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1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アポロマークのタンクローリーがまた横転事故で精進湖に転落・・・出光の名前を出さないマスコミの不思議

2010-11-08 20:44:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■文化の日の直後の週末の行楽日和だった、11月6日(土)に、山梨県の富士五湖のひとつの精進湖に、赤と白のツートンカラーのタンクローリーが横転して転落し、積んでいた20キロリットルのガソリンや灯油などが湖面に漏れ出すという事故が発生しました。

 報道写真を見ると、明らかにアポロマークをつけた出光興産の配送タンクローリーですが、不思議なことに、どのマスコミも「出光」という言葉を報道文に入れていません。

 出光のタンクローリーの横転事故といえば、おととしの8月3日(日)早朝、首都高5号線の熊野町ジャンクション付近で発生した、首都高史上最悪の物損事故で、その後10月中旬まで、多大な被害と迷惑を首都高初め、首都高の利用者に与えた事故が記憶に蘇ります。このときも、事故写真を見れば一目瞭然ですが、なぜかマスコミはどこも「出光」という言葉を報じませんでした。

 首都高では、復旧費用と減収による収益被害を併せて約45億円を原因者である多胡運輸に請求し、できれば荷主にも損害賠償を請求したいと記者会見で発表しました。しかし、現在に至るまで、荷主の出光やホクブトランスポートはもとより、多胡運輸に請求書を出した形跡が確認できていません。

 今回の事故でも、同じようなマスコミの対応のため、首都高の事故の経緯を知る大勢の方は、首を傾げている事でしょう。

■それでは、事故を報じた地元の山梨日日新聞の記事を見てみましょう。
 
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精進湖にガソリン、灯油6000リットル流出か 満載のタンクローリーが転落
漁業組合、釣り観光への影響懸念
 11月6日午後2時50分ごろ、富士河口湖町精進の国道358号で、タンクローリーがガードレールをなぎ倒し、約10メートル下の精進湖に転落した。運転していた静岡県裾野市深良の運転手渡辺隆至さん(44)が右ひじに軽いけが。積載していた計20キロリットルのガソリンや灯油の一部が流出し、湖の1万平方メートル以上に広がった。周囲には油のにおいが充満。釣り客は避難し、現場は一時騒然となった。
富士吉田署によると、タンクローリーは東光運輸(静岡県)のもので、ガソリンなど計20キロリットルを積載し、静岡県から甲府市のガソリンスタンドに輸送中だった。同署ではカーブを曲がりきれなかった原因を調べています。また、富士五湖消防本部がオイルフェンスを張って、拡散を防ぐとともに、タンクローリーのタンクから油を抜いたり、湖から車体を引き揚げたりする作業に深夜まで追われた。
 現場は富士河口湖町精進の貸しボート業「湖畔荘」の約30メートル北東。富士吉田署によると、タンクローリーは、湖畔の国道358号を甲府方面に向かって北進中、片側1斜線の急な右カーブを曲がりきれずにガードレールに乗り上げ、道路から約10メートル下、約5メートル沖の湖内へ転落。ほぼ全体が湖水に沈んだ。カーブ付近には約35メートルにわたってブレーキ痕が残っていた。
 静岡県富士市から甲府市内のガソリンスタンドに行く途中で、タンクにはガソリン8キロリットル、軽油8キロリットル、灯油4キロリットルを積み、満載の状態だった。
 湖畔でボートを整備していた湖畔荘の渡辺金尊さん(70)は「タンクローリーが覆いかぶさってくるように落ちてきた。近い人で3メートルほど近くに落ちて、水しぶきをかぶった人もいた。運転手が窓から出てきてほっとした」と驚いた様子。釣りをしていた東京都の男性(53)は「『バリバリッ』という音がして、見上げるとタンクローリーが宙を舞っていた」と話した。タンクローリーの後続だった富士宮市の男性(26)は「カーブに入った時、後ろのタンクが揺れていて、倒れるように落ちていった」と話していた。
 富士五湖消防本部は車体を囲うように長さ約20メートルのオイルフェンスを設置し、油の吸着用マットを投入した。しかし、午後6時の段階で、車体から南に20メートル、西に100メートル、北に2、300メートルに油が流出したことが確認された。消防関係者によると、車体は運転席側のガソリン4キロリットルと、最後尾の灯油4キロリットルのタンクが転落の衝撃で破損しているもよう。湖には最大で6キロリットル(ドラム缶30本分)が流出している可能性があるという。
 午後9時すぎからはタンクの中身を吸い上げる作業に着手した。車体の引き揚げは現場の国道を通行止めにして行うという。
 精進湖漁業協同組合の渡辺勝夫組合長は「現在は、ワカサギやヘラブナがよく釣れる時期。精進湖は狭い湖なので、流出した油が魚に与える悪影響が心配」と不安げな様子。都留文科大の渡辺豊博教授は「魚や水鳥など周辺環境への影響は大きいだろう。今後の追跡調査や対策を講じるべきだ」と話していた。
【2010年11月7日付山梨日日新聞ほか】
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■事故後、現場では、11月6日夜から7日にかけて、タンクローリーの引き上げや湖に一部流出した油の除去作業に追われました。
 油の回収作業には、タンクローリーの運転手が勤務する東光運輸(静岡県富士市鈴川西町21-17、代表取締役会長吉田草臣氏、代表取締役社長杉本健則氏)の社員のほか、富士山の環境保全活動に取り組む「富士山クラブ」(本部・富士河口湖町西湖)のメンバーも急遽参加して、吸着マットの敷き詰めなどに協力しました。

 富士山クラブは今年最後の山梨側の富士山ふもとのごみ拾いをするはずでしたが、そこに転落事故が舞い込み、「環境や自然を守るのは、ごみ拾いも油回収も同じ」と同クラブ事務局次長の舟津宏昭さんが発案し、地元をはじめ静岡、神奈川、長野各県から参加していたメンバー約40人が協力しました。

 精進湖は、11月1日にワカサギ釣りが解禁されたばかりで、11月末まで可能なヘラブナ釣りと合わせ、釣り客が多く訪れる季節だということです。地元の漁協の組合長は「今のところ魚に直接的な影響は出ていないようだが、もう少し時間がたたないとはっきりしたことは分からない」と心配そうでした。

■こうしてボランティアの活躍もあり、吸着マットで油を吸い取ったり、中和剤を湖にまいたりして、油の回収作業は、7日の午後4時までにはほぼ完了しました。また、転落して、浸水していた出光のタンクローリーもそれまでに引き揚げられました。

静岡県は「魚の死骸が浮いていない」として、現時点では環境への影響調査は行わない方針ですが、東光運輸は11月14日まで、湖を訪れて異変がないか監視する予定だとのことです。

富士五湖消防本部によると、流出したのはガソリン約3850リットルと少量の灯油で、精進湖では11月1日のワカサギ釣り解禁後、最初の日曜日となりましたが、事故現場に一番近い貸しボート業の「湖畔荘」では、「事故があったので行かない」という釣り客のキャンセルが2件あり、いつもの半分しか利用がありませんでした。現場から約600メートル離れた「富士見荘」でも「通常約15隻の利用があるが、1隻だけだった」ということです。

 富士見荘の経営者で、精進湖観光協会の渡辺袈裟一会長は「ワカサギは1日に解禁になったばかり。解禁後初の週末で期待していただけに残念だ」とガッカリした様子で、
肩を落としました。東光運輸の社長は「県民や観光で精進湖を訪れた人に申し訳ない」と話していたそうです。

■以上が、報道されたこの出光タンクローリーの横転転落事故の経過ですが、幸い、運送会社がまともな会社のようで、事故後の対応措置も誠意をもって取り組んでいる様子で、荷主の出光興産に直接の影響はなさそうです。

 かといって、マスコミが「出光」という言葉をどこも誰も使わないのですから、やはり、出光の神通力は、マスコミ向けの広告宣伝費にあると言うことができるでしょう。

 おそらく、今回の事故の損害賠償は、移動クレーンのチャーター費用とタンクローリーの撤去作業にかかる人件費、ガードレールの復旧費用、協力してくれたボランティアなどへのお礼、貸しボート屋さんや漁協への慰謝料など、破損したローリーの損害を含めても、せいぜい1000万円程度で済むことでしょう。当然、保険でカバーされることでしょう。

■しかし、2年3ヶ月前に首都高5号線熊野町ジャンクションで発生した事故は、規模が数百倍違います。こうなると、被害を起こした方が強気となり、補償もなにもせずにいても、被害を受けた側が泣き寝入りしてくれるのですから、不思議な現象です。もっとも、首都高のタンクローリー横転炎上事故を起こした多胡運輸は、群馬県でも知る人ぞ知る政治家の息のかかった銘柄であり、安中市土地開発公社を舞台に51億円余もの巨額詐欺横領事件を起こした元職員のファミリー会社ですから、特別なのかもしれません。

 それにしても、「出光」の名をなぜか報じないマスコミの姿勢に納得できないのは、当会ばかりではないはずです。

【ひらく会情報部】
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