動にご注目のほど、よろしくお願いします」とお礼を申し上げて、30分にわたる記者会見を終了しました。
↑取材していただいたマスコミ関係者↑
【3月26日追記】
**********上毛新聞2022年3月26日
現金配布の告発状受理「粛々と対応したい」 狩野県議
昨年2月の前橋市議選に立候補した複数の陣営に同市区選出の狩野浩志県議が「陣中見舞い」として現金入りの封筒を渡していたことを巡り、市議5人に現金5万~10万円を供与したとする公選法違反(寄付の禁止)容疑などの告発状を前橋地検が受理したことを受け、狩野氏は25日、上毛新聞の取材に「弁護士と相談し、粛々と対応していきたい」と述べた。
告発した市民オンブズマン群馬は同日、記者会見し「最初の告発から1年経っての受理に驚いている」と述べた。選挙を巡って現金を受け取った地元議員らが一転起訴された河井夫妻事件を挙げ、「うやむやにならないよう、捜査の進展を見極めたい」とした。
市議5人の一人は同日の取材に、不在中に狩野氏が封筒を置いていったため、現金が入っているのを確認して返したと答えた。別の市議も弁護士を通じて狩野氏に返したとした。
公選法などは選挙区内の個人への寄付を禁じる一方、後援会などの政治団体に対する一定の寄付を認めている。告発状に挙げられていない市議は、狩野氏から渡された現金を、本年度中に提出する収支報告書に後援会への寄付として記載するつもりだといい、「領収書を発行している。これから適正に処理したい」と話した。
**********
【4月1日追記】
**********東京新聞2022年4月1日
県議公選法違反疑い 地検が告発状受理か 市民オンブズマン群馬
市民団体「市民オンブズマン群馬」は県庁で記者会見し、狩野浩志県議(六一)=自民、前橋市区=に公職選挙法違反(寄付行為の禁止)の疑いがあるとして、前橋地検に提出していた告発状が受理されたとみられると発表した。
告発状などによると、狩野県議は昨年一月三十一日~二月六日ごろ、前橋市議選(同年二月七日投開票)に立候補した誤認に対し、封筒に入れた現金を「陣中見舞い」として、渡したなどとされる。
市民団体は昨年三月、この件の告発状を初めて提出。数度の修正を経て、今年三月十八日付の告発状が受理されたという。
小川賢代表は「地検の捜査の進捗を見守りたい」と述べた。狩野県議は本誌の取材に「対応は専門家に任せている」と話している。
(池田知之)
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「河井夫妻の選挙買収事件の余韻」
**********NHK News Web 2022年3月14日 20:53
現金受領の広島県議ら34人を一転起訴 河井元法相 選挙買収事件
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模な買収事件で、広島地方検察庁は現金を受け取ったとされながら不起訴になったあと、検察審査会から「起訴すべき」と議決された広島の地元議員らのうち、体調不良の1人を除く34人について14日、公職選挙法違反の罪で一転して起訴しました。
このうち25人は略式起訴で、ほかの9人は公開の法廷で正式な裁判が開かれます。
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模な買収事件では、ことし1月、東京の検察審査会が裁判で現金を受け取ったと認定されたものの不起訴となった広島の地元議員ら100人のうち、35人を「起訴相当」46人を「不起訴不当」と議決したと公表しました。
これを受けて検察当局が再捜査した結果、広島地方検察庁は「起訴相当」とされた地元議員ら35人のうち、体調不良の1人を除く34人について14日、公職選挙法違反の罪で一転して起訴しました。
このうち25人は、書面だけの審査で罰金刑などを求める略式起訴で、買収の趣旨を否定するなどした9人は正式に起訴され、公開の法廷で裁判が開かれます。
起訴された34人は、今後、有罪が確定すれば公職選挙法の規定で公民権が停止され、現職の議員は失職することになります。
一方「起訴相当」とされた体調不良の1人と「不起訴不当」とされた46人の合わせて47人について、東京地検特捜部は改めて不起訴にしました。
★起訴された議員 今後は
再捜査の結果、起訴された34人のうち26人は「起訴相当」と議決された時点で広島県議会議員など議員を務めていました。
このうち半数の13人は14日までに辞職し、残りの13人は現職の議員です。
現職の議員のうち4人は書面だけで審理される略式起訴で、買収の趣旨を否定するなどした9人は公開の法廷で裁判が開かれます。
4人はすでに辞職願を出していますが、今後、罰金などの有罪が確定すれば公職選挙法の規定で公民権が停止され、その時点で現職であれば、失職することになります。
正式に起訴された9人も今後の裁判で有罪が確定すれば公民権停止となり、その時点で現職の場合は、失職します。
有罪が確定した場合、公民権停止の期間は原則5年間ですが期間は裁判所の判断で短縮される場合もあります。
★東京地検 森本次席検事「検察審査会の議決 理解できる内容」
東京地方検察庁の森本宏次席検事は、臨時の記者会見を開き、議員ら34人を一転して起訴した理由を説明しました。
この中で森本次席検事は「検察審査会の議決は、国民の中から選ばれた人たちによる判断なので、それらを踏まえて処分を再検討すべきと考えた。また、検察審査会の議決自体が理解できる内容だった」と述べました。
また、当初、現金を受け取ったとされる議員ら全員を不起訴にしたことについて、検察と議員らとの間で、事実上の「司法取引」が行われたのではないかという質問に対しては、「事実上の『司法取引』は行っていない。そうした指摘が必ず出ると思っていたので、捜査は慎重にやってきたつもりだ。少なくとも議員らの取り調べでは、録音録画も行っている」と述べました。
★元刑事裁判官 水野智幸氏「国民の意識に近い妥当な判断」
広島の地元議員ら34人が一転して起訴されたことについて、元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は「公職選挙法を最も守らないといけない立場の議員が起訴されたことは、検察が検察審査会の議決に真摯(しんし)に応えた結果で、国民の意識に近い妥当な判断だ」と評価しました。
その一方「検察が検察審査会の議決を受けて一転して起訴するケースは、香典などを違法に寄付した罪で略式起訴された菅原元経済産業大臣や、賭けマージャンをしたとして賭博の罪で略式起訴された東京高等検察庁の黒川元検事長の事件などこのところ続いている。検察は、初めから検察審査会がどのような判断をする可能性があるかを踏まえて刑事処分を行うべきだ」と指摘しました。
★松野官房長官「政治家は疑念持たれないよう常に襟を正して」
松野官房長官は、記者会見で「検察の捜査に関わることでありコメントは控えたいが、法務大臣経験者について刑事裁判で有罪判決が確定したことや、それによって国民の政治不信を招いたという批判があることは重く受け止めている。政治家は責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう常に襟を正していかなければならない」と述べました。
★自民 茂木幹事長 議員の処分問われ「県連で適切に判断」
自民党の茂木幹事長は記者会見で、起訴された議員の処分を党として行うか問われたのに対し「議員の出処進退は、地方議員においても、まず自らが判断すべきだ。党則では、地方議員の党紀に関する審査は都道府県連で行うことになっており、県連で適切に判断されると考えている」と述べました。
★立民 泉代表「自民 全国共通のおかしな体質」
立憲民主党の泉代表は、党の執行役員会で「本当にありえない認識、感覚に驚くばかりだ。自民党は京都でも議員による不透明な資金の流れが指摘されるなど、このようなことは枚挙にいとまがなく、全国共通のおかしな体質を持っていると言わざるを得ない。我々は絶対に許さず、今の自民党の政治を変えなければいけない」と述べました。
★検察幹部「国民の声として受け入れる必要あると考えた」
検察審査会の議決を受け、広島の地元議員ら34人を一転して起訴したことについて検察幹部の1人は「検察は当初、不起訴にしたが、犯罪は成立するとして起訴猶予としていた。このため検察審査会が『起訴すべき』と示した判断は、よほどありえないものでなければ、国民の声として受け入れる必要があると考えた」と話していました。
また別の幹部は「刑罰は国民の良識にかなったものでなくてはならない。国民から見て検察権の行使が『独善的』だとか『恣意的』だなどと批判を受けることが容易に想定される事件は、国民の良識がどこにあるか謙虚に見極めていかなければならない」と話していました。
**********NHK News Web 2022年3月24日 15:18
河井案里元議員の歳費返還求めた裁判 住民側の敗訴確定 最高裁
公職選挙法違反の買収の罪で有罪判決が確定した河井案里元参議院議員が受け取った4900万円余りの歳費などを国に返還させるよう広島県の住民が訴えた裁判で、住民側の敗訴が確定し、返還は認められませんでした。
河井案里元参議院議員は3年前の選挙で広島県議会議員4人に合わせて160万円を渡したとして、公職選挙法違反の買収の罪で執行猶予のついた有罪判決が確定し、当選が無効になりました。
これを受けて広島県の住民6人は、案里元議員が当選から辞職するまでに受け取った給与に当たる「歳費」と、ボーナスに当たる「期末手当」、それに月100万円の「文書交通滞在費」の合わせて4900万円余りを国に返還させるよう求める訴えを起こしました。
1審と2審は「住民の具体的な権利や義務について判断を求める訴えではないため裁判の対象にならない」として訴えを退けました。
住民側は上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の草野耕一裁判長は、24日までに上告を退ける決定をして住民側の敗訴が確定し、返還は認められませんでした。
**********NHK News Web 2022年3月25日 20:06
河井元法相 大規模買収事件 現金受領の元広島市議に略式命令
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件で、元大臣から50万円を受け取ったとして公職選挙法違反の罪で略式起訴された海徳裕志元広島市議会議員について、裁判所は罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を出しました。
略式命令を受けたのは、海徳裕志元広島市議会議員です。
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件では、ことし1月、東京の検察審査会が、裁判で現金を受け取ったと認定されたものの不起訴となった広島県議会議員や広島市議会議員など100人のうち35人を「起訴相当」と議決したと公表しました。
これを受けて検察当局が再捜査した結果、体調不良の1人を除き、25人が略式起訴、9人が正式に起訴されていました。
このうち、海徳元市議は河井元大臣から合わせて50万円を受け取ったとして公職選挙法違反の罪で略式起訴され、広島市にある可部簡易裁判所は24日付けで罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を出しました。
今後、罰金などを納め有罪が確定すれば、5年間、公民権が停止されることになります。
3年前の参議院選挙をめぐり略式起訴された元議員のうち略式命令が出されたのはこれが初めてです。
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↑3月25日(金)15時5分前に群馬県庁5階にある刀水クラブを訪れると、会見場には既にNHKのカメラのマイクがセットされていた。↑
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2022年3月25日
関係各位
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
3月23日付で前橋地検が当会の告発状を正式受理した件について
当会は昨日3月24日の報道で、表記の事実を知りました。昨年3月1日に最初の告発状を前橋地検に提出してから、388日を経過したことになります。この場をお借りして、今回の地検による告発状受理に関して、これまで賜りました大勢の有権者のかたがたからの貴重な情報提供、アドバイス、そして励ましのエールなどあたたかなご支援をいただいたことに対しまして厚く御礼申し上げます。
政治とカネをめぐる不祥事が依然として後を絶たない現状を、いかに多くの県民有権者の方々は憂慮しているかを改めて痛感した次第です。
さて、昨年(2021年)2月7日に投開票された前橋市議選に立候補した複数の陣営に、同市区選出の県議から「陣中見舞い」と称して現金入りの封筒が渡されるというカネまみれの違法行為が明らかになったことを受けて、当会は2021年3月1日に、渦中の群馬県議とその関係者を前橋地検に告発しました。
そのあと同年5月25日に地検から呼ばれたので訪問し、担当検事と面談したところ、内容に修正が必要だと説明を受け、それに基づき最初の告発状が5月31日に返戻しされました。そして修正した告発状を6月15日にあらためて地検に直接提出しました。
その後、何の動きもないため、10月11日に地検と県警を訪れ、状況の進捗について打診しましたが、双方から「引き続き連携して協議を進めている」との回答を得るにとどまりました。
年が明け、今月に入り3月4日の夕方に前橋地検から当会事務局に電話があり、「狩野県議の件で担当検事がお話したいことがあるので、代表と事務局長に地検に来てほしい」との要請がありました。そこで3月10日の13時半に前橋地検を訪れたところ、再度、告発事実について書きぶりを修正するよう指摘があり、その場で前回までに提出した告発状3通が返戻しされました。
そして、修正指摘を反映したうえで、あらためて3通の告発状の記載を整えて、3月18日(金)午後3時に前橋地裁(ママ)を訪れて、3通の告発状を提出しました。3月23日の地検の当会告発状の受理報道に接し、当会は3月18日付3通の告発状が受理されたものと認識しております。
地検による今後の厳正な捜査及びその結果について、当会は県民有権者の皆様とともに注してまいりたいと存じます。
以上
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■冒頭、レジメに沿って当会代表から概要説明を行った後、事務局長から追加説明を行いました。
「政治資金規正法違反の告発は最初に出したのが昨年5月25日。一方、公職選挙法違反の2件は去年の3月1日に出したもので、そのニュースを聞いた県民のかたがたから、政治資金規正法の不記載とかいうので、私のところは(献金したのに)全然記載してもらっていないのでおかしいんですけど、という問い合わせがあり、それを調べて5月25日に、たまたま検察から呼び出しがあったときに、これも受け取ってくださいと話ところ、お預かりsますということでした。そのため、1つは5月25日、他の2件は3月1日となります。途中、検察から何度か呼ばれました。今まで何度も(司直に)告発していますがこういう対応は初めてで、ここのところをちょっと直してほしいと言われました。本当のところどういう風になるのか、1年経過したので不安だったのですが、今回の報道で受理されましたと聞いて、びっくりしました。ただしこのまま、どのような展開になるのか、今までの経験のように、うやむやにされて嫌疑不十分だとか処分保留だとか、また突っぱねられるのではないかという一抹の不安もあります。ぜひ広島のほうの河井夫妻の事件もあり、34人が追起訴されたというのがちょうどいまニュースになっており、うまく進展するのかなあと期待するところです。何か質問があればよろしくお願いします」
すると、幹事社の読売新聞前橋支局の記者から発言をいただきました。
「質問させてください。まず提出日というか、告発した日付については、今お話があったと思いますが、いただいた告発状だと3月18日付になっていると思いますが、最終的には3月18日付のものが最新ということですか?」
「実は検察では、『出したものを書き直してほしい』というときは「返戻し」といって、ようするに前回出した告発状を突き返されるわけです。『確かに返しました』ということで、署名させられるんです。3月10日に地検に伺ったときも、前回出したものを返されまして、『これは確かに返却されました』という文書に押印させられました。ですので、告発状の日付は3通とも3月18日ということで我々は認識しております」
「ありがとうございます。あとですね、何度か変更を求められたということですが、内容的なことなのか、法律的なことに関わることで特に書き直されたということはありましたか?」
「それはありません。ありませんが、章立てとか、お手元にお配りした告発書の写しを見ていただくとお分かりいただけると思います。それぞれ少し、タイトルの付け方が若干異なる書きぶりとなっていますが、要は告発事実について、最終的にしっかりと、参考事項については別章立てにしてくれ、という、そういうかたちなんです。まあ私らはとにかく、県民有権者の方々から情報提供を受けたものと、あとは情報公開などを踏まえてこういうふうに(告発状として)まとめたわけですが、やはり参考情報についてどこまで書いていいのか、いままで何十回と書いていますが、そのあたりの塩梅がよくわかりません。そして今回、地検からコメントがつきました。それに沿って書き直した結果、お手元にあるのが、最終版ということで、3月18日付が、これが正式に受理されたということです。つまり、告発状の中身は全然変わっていません。言い回しがちょっと変わっただけで、具体的な内容は変わっていません。例えば、『これこれこうだ』という前置きを抜け、というかたちですね。簡潔に、告発事実を書くようにと言われました。冗長文のある箇所ですね」
「わかりました。ありがとうございます。他社さん、他に質問あればお願いします」
「地検からそちらに(正式受理の)連絡はあったのですか?」
「我々のところには連絡はございません。したがって読売さんの記事と、それからNHKさんの朝の7時40分ごろのネット情報ではじめて知ったわけです。だから直接は、地検から何も通知は受けていません。ただ、あのとき、告発状の書き直しのため呼ばれた時に、『今度はうまくいくかな』とやや期待していたのは事実です。一方で、何度もはぐらかされてきたものですから、そのトラウマがあったもので、期待と不安が入り混じった気持であったことも事実です」
「他の組織のことだからわからないと思いますが、結局なぜ1年経って、ということで、書式のやりとりとか、修正というのはあったわけですが、これだけ時間をかけたところですが、オンブズマンの皆さんからからすると、結局、期待の方が大きかったのでしょうか?あるいは、1年かけて整えて受けてくれたのか?それとも、受けざるを得ないから受けたのか?みたいなところはどうでしょうか?」
「結果オーライなのでその辺は評価したい、と言いますか、評価せざるを得ないと思います。なぜこんなに時間がかかったのか、ということについては、24日に地検からマスコミに対して、どういう形でどういうメッセージで、正式受理という内容が伝えられたのか?おそらく地検からの発表情報は、そんなに詳しくはなかったはずでしょうが、本来は我々にイの一番伝えてほしかったと思います。この1年、本当にダメかなという気持ちが大きくなりかけたころ、まあ、ちょうど年度末が迫る寸前ですけれどもこういうこととなり、結果オーライということでそれはそれで評価したいと思います。今後、どういうふうに(本件捜査が)進むか、依然として慎重に見極めていかざるを得ないと考えております。今まで何度も(告発を)やってきて、その都度、はぐらかされてきているオンブズマンとしての感想です。事実、別件で警察に行ったときも、『本件ちゃんとやってくれているのでしょうか?』と聞くと、『ちゃんとやっていますよ。進めますから』という期待を持たせる発言を3回ほど聞いていましたので、どうにかなるのかなあと思っていたわけですが、ようやく実を結んだというのが現在の気持ちです。実はこういう対応について我々同士で話したのですが、かつて経験がありません。言葉遣いも丁寧だし、今までは、実は別件で今数件の告発をしているんですけれど、その場合はめったに会ってもくれないし、ただ出しておいてくれというだけで、検察事務官の方に告発状を渡すのが関の山でした。今回は破格の対応ということで、最終的に、地検で面談したときも、かなり緊張されている風情が見られました。それは『これから大きい事件に取り組むぞ』という武者震いなのか、それとも別の理由なのか、今でもよくわかりません。それは結果が証明してくれると思います。いずれにしても、今まで何十回も告発してきましたが、このような丁重な対応というのは、我々オンブズマンとしても初めてです。『本当に何度も足を運ばせてしまって申し訳ないですね』と何度も言われました。最後のほうの対応はとくに丁寧な応対をされたので、こんなことは初めてだったので、調子がくるってしまうほどでした。なんと廊下まで見送りに来ていただきまして、丁寧な対応に驚くとともに感謝しています」
「先方(検察)との1年間のやり取りについて証拠関係について当初から比べて追加したものはあるのですか?」
「ないですね。政治資金規正法の方で、領収書については、あとから情報提供があったので、追加証拠として付けて提出した経緯はあります。結局、どこにも寄付したのに記載がないということを危惧したかたがたから『寄付をしたのにその記録が収支報告にないんだよ。どうしかしてほしい』ということで情報が入ってきたので、それが追加というかたちで提供した経緯はあります」
「告発してからの追加ということですか?(地検に)言われて追加提出ということではなくて?」
「追加で情報提供が来ました。実際に、実名で、それから、支払ったという帳簿、帳票類を含めて、情報提供があったのでそれを追加資料として提出しました。これは強力な証拠になるはずです。ただ、それを地検に出してからもうすでに8か月くらい経過していますが」
「1点だけ質問があります。対応の違いとはどのように考えていますか?」
「それがわからないんです。不思議すぎるほど丁重な対応でしたので。通常に考えてみれば、類似事件、先ほどもご説明したように広島における河井夫妻のあの出来事。たまたまこの事件自体もそれと関連していますが、それからずっと、公判などを経由して、最近になって先ほどの話もあった通りもらった方も検察審査会の結果によって、起訴になったという、そういう事態もありましたので、無視が出来なくなったというか、社会的に影響が大きいのでこのまま看過してフェードアウトするという事態はやはり避けたいという判断が働いているかもしれません。ということは、その裏返しとして、かなり政治的な何かがあって、進めるべきか、どこまでやるべきか、いろいろな判断が働いたのではないかと、オンブズマンとして今までこういう公選法違反などの事件に関連して、東京地検の対応なども経験しています。そういったいろいろな様々な要因が働いて、時間が経過してしまったのではないかと、私どもとしては考えています」
「要するに、検察の大きな方針がかわって、これまで河井夫妻の事件で、検察庁はそのまま不起訴だったのが、大きく転換したのだと、検察の大方針が変わったのがこちらにも波及したというお考えでしょうか?」
「私どもはそういうふうに考えています。それは非常に無視できないし、大きな影響を与えた要素だと思います。だからタイミング的なものがあって、これから選挙シーズンに入りますが、今のうちに、けじめをつけるために公表したのではないか、と。つまり受理をする決断をしたのではないかと。時期的なこともありますが、その影響が大きいのではないかと思っています」
最後に、当会から貴社の皆さんに以下のことを伝えました。
「それからおカネが陣中見舞いとして配られて、では、そのおカネはどこから来たのかということで、やはり情報提供がありました。こういうふうに不透明なおカネが入って動いているよ、ということで、今回の告発は、私どもは、おカネの出と入りがマッチングしてセットになっていると思っているわけです。ですので、この3件とも、それぞれ特徴的な公選法の寄付の禁止、飲食の供応の禁止、それと政治資金規正法の収支報告書の不記載或いは虚偽の記載というところの、違法行為ということで、3件をワンセットで考えており、今後を注目したいと思います。政治資金規正法違反容疑の告発では、実はこんなに証拠があるので、これを全部皆さんへの配布用として印刷できませんでした。ですが、当会の代表のブログには全部資料をアップしていますので、そこからダウンロードできます。よければアクセスしてください。もちろん、ここにもハードコピーがありますので、閲覧、もしくはコピーしたい方は遠慮なくお申し付けください」
最後に幹事社の読売新聞記者のかたから「他かにありませんか。ではいったんここで終了させていただきます。どうもありがとうございました」とあいさつをいただきました。当会からは「引続き我々の活動にご注目のほど、よろしくお願いします」とお礼を申し上げて、30分にわたる記者会見を終了しました。
↑取材していただいたマスコミ関係者↑
【3月26日追記】
**********上毛新聞2022年3月26日
現金配布の告発状受理「粛々と対応したい」 狩野県議
昨年2月の前橋市議選に立候補した複数の陣営に同市区選出の狩野浩志県議が「陣中見舞い」として現金入りの封筒を渡していたことを巡り、市議5人に現金5万~10万円を供与したとする公選法違反(寄付の禁止)容疑などの告発状を前橋地検が受理したことを受け、狩野氏は25日、上毛新聞の取材に「弁護士と相談し、粛々と対応していきたい」と述べた。
告発した市民オンブズマン群馬は同日、記者会見し「最初の告発から1年経っての受理に驚いている」と述べた。選挙を巡って現金を受け取った地元議員らが一転起訴された河井夫妻事件を挙げ、「うやむやにならないよう、捜査の進展を見極めたい」とした。
市議5人の一人は同日の取材に、不在中に狩野氏が封筒を置いていったため、現金が入っているのを確認して返したと答えた。別の市議も弁護士を通じて狩野氏に返したとした。
公選法などは選挙区内の個人への寄付を禁じる一方、後援会などの政治団体に対する一定の寄付を認めている。告発状に挙げられていない市議は、狩野氏から渡された現金を、本年度中に提出する収支報告書に後援会への寄付として記載するつもりだといい、「領収書を発行している。これから適正に処理したい」と話した。
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【4月1日追記】
**********東京新聞2022年4月1日
県議公選法違反疑い 地検が告発状受理か 市民オンブズマン群馬
市民団体「市民オンブズマン群馬」は県庁で記者会見し、狩野浩志県議(六一)=自民、前橋市区=に公職選挙法違反(寄付行為の禁止)の疑いがあるとして、前橋地検に提出していた告発状が受理されたとみられると発表した。
告発状などによると、狩野県議は昨年一月三十一日~二月六日ごろ、前橋市議選(同年二月七日投開票)に立候補した誤認に対し、封筒に入れた現金を「陣中見舞い」として、渡したなどとされる。
市民団体は昨年三月、この件の告発状を初めて提出。数度の修正を経て、今年三月十八日付の告発状が受理されたという。
小川賢代表は「地検の捜査の進捗を見守りたい」と述べた。狩野県議は本誌の取材に「対応は専門家に任せている」と話している。
(池田知之)
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「河井夫妻の選挙買収事件の余韻」
**********NHK News Web 2022年3月14日 20:53
現金受領の広島県議ら34人を一転起訴 河井元法相 選挙買収事件
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模な買収事件で、広島地方検察庁は現金を受け取ったとされながら不起訴になったあと、検察審査会から「起訴すべき」と議決された広島の地元議員らのうち、体調不良の1人を除く34人について14日、公職選挙法違反の罪で一転して起訴しました。
このうち25人は略式起訴で、ほかの9人は公開の法廷で正式な裁判が開かれます。
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模な買収事件では、ことし1月、東京の検察審査会が裁判で現金を受け取ったと認定されたものの不起訴となった広島の地元議員ら100人のうち、35人を「起訴相当」46人を「不起訴不当」と議決したと公表しました。
これを受けて検察当局が再捜査した結果、広島地方検察庁は「起訴相当」とされた地元議員ら35人のうち、体調不良の1人を除く34人について14日、公職選挙法違反の罪で一転して起訴しました。
このうち25人は、書面だけの審査で罰金刑などを求める略式起訴で、買収の趣旨を否定するなどした9人は正式に起訴され、公開の法廷で裁判が開かれます。
起訴された34人は、今後、有罪が確定すれば公職選挙法の規定で公民権が停止され、現職の議員は失職することになります。
一方「起訴相当」とされた体調不良の1人と「不起訴不当」とされた46人の合わせて47人について、東京地検特捜部は改めて不起訴にしました。
★起訴された議員 今後は
再捜査の結果、起訴された34人のうち26人は「起訴相当」と議決された時点で広島県議会議員など議員を務めていました。
このうち半数の13人は14日までに辞職し、残りの13人は現職の議員です。
現職の議員のうち4人は書面だけで審理される略式起訴で、買収の趣旨を否定するなどした9人は公開の法廷で裁判が開かれます。
4人はすでに辞職願を出していますが、今後、罰金などの有罪が確定すれば公職選挙法の規定で公民権が停止され、その時点で現職であれば、失職することになります。
正式に起訴された9人も今後の裁判で有罪が確定すれば公民権停止となり、その時点で現職の場合は、失職します。
有罪が確定した場合、公民権停止の期間は原則5年間ですが期間は裁判所の判断で短縮される場合もあります。
★東京地検 森本次席検事「検察審査会の議決 理解できる内容」
東京地方検察庁の森本宏次席検事は、臨時の記者会見を開き、議員ら34人を一転して起訴した理由を説明しました。
この中で森本次席検事は「検察審査会の議決は、国民の中から選ばれた人たちによる判断なので、それらを踏まえて処分を再検討すべきと考えた。また、検察審査会の議決自体が理解できる内容だった」と述べました。
また、当初、現金を受け取ったとされる議員ら全員を不起訴にしたことについて、検察と議員らとの間で、事実上の「司法取引」が行われたのではないかという質問に対しては、「事実上の『司法取引』は行っていない。そうした指摘が必ず出ると思っていたので、捜査は慎重にやってきたつもりだ。少なくとも議員らの取り調べでは、録音録画も行っている」と述べました。
★元刑事裁判官 水野智幸氏「国民の意識に近い妥当な判断」
広島の地元議員ら34人が一転して起訴されたことについて、元刑事裁判官で法政大学法科大学院の水野智幸教授は「公職選挙法を最も守らないといけない立場の議員が起訴されたことは、検察が検察審査会の議決に真摯(しんし)に応えた結果で、国民の意識に近い妥当な判断だ」と評価しました。
その一方「検察が検察審査会の議決を受けて一転して起訴するケースは、香典などを違法に寄付した罪で略式起訴された菅原元経済産業大臣や、賭けマージャンをしたとして賭博の罪で略式起訴された東京高等検察庁の黒川元検事長の事件などこのところ続いている。検察は、初めから検察審査会がどのような判断をする可能性があるかを踏まえて刑事処分を行うべきだ」と指摘しました。
★松野官房長官「政治家は疑念持たれないよう常に襟を正して」
松野官房長官は、記者会見で「検察の捜査に関わることでありコメントは控えたいが、法務大臣経験者について刑事裁判で有罪判決が確定したことや、それによって国民の政治不信を招いたという批判があることは重く受け止めている。政治家は責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう常に襟を正していかなければならない」と述べました。
★自民 茂木幹事長 議員の処分問われ「県連で適切に判断」
自民党の茂木幹事長は記者会見で、起訴された議員の処分を党として行うか問われたのに対し「議員の出処進退は、地方議員においても、まず自らが判断すべきだ。党則では、地方議員の党紀に関する審査は都道府県連で行うことになっており、県連で適切に判断されると考えている」と述べました。
★立民 泉代表「自民 全国共通のおかしな体質」
立憲民主党の泉代表は、党の執行役員会で「本当にありえない認識、感覚に驚くばかりだ。自民党は京都でも議員による不透明な資金の流れが指摘されるなど、このようなことは枚挙にいとまがなく、全国共通のおかしな体質を持っていると言わざるを得ない。我々は絶対に許さず、今の自民党の政治を変えなければいけない」と述べました。
★検察幹部「国民の声として受け入れる必要あると考えた」
検察審査会の議決を受け、広島の地元議員ら34人を一転して起訴したことについて検察幹部の1人は「検察は当初、不起訴にしたが、犯罪は成立するとして起訴猶予としていた。このため検察審査会が『起訴すべき』と示した判断は、よほどありえないものでなければ、国民の声として受け入れる必要があると考えた」と話していました。
また別の幹部は「刑罰は国民の良識にかなったものでなくてはならない。国民から見て検察権の行使が『独善的』だとか『恣意的』だなどと批判を受けることが容易に想定される事件は、国民の良識がどこにあるか謙虚に見極めていかなければならない」と話していました。
**********NHK News Web 2022年3月24日 15:18
河井案里元議員の歳費返還求めた裁判 住民側の敗訴確定 最高裁
公職選挙法違反の買収の罪で有罪判決が確定した河井案里元参議院議員が受け取った4900万円余りの歳費などを国に返還させるよう広島県の住民が訴えた裁判で、住民側の敗訴が確定し、返還は認められませんでした。
河井案里元参議院議員は3年前の選挙で広島県議会議員4人に合わせて160万円を渡したとして、公職選挙法違反の買収の罪で執行猶予のついた有罪判決が確定し、当選が無効になりました。
これを受けて広島県の住民6人は、案里元議員が当選から辞職するまでに受け取った給与に当たる「歳費」と、ボーナスに当たる「期末手当」、それに月100万円の「文書交通滞在費」の合わせて4900万円余りを国に返還させるよう求める訴えを起こしました。
1審と2審は「住民の具体的な権利や義務について判断を求める訴えではないため裁判の対象にならない」として訴えを退けました。
住民側は上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の草野耕一裁判長は、24日までに上告を退ける決定をして住民側の敗訴が確定し、返還は認められませんでした。
**********NHK News Web 2022年3月25日 20:06
河井元法相 大規模買収事件 現金受領の元広島市議に略式命令
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件で、元大臣から50万円を受け取ったとして公職選挙法違反の罪で略式起訴された海徳裕志元広島市議会議員について、裁判所は罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を出しました。
略式命令を受けたのは、海徳裕志元広島市議会議員です。
河井克行元法務大臣の実刑判決が確定した3年前の参議院選挙をめぐる大規模買収事件では、ことし1月、東京の検察審査会が、裁判で現金を受け取ったと認定されたものの不起訴となった広島県議会議員や広島市議会議員など100人のうち35人を「起訴相当」と議決したと公表しました。
これを受けて検察当局が再捜査した結果、体調不良の1人を除き、25人が略式起訴、9人が正式に起訴されていました。
このうち、海徳元市議は河井元大臣から合わせて50万円を受け取ったとして公職選挙法違反の罪で略式起訴され、広島市にある可部簡易裁判所は24日付けで罰金25万円、追徴金50万円の略式命令を出しました。
今後、罰金などを納め有罪が確定すれば、5年間、公民権が停止されることになります。
3年前の参議院選挙をめぐり略式起訴された元議員のうち略式命令が出されたのはこれが初めてです。
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ご指摘のとおりです。
公選法違反や政治資金規正法違反の時効は3年となっていますが、これから捜査し、起訴に漕ぎ着けるまでに、どの程度の時間を要するのかは予断を許しません。これまでの当会の経験では、公選法違反容疑で警察に証拠を添えて告発した場合、1年間放っておかれたため、あらためて公安委員長あてに直訴の文書を提出したら、ようやく告発状が受理されて、3か月ほど捜査が行われて、地検に送検されましたが、半年程度経過したのち、不起訴となった事例があります。
今回は、犯罪の事実があった2か月後に直接地検に告発して、受理までに1年が経過したので、現時点で既に1年3か月が経過しようとしております。今後の見通しは、捜査の進捗次第ですが、遅くとも年内には起訴、不起訴がはっきりするのではないかと考えているところです。
来年4月には統一地方選挙で県議選が予定されており、仮に起訴となった場合でも、遅くなるほど、いわゆる「期限の利益」の観点から、当事者にとっては、「利益の喪失」という痛みが薄らぐことは事実でしょう。引き続き皆様と本件の動静を注視してまいります。
市民オンブズマン群馬事務局より