市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

弁護士から和解を勧められたら徹底的にその理由と背景を説明させて記録しておくべし(教訓その2)

2013-05-11 22:21:00 | 不良弁護士問題

■群馬弁護士会に所属する弁護士の人数は、平成25年4月1日現在で254名です。これは10年前に比べて約2倍の人数になります。このうち、1990年以降に懲戒処分された事案はつぎのとおりです。

●田中蓋悟 懲戒種別:戒告 懲戒年度:1990年4月 処分理由:不詳
●石川憲彦 懲戒種別:戒告 懲戒年度:1997年9月 処分理由:不詳
●石川憲彦(登録番号13800) 懲戒種別:業務停止2月 懲戒年度:2002年4月 処分理由:債務整理で放置
●石川憲彦/桐生合同法律事務所(登録番号13800) 懲戒種別:戒告 懲戒年度:2006年3月 処分理由:土地明け渡し訴訟で依頼人に説明不足
●内田武/内田武法律事務所(登録番号13572) 懲戒種別:業務停止4月 懲戒年度;2009年8月 処分理由:飲酒事故
●石川憲彦/石川法律事務所(登録番号13800) 懲戒種別:業務停止10月 懲戒年度:2009年10月 処分理由:事件放置。虚偽報告。4回目の懲戒
●増田智之/風の詩法律事務所(登録番号25785) 懲戒種別:戒告 懲戒年度:2011年2月 処分理由:依頼者に対して準備書面で攻撃
●松本淳/松本淳法律事務所(登録番号21242) 懲戒種別:業務停止8月 懲戒年度;2012年10月 処分理由:双方代理。高すぎる報酬

 一人で4回も懲戒された弁護士もおりますが、実際には泣き寝入りした被害者も多いと考えられ、不良弁護士の排除は社会問題としても急務だと思われます。
 懲戒されるとこのように公表されるため、弁護士としては避けたい処分であることは間違いありません。ただし、審査するのは同じ仲間の弁護士会ですから、仲間意識をどれくらい排除できるかがポイントとなります。

■今回の事案でも、廣田弁護士はオンブズマンからの懲戒請求に対して、次のように2回目の弁明書を提出してきました。

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【平成24年12月4日付群馬弁護士会経由送付された対象弁護士弁明書(2)】
                    平成24年12月4日
懲戒請求者 小 川   賢 殿
                    群馬弁護士会事務局
 平成24年(綱)第10号事案に関し,対象弁護士から弁明書(2)が提出されました。別添のとおり副本をお送りします。

平成24年(綱)第10号
 懲戒請求人 小  川     賢
 対象弁護士 廣  田  繁  雄
                       平成24年11月30目
  綱 紀 委 員 会
   委員長 金 井 厚 二 殿
          高崎市東町172番地の16 高崎合同法律事務所
               対象弁護士 廣  田  繁  雄
         弁  明  書(2)
第1 本訴訟及び本和解をめぐる被告ら3名の立場
1 懲戒請求人(以下「請求人」と略記する)が作成した平成24年10月31日付け陳述書により,本件中立の実質的当事者はMZ氏(以下「MZ氏」という)であることが判明した。このため,MZ氏ら被告3名に共通な本和解の意義を問題とする本件中立につき,より合理的な審理を行うためには,本訴訟におけるMZ氏の立場と本件和解後の活動等について簡略に述べておく必要がある。
2 MZ氏は,本件被告ら3人のうち,原告ら主張の名誉毀損文書の作成や配布への関わりが最も少なかった者である。しかし,原告らの主張によれば,MZ氏はその店舗を被告らの活動の拠点として提供するなどし,常に活動の中心に居たとされている。つまり,本訴訟を判決で終結させるうえで,MZ氏は,他の被告ら2名との関係で共謀を認定されない限り,最も安全圈にいたのである。
 なお,名誉毀損文書の作成・配布にかかわる被告ら3名間の関与度の違い及びこれに基づく訴訟結果に対する危険度は,客観的な観察に基づく判断であり,被告らの間に「ギクシヤクした関係」(陳述書4頁)を指摘したものではない。現実に,被告らの間にこうした関係はなかった。
3 また,対象弁護士は,本件和解後,被告ら3名に対し,今後に向けた13区民主化の活動をT氏等被告らの活動を支援した人たちに継承し,自らは前面に出ないようアドバイスした(既述)。このアドバイスに被告らが従ったか否かは兎も角として,結果的に,被告らは運動の前面には出ていない。つまり,被告KSは既に病気入院中であって運動に参加することはできなかったし,被告HTも心身共に病んでいたため,運動への余力を残していなかった。こうした事情がなかったMZ氏は,自ら前面には出ないものの,本和解の経過や内容を本訴訟の支援者らに伝えるべく努力していた(甲3.乙1の1,2)。
第2 懲戒請求人作成の陳述書・第2項(対象弁護士の主張に対する反論)に対する認否及び反論
1 和解の所産としての不適切経理
(1)読求人は,「不正経理が裁判の過程で確かめられて,原告らが勝訴できる見通しが立だなくなっていたことは,客観的に誰の目にも明らか…」と主張している。
 しかし,こうしたものの見方は,本訴訟の基本構造を理解しない者の考え方である。とりわけ本訴訟に関与していない請求人固有の考え方であり,他の被告らとは異なって比較的安全圈にいたMZ氏独自の考え方である。
ア 本訴訟はMZ氏らにとって被告事件であるから,裁判の中心的なテーマは被告らの名誉毀損の有無であり,原告らに不正経理があったからといって,基本的に,名誉毀損行為が当然に帳消しとなるわけではない。
 また,原告らの不正経理につき,被告らは自ら損害を被ったわけでなく,損害を被ったのは13区であるところ,被告らには,同損害を13区に対し弁償するよう原告に要求する住民訴訟類似の手段がない。
 以上の2点は,本訴訟の初期段階から,MZ氏らに対し,何度も説明している。
イ ところで原告の不正経理(役員会議の都度上寿司をとること等の悪慣行)又は不適切経理(違算,収支相殺後の数値を計上する分かり難い処理方法等)について,被告らは果敢に主張・立証し,原告らの反論にもかかわらず,受訴裁判所より一定の理解を得はした。しかし,被告らが最も問題とした公民館建設をめぐる不正経理については,一級建築士による建物鑑定を行うための訴訟実費が調達できない等の事情もあって,遂に被告らの主張に留まり,裁判所の心証を得たとはいえない訴訟状況であった。
 このため,被告らが配布した文書の中,で述べている原告らの行為が全て「真実」であることを立証しきったとはいえない。つまり,被告らが配布した文書における指摘事実が真実であることによって,被告らの行為の違法性が総て阻却されるという訴訟状況ではなかったのである。
ウ 確かに対象弁護士は,本訴訟開始に当たり,被告ら指摘にかかる原告らの行為が真実であれば,被告らにおいて公共の利益を図る目的に基づくものである以上,名誉毀損行為に該当しないことを一般的・抽象的に説明した。そして,本訴訟の過程において,被告ら共々,真実性の立証に努めてきた。
 しかし,公民館建設疑惑をはじめとして,原告らがとりあげる被告らの名誉毀損行為の全てにつき,その真実性の立証に成功したかといえば,必ずしもそうではない。
(2)被告らの不適切経理の主張に一部理解を示した受訴裁判所は,この立場から,訴訟上和解の手続において,一部不適切な慣行と会計処理の存在を認めるように,原告らを強く説得した。原告は,当初,この点を強く争っていたが,被告らが配布文書の中に相当でない表現があること等を認めて陳謝することを条件に,裁判所の説得に応じたのである。つまり,原告らは,無条件で自らの不適切会計を認めたのではない。この点,被告らにおいても,原告が不適切経理を認めることを条件に陳謝を認めたのであった。
 従って,不適切会計も陳謝も,専ら,和解手続の所産であって,双方の相関的な関係において初めて認められるものであることを理解すべきである。このため,MZ氏がしばしば引用する新聞記者の「不適切会計を認めているのであれば,和解などしなければよかった。」という言葉は,訴訟上和解の本質を全く理解しないものである。してみれば,こうした言説に惑わされて,本和解の本質を見失ってはならない。
 なお,対象弁護士が本訴訟を訴訟上和解で解決した動機と目的は,既に述べたところである(弁明書,第2,1「本和解を成立させた要因」)。
(3)以上によれば,「原告らが勝訴できる見通しがないことは,客観的に誰の目にも明らか…」等とは,到底いえない。
 「不適正会計が事実であれば,名誉毀損は関係なくなるのである。j(連言,5頁)という指摘は,原告から指摘を受けている多岐にわたる名誉毀損行為の各真実の立証問題を「不適正会計の事実」ですべて括ってしまう乱暴な論議である。何故なら,本訴訟を判決で解決した場合,多岐にわたる名誉毀損行為に関する真実立証が逐一問題とされることとなり,一部裁判所の理解を得たと推測できる不適切な会計処理だけで,勝訴を確信することは極めて危険であるからである。
 判決の行方に関する予測は極めて高度の判断であり,且つ困難であって,対象弁護士のみならず多くの弁護士が日常苦慮するところである。訴訟に関与していない請求人が正しく判断できるとは思えない。この点,裁判に関与したMZ氏においても基本的に同様である。
2 報酬金の免除
(1)弁護士を代理人として訴訟を行ううえでは,訴訟実費と弁護士報酬(書証に着手する時に要する着手金,訴訟で依頼の目的を達した時の報酬金)がかかる。
(2)対象弁護士は,本訴訟を受任するに際し,訴訟実費9万円と着手金60万円(1人当たり20万円)を受領した(甲6)。
 訴訟遂行の過程で,訴訟実費は大幅な赤字となった。このため,赤字分はそのまま対象弁護士が立物負担し,本訴訟終了後に被告らに補填を請求した(甲6)。
 被告らは,本和解により,原告らの請求(謝罪広告と慰謝料支払い)を免れることができた外,不適切な慣行と会計処理を原告に認めさせることにより,今後の13区民主化のための力と運動の正当性を根拠付ける大義を取得することができた。
 このため対象弁護士は,本来,少なくとも謝罪広告と慰謝料支払いを免れたことによる利益に即応する報酬金を被告らから受領することができるところ,これを免除した。その理由は,被告らが私利私欲のために原告を弾劾する文書を作成・配布したものではなく,13区全体の民主化を図るという犠牲的な精神に基づく側面があったことを評価したからである(既述)。
(3)請求人は,報酬金免除は,対象弁護士が本和解をもって「被告らの全面敗訴という実態」(陳述書4頁)を感じていたからであると主張している。
 しかし,全く不合理である。和解条項のうえで,被告らは,現実に,謝罪広告及び慰謝料の支払を免れている外,今後13区の民主化にとって重要な力となる原告らの不適切会計を認めさせている。上記主張は,全くの邪推である。
(4)請求人がMZ氏から聞いたところ,MZ氏は,訴訟終了後経費として27万円払ったと述べている。これは,対象弁護士がいう報酬金免除の点と噛み合っていない。
3 本和解後における対象弁護士の行動
(1)本和解の後,対象弁護士は,確かに,MZ氏を通じて,13区内で起こっている遺憾な状況(KT区長の再任,MZ氏に対する差別,T氏に対する嫌がらせ,その他)が続いていることを聞知している。しかし,訴訟の場合と異なり,KT氏側からみた情報に欠けており,その正確な様相について深く知ることもなかった。
(2)しかし,MZ氏から本和解にいたる経過と内容につき地元活動家らに対する説明を行うよう要請を受けた件(甲3)について,対象弁護士は,受任事件の延長線上の事務であると考え,要請があれば現地に出かけること等を約束する等,誠実に対応した心算である。そのことは,次のことから明らかである。
 ア MZ氏は,対象弁護士による上記約束を地元有志に伝えた旨を対象弁護士に書き送っている(乙1の1,2の手書き部分)。
 イ MZ氏は,対象弁護士の「証明書作成のお願い」(甲4)に応え,次ぎの点を認めている(甲4の2頁目,甲5)。
 (ア)大間々町で説明する場合,廣田が出向いて説明する。説明の日時場書等は時前に連絡されたい。
 (イ)地元有志が高崎合同法律事務所に来所する場合,廣田が説明する。
 (ウ)説明の日時場所等を対象弁護士に伝えたことはない。
(3)ところで請求人は,対象弁護士から「被告らに対して,全く反応がなく…」(懲戒請求書,2頁)と主張している。この点は,明らかに事実に反している。その原因は,おそらくは,①請求人のMZ氏に対する聴き取りが不十分であったか,②MZ氏が虚偽もしくは不十分な説明をしたか,の何れかであろう。誠に遺憾である。
(4)ところで些末な事柄であるが,次の点を弁明しておくこととする。
 ア 対象弁護士の上記約束を地元有志に伝えたか否かについて
   MZ氏は,一方で伝えた旨を書き記しており(乙1の1,2の手書き部分),他方で伝えていないと述べている(甲5,4項)。そして,伝えなかったのは,区長にKT氏を再任した点に納得がいかなかったからとしている。しかし,納得がいかないことと上記約束を伝えないこととの間にどのような脈絡があるのか不明である。
 イ KT氏が退任しない理由
   MZ氏は,平成24年6月頃,対象弁護士に対し「(KT氏は)なぜ退任しないのでしょうかと,言ったら大変驚いた様子でした…」(甲5,5項),対象弁護士は「事務所に帰り調べてみますと言われた…」(前同)と述べている。
   本和解の後,KT氏が区長再任後に退任しない理由を対象弁護士が知るはずがなく,事務所に帰って調べたところで,退任しない理由が分かるはずもない。
   実際は,次のとおりである。対象弁護士は,この日,MZ氏に「KTさんは,再任後今も区長をしているようですが,何故,退任しないのですかね。」と質問した。この質問から話が発展し,そもそも本和解直後に起こった事態に話が及んだ。そこでの話の焦点は,本和解後,その趣旨と異なる不幸な対立状況がどこから生じたのか,原・被告の何れの側から対立の要因となる一石が投ぜられたのかという点である。対象弁護士が調べてみますと言ったのは,本和解の前後ころに原・被告間で交わされた書面が対象弁護士の下で保管されていたため,その時系列を追って調べることの重要性があったからである。その書面とは,乙2の1~4及び乙3のことである。(ここで原告が問題とするのは,被告らが本和解における不適切会計と原告らの横領・背任を直結させて考えることの当否である)。
4 本和解後に原告代理人から対象弁護士に寄せられた御通知
(1)本和解成立後,対象弁護士は,原告代理人より平成22年6月24目「御通知」なる文書をFAXにより受領した(乙2の1~4)。その趣旨は,MZ氏とHT氏が本和解の趣旨を独自に解釈して本和解成立後も,依頼人(原告ら)の名誉を毀損するビラを繰り返し配布しているから,同行為を控えるよう対象弁護士から説明されたいとするものである。
 このため,同文書に対する回答を寄せることとなり,対象弁護士は,MZ氏と当時同氏らの活動を熱心に支援していたN氏を含め,少なくとも2回ほど協議している。同協議の際,「御通知」なる文書は,当然のことながらMZ氏にも呈示しており,MZ氏もT氏が原告らから受けた暴言を収録した録音テープを対象弁護士に届けている。このため,MZ氏が上記文書を知らぬはずはない。
   そして,回答した文書が乙3である。
(2)この点につき,請求人は,「13区の不正会計は裁判の過程で明らかことから,名誉毀損は成立しない…。本来,原告代理人がそのようなFAXを対象弁護士に送り付けること自体,首をかしげざるを得ない…」(陳述書,5頁)と述べている。原告代理人らの主張は,本和解後の状況を問題としているのであるから,MZ氏らの新たな行為が問題となるのであって,本和解と不適切会計の関係を問題としてもさしたる意義はない。これ以外に,原告らが引き続き区長として留まっていることの理不尽は,請求人の主張するとおりであるが,本件懲戒請求事案においてそのことを議論する意義はない。
(3)本和解後も13区内で本和解の趣旨に反する遺憾な状況が継続していることについて,対象弁護士が一半の責任を感じていることは既に述べた。
 しかし,こうした状況が続いた要因が,原告にあるのか,被告にあるのか,それとも双方にあるのか等については,未だ十分に解明されてはいない。ましてや,遺憾な状況の発生につき,既に任務を終了した原・被告らの双方代理人が具体的状況の中で如何なる具体的な抑止義務を負っていたかは明確ではない。このため,上記事態の発生が直ちに上記代理人とりわけ対象弁護士につき懲戒原因を構成することになるとは考えられない。
第3 懲戒請求人作成の陳述書・第3項(対象弁護士の不審な行動)について
1 対象弁護士は,平成24年10月14日ころ,MZ氏に電話した。その目的は,対象弁護士がMZ氏の要請に応じて本和解の経過及び内容等につき説明する旨を回答していた事実につき,証明書の作成を依頼するためであった。
  しかし,その際,MZ氏は電話に出なかったため,留守番電話にその旨を録音して,電話を切った。そして,対象弁護士は,自宅の固定電話(027-372-0277)から,MZ氏の固定電話に対し,平成24年10月14日付けFAX通信表により,改めて,証明書の作成をお願いした。
  当時,対象弁護士の自宅固定電話のFAXは着信ができない状況であり,その修復を試みたが果たせなかった。その際,通信日時や発信者に関する入力が初期化してしまい,甲第4号証の下欄に記されている目付や発信者の記載となってしまっていた。対象弁護士は,陳述書による今回の指摘により,初期化の事実を初めて知った次第である。このことにつき,対象弁護士には何らの意図もない。そのことは,FAX通信表(甲4)に送信者として対象弁護士の所属事務所と氏名を明記していることから容易に分かるところであろう。
  その後,MZ氏からは,何の連絡もなかったため,対象弁護士は,平成24年10月18日ころ,MZ氏の家族に対し,上記依頼の趣旨をMZ氏に伝えるよう要請した。
2 これ以前,本件懲戒申立言が対象弁護士に送達された直後,請求人が対象弁護士の知らない人物であったことから,対象弁護士は,対象弁護士とMZ氏の間にあった本和解の経過・内容に関する要請と対象弁護士の約束の事実につき,請求人が承知していないと思い,MZ氏に電話して,上記約束等の事実につき確認した。その際,MZ氏は,現に存在した事実はそのまま証明する旨を語っている。
  その後,対象弁護士は,本件申立の実質的当事者が判明しなければ,申立の意向に噛み合った議論がなされないことを懸念し,再度,MZ氏に電話した。その際,「MZさんの気持ちはどうなんですか。」と聞いたのは,そうした動機によるものである。このとき対象弁護士とMZ氏は,本和解前後において話題とされたKT区長の退任問題について,改めて話した。対象弁護士は,和解交渉当時の話しが「不適切会計を認めたのだから,何れ責任をとって辞めるはず…」と語ったものであると述べた。これに対し,MZ氏は,対象弁護士が本和解は原告からの申し入れによるものであること,KT区長の退任が確定的なものと述べたとし,両者の意見は食い違った。通話中に一度電話が切れたが,それは偶然のことであり,対象弁護士はかけ直して通話を続行している。この際,MZ氏は,上記食い違いにもかかわらず,「廣田先生の不利益になるようなことは言いませんよ。」と述べ,更に「こんなこと(本件懲戒請求のこと)は辞めてもらいたいんだ。」とも述べている。
3 以上のとおり,本件申立後に対象弁護士がMZ氏に電話して通話できたのは上記のとおり2回であり,通話の内容も上記のとおりである。
                             以  上

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【平成24年12月11日付群馬弁護士会からの事務連絡】
                   平成24年12月11日
懲戒請求者 小川 賢 殿
               群馬弁護士会綱紀委員会
                 委員長 金 井 厚 二
          事 務 連 絡
     事案番号    平成24年(綱)第10号
     懲戒請求者   小 川   賢
     対象弁護士   廣 田 繁 雄
 上記事案について、下記の書面を12月28日(金)までに提出してください。
          記
1 11月30日付け対象弁護士の弁明書(2)に対する反論等を記録した書面
2 前橋地方裁判所桐生市部平成19年(ワ)第113号事件の訴状(写し)及び答弁書(写し)

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【平成24年12月23日付群馬弁護士会あて事務連絡】
                    平成24年12月23日
〒371-0026群馬県前橋市大手町3丁目6-6
群馬県弁護士会綱紀委員会
 委員長 金 井 厚 二 様
懲戒請求者 〒379-0114群馬県安中市野殿980
 小 川   賢   ㊞
事 務 連 絡
事案番号 平成24年(綱)第10号
懲戒請求者 小 川   賢
対象弁護士 廣 田 繁 雄
 平成24年12月11日付貴事務連絡に基き、下記の書面を茲許提出いたします。
          記
 前橋地方裁判所桐生支部平成19年(ワ)第113号事件の訴状(写し)
 同                          答弁書(写し)
※ なお、平成24年11月30日付け対象弁護士の弁明書(2)に対する反論等を記載した書面につきましては、平成24年12月12日付け懲戒請求者の陳述書(2)を貴会あてに提出済みです。
                    以 上

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【平成24年12月22日付群馬弁護士会からの事務連絡】
                    平成24年12月28目
 懲戒請求者 小 川   賢 殿
                 群馬弁護十全綱紀委員会
                 委員長 金 井 厚 二
          事 務 連 絡
     事案番号   平成24年(綱)第10号
     懲戒請求者  小 川   賢
     対象弁護士  広 田 繁 雄
 上記教案について,下記の書面を平成25年1月18日(金)までに提出してください。
          記
1 前橋地方裁判所桐生支部平成19年(ワ)第113号事件の訴状の鮮明なコピー(12月23日付けで提出していただいた訴状(写し)は,書き込みがあるなど不鮮明なため。)
2 同事件の答弁書を補充した対象弁護士作成の準備書面(写し)(提出していただいた答弁書は,被告本人らが作成したものである。その後に対象弁護士が補充した準備書面があると思われる。)

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【平成25年1月15日付群馬弁護士会あて事務連絡】
                    平成25年1月15日
〒371-0026群馬県前橋市大手町3丁目6-6
群馬県弁護士会綱紀委員会
 委員長 金 井 厚 二 様
               懲戒請求者 〒379-0114群馬県安中市野殿980
                     小 川   賢   ㊞
          事 務 連 絡
     事案番号 平成24年(綱)第10号
     懲戒請求者 小 川   賢
     対象弁護士 廣 田 繁 雄
 平成24年12月28日付貴事務連絡に基き、下記の書面を茲許提出いたします。


1.前橋地方裁判所桐生支部平成19年(ワ)第113号事件の訴状(鮮明な写し)
2.同上の事件の答弁書を補充した対象弁護士作成の準備書面(1)(写し)
以 上

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【平成25年1月15日付群馬弁護士会からの調査期日決定通知】
                    平成25年1月15日
懲戒請求者 小 川  賢 殿
               群馬弁護士会綱紀委員会
                委員長 金 井 厚 二
     調査期日の決定について(ご通知)
     群馬弁護士会 平成24年(綱)第10号
            懲戒請求者 小 川   賢
            対象弁護士 廣 田 繁 雄
 上記懲戒請求事案に関して,貴殿からお話をうかがいたく,下記のとおり調査期日を開きます。追加の関係書類や証拠となるものがありましたら,お持ちになって,ご出席くださるようご通知します。
 なお,都合によりご出席できない場合は,その旨及び理由を付した文章をご提出してください。
          記
     1 期 日  平成25年2月20日(水)午後3時から
     2 場 所  群馬県弁護士会館2階 小会議室
            前橋市大手町3-6-6
※ お手数ですが,同封の「期日調書」に押印のうえ,返送又はファクシミリでご返信ください。
          電話 027-233-4804
          FAX 027-235-7425(担当 猪浦)

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【平成25年5月8日付決定通知】
                    平成25年5月8日
懲戒請求者 小 川   賢 殿
               群馬弁護士会
                会長 小 磯 正 康
          懲成請求事案の決定について(通知)
 以下の事案につき綱紀委員会の議決に基づき,別紙のとおり対象弁護士を懲戒しない旨決定したので,綱紀委員会及び綱紀手続に関する会規第55条第2項の規定により,綱紀委員会議決書の謄本を添付して通知します。
          事案番号: 平成24年(綱)第10号
 懲戒請求者は,この決定について不服かおるときは,弁護士法第64条の規定により,日本弁護士連合会に異議を申し出ることができます。
 なお,異議の申出は,この通知を受けた日の翌日から起算して60日以内に,書面によってしなければなりません(郵便又は信書便で提出した場合,送付に要した日数は算入しません。郵便又は信書便に当たらない宅配便,メール便,ゆうパックなどの場合,送付に要した日数は算入されます。)。
 異議申出書の記載事項及び必要部数については,以下のウェブサイトを御覧ください。
 *懲戒請求事案に関する異議申出の方法について
  http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/autonomy/chokai/tyoukai_igi.html
   (又は,検索サイトで「懲戒異議申出」と検索してください。)
 インターネットを御利用にならない場合には,ウェブサイトと同内容の書面を郵送かファックスでお送りしますので,以下までお申し付けください。
 *異議申出書の提出先・問い合わせ先
  日本弁護士連合会(担当:審査部審査第二課)
  〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3
  電話 03-3580-9841(代)

【決定書】
 平成24年(綱)第10号
          決 定 書
            群馬県安中市野殿980番地
             懲戒請求者  小 川   賢
            群馬県高崎市東町172番地16 共済会館3階
            高崎合同法律事務所
             対象弁護士  廣 田 繁 雄
                     (登録番号12845)
 本会は,上記懲戒請求事案につき,次のとおり決定する。
          主   文
     対象弁護士を懲戒しない。
          理   由
 上記対象弁護士に対する懲戒の請求について,綱紀委員会に事案の調査を求めたところ,同委員会が別紙のとおり議決したので,弁護士法第58条第4項の規定により,主文のとおり決定する。
平成25年5月8日
          群馬弁護士会
             会長 小 磯 正 康

【議決書】
群馬弁護士会 平成24年(綱)第10号
          議  決  書
            群馬県安中市野殿980番地
            懲戒請求者 小 川   賢
            群馬県高崎市東町172番地16 共済会館3階
             高暗合同法律事務所
            対象弁護士 廣 田 繁 雄
                      (登録番号12845)
          主   文
 対象弁護士につき,懲戒委員会に事実の審査を求めないことを相当とする。
          理   由
第1 懲戒請求事由の要旨
1 みどり市大間々町13区の区長KT及び前区長KMは,群馬県みどり市大間々町第13区の運営を巡る文書配布で名誉を傷つけられたとして,同文書配布に関わった同区民のKS,HT,MZの3名を被告として前橋地方裁判所桐生支部に謝罪広告等請求事件〔平成19年(ワ)第113号〕を提起し,被告に対し上毛新聞,桐生タイムス等への謝罪広告掲載と各金100万円の損害賠償を求めた。
  この訴訟の被告ら代理人として,対象弁護士が就任した。
2 本件訴訟は,平成22年4月23日,約3年近い歳月を経過して,要旨以下の和解が成立した。
  当事者ら双方は,13区の過去の会計において一部適切でない慣行及び会計処理があったことを共通の前提として,以下のとおり合意をする。
 (1)被告らは,原告らに対し,相当でない表現を用いて原告らの名誉を毀損する内容を含む文書等を作成,配布したことにつき陳謝する。
 (2)当事者ら双方は,爾後,13区の運営がより民主的かつ適切にされるよう相互に協力し,互いの名誉を毀損するような言動をしないことを相互に約束する。
3 被告らが上記和解に踏み切ったのは,対象弁護士の以下3点の説明と説得があったからである
 (1)区長側より裁判を和解に持ち込めないかとの説明を受けたこと。
 (2)裁判官から,区長らは悪いことをしたことはわかっているが,前向きに建設的な気持ちになりなさいと諭されたこと。
 (3)対象弁護士からは,区長側が不適切な会計を認めたのだから辞任するでしょうからとの説明を受けたこと。
4 被告らは,上記3点の説明を受けたことから,対象弁護士からの説得を受けてその言葉を信じ,その説得に応じて和解に踏み切った。
5 平成22年5月22日付桐生タイムスに和解内容が報じられたが,原告のKT区長は,和解条項を無視して,「桐生タイムスの裁判記事記載は間違いであるから,被告KSらは13区を乱した罪として13区から出ていけ。」と述べて区費の徴収を拒否したり,被告らや被告らに賛同した区民に対して13区の役職を強制的に降ろしたり,中傷したりして非情な仕打ちをした。
 被告らは,村八分にされているが,これも対象弁護士の和解の説明の言葉と説得を信用したからである。
6 被告らは,事態の終息のため,原告らに和解条項を遵守させるための方策として,区民に和解の状況や経過を説明するよう対象弁護士に求めたが,全く反応しない。
 7 対象弁護士の和解に至る行為や和解後の対応は,弁護士法第1条2項の誠実に職務を行う義務に違反し,弁護士法第56条の懲戒処分に該当する。
  なお,懲戒請求人は,市民オンブズマン群馬の代表者であるが,平成24年8月18日の開会の例会に被告MZが出席して相談を受けたことから,本懲戒請求者となったものである。
第2 対象弁護士の弁明
1 懲戒請求事由1は認める。
2 同事由2は認める。
3 同事由3について
 (1)本文については,被告らが和解した動機の中には対象弁護士の説得,説明以外に裁判官の説得等も含め,他の要因もあった。
 (2)同(1)は不知。
 (3)同(2)は概ね認める。
 (4)同(3)のうち,区長側が不適切な会計を認めたことは認めるが,「辞任するでしょうから」との説明は,見通しを述べたものであって断定的なものとして述べたものではない。
  なお,区長の辞任自体が和解の成否を決定付けた重大事ではない。
4 同事由4は否認する。
  和解は,被告らと対象弁護士が協議した結果,成立したものであって,対象弁護士の言葉を信じ,説得に応じて和解に踏み切ったという経過ではない。
5 同事由5は概ね認めるが,対象弁護士の和解の言葉を信頼したためという点は否認する。
  原告らの裁判後の行動は,被告らはもとより対象弁護士の予想外の行動であり,対象弁護士の責任に帰することはできない。
6 同事由6は否認する。
  対象弁護士は,被告らから,事態終息のため,和解の経過を区民に説明する協力要請に全く反応していないわけではない。被告MZから和解成立後の経過を地元関係者に直接説明に出向くよう求められ,①日時,場所を設定すれば出向いていく,②対象弁護士の事務所に来所してもらい,同所で説明してもよい旨回答したが,被告MZからは,①についての要請もなく,②の打診もなかった。
7 同事由7は否認する。
  対象弁護士は,「和解に至る行為」の説明と説得は,和解条項記載のとおり13区の運営がより民主的,かつ適切になされるよう前向きに建設的に考えたほうが望ましいと判断し,被告らにもその旨説明して説得し,被告らもこれを承諾して和解したものであって,これは和解手続における通常の方法であり,被告らの意思に反して和解を進めたということは全くなかった。
  また,被告らから裁判所の判決がほしいという要望もなかった。
  よって,対象弁護士は,懲戒に相当するような行為は何等していない。
  なお,本件懲戒請求は,訴訟当事者とは直接関係のない立場の者による請求である。

第3 証拠
1 書証
 (1)懲戒請求者
   甲第1号証   第27回口頭弁論調書(和解)(前橋地方裁判所桐生支部平成19年第113号)
   甲第2号証   桐生タイムス(平成22年5月25日付)
   甲第3号証   書簡(平成24年3月10日付)
   甲第4号証   FAX通信表(平成24年10月14日付)
   甲第5号証   証明書
   甲第6号証   請求書
   甲第7号証   訴状(前橋地方裁判所桐生支部平成19年(ワ)第113号)
   甲第8号証   答弁書(同上事件)
   甲第9号証   被告準備書面(1)(同上事件)
   甲第10号証  平成25年2月20日調査期日用資料
   甲第11号証  平成25年2月20日調査期日用資料
   甲第12号証  平成14年度の金銭出納頓と一般会計簿の比較
   甲第13号証  平成15年度の金銭出納頓と一般会計簿の比較
   甲第14号証  金銭出納帳と一般会計簿の比較
   甲第15号証  繰越金について
 (2)対象弁護士
   乙第1号証の1 「広田弁護士様」ではじまる書面(平成24年4月頃付)
        の2 「広田弁護士様」ではじまる書面(平成24年4月23日付)
   乙第2号証の1 「御通知」なるFAX文書(平成22年6月24日付)
        の2 「みどり市第13区の不正会計疑惑…」で始まる書面
        の3 「第1回報告書補正板」で始まる書面
        の4 「大開々町第13区の皆様へ」ではじまる書面
   乙第3号証   回答書
2 人証
  懲戒請求者,MZ

第4 当委員会が認定した事実及び判断
1 当委員会の認定した事実
 (1)原告KT外1名は,平成19年8月19目,KS,HT,MZの3名を被告として謝罪広告等請求事件を前橋地方裁判所桐生支部に提訴した。
   請求の内容は,①桐生タイムス外2紙に謝罪広告を掲載すること,②被告らは連帯して,原告らに対し,各1 0 0万円を支払えというものである。
   被告らは,訴訟代理人として対象弁護士に委任した。
 (2)同訴訟における原告らの主張は,被告らが虚偽であることを知りながら,原告らが区費の不正処理をして横領,着服,または濫用した旨公言して,原告らの名誉を毀損し,原告らに対する区民らの信頼を損ねたということで,謝罪広告と損害賠償を求めたものである。
 (3)本件訴訟は,平成22年4月23日付で被告HT,同MZ同席のうえ和解が成立し,その内容は,群馬県みどり市大間々町第13区の過去の会計において,一部適切でない慣行及び会計処理があったことを当事者ら双方の共通の前提として,①被告らは,原告に対し,相当でない表現を用いて原告らの名誉を毀損する内容を含む文書を作成,配布したことにつき謝罪する,②当事者ら双方は,今後13区の運営がより民主的,かつ適切にされるよう協力し,互いの名誉を毀損しないことを約束するというものであった。
 (4)この和解は,平成22年5月23目付桐生タイムス夕刊で報道され,見出しに「大間々13区訴訟が和解 名誉傷つけて陳謝一区民側 不適切会計認める一区長側」と掲載された。
 (5)和解成立後の平成22年6月24日,原告ら代理人から被告ら代理人の対象弁護士に対して通知書が届き,被告MZ及び同HTが和解内容を独自に解釈し,原告らの名誉を毀損する内容を含むビラの配布を繰り返しているので,そのような行為は控えるよう申し入れがあった。
  これに対し,被告ら代理人の対象弁護士は,同年7月23日付回答書で,原告ら代理人の申し入れに添付された文書は名誉を毀損するものではないこと,和解前に配布した文書であること等を回答している。
 (6)その後,平成24年4月10日,被告MZから対象弁護士に対し,区長らが区民に対して和解の意味を誤解した伝え方をしているので,和解の伏況と経過を区民に説明してほしい旨の通知があった。
  対象弁護士は,区民に対し,説明に出向いていくことや対象弁護士の事務所を訪問されてもよい旨を回答していた。
  しかし,被告らから具体的な要望はなかった。
 (7)平成24年8月18日,被告MZは,懲戒請求人小川賢の代表する市民オンブズマン群馬の例会に出席して,同人に相談した結果,平成24年9月7日,同人が本懲戒請求を申し立てた。
2 当委員会の判断
 (1)まず,対象弁護士から和解の成立する過程で対象弁護士に弁護士法違反の事由があるかであるが,この点については,弁護士職務基本規程第36条に定める(本件処理の報告及び協議)義務に関する問題がある。
  懲戒請求者は,被告らが本件訴訟の和解成立を決断するに至った動機として,対象弁護士の次の点についての説明と説得が和解の決め手となったと主張する。これが決め手となったとして対象弁護士の説明,説得が同規定に反するかについて判断すると,対象弁護士は,次の三点すなわち,
 ①「区長側からこの裁判を和解に持ち込めないかとの説明があった」との主張については認定はできない。
 ②裁判官から「区長側は悪いことをしたことはわかっているが,前向きに建設的になりなさいと諭された」との主張については認定でき,対象弁護士も裁判官が不適切な会計の存在を認識していると説明したものである。
 ③対象弁護士から,区長側は不適切な会計を認めているのだから「辞任するでしょうから。」との説明があったことは認められる。一方,区長の辞任が和解の成否を決定づける事項となっていなかったことも認められる。対象弁護士の上記発言は,希望的な見通しを述べたものであって,断定的に述べたものとは認められない。
  そして,和解後に原告KTが区長を辞任しなかったことは,前記希望的な見通しが違っていたこともあったが,和解の中で区長が辞任する旨の約束も取り付けられていない以上,和解成立後の区長らの動向は,和解の条項に違反することでもない。
  こうしてみると,対象弁護士の上記三点に関する説明と説得が決め手と
 なったとは言い切れず,また,仮に被告らが対象弁護士の言葉を信頼して和解に踏み切ったとしても,被告HT,同MZ同席のうえで,被告らの判断で和解を成立させたものであったから,対象弁護士に弁護士職務基本規定第36条の違反は認められない。
(2)次に,和解後の対象弁護士の対応については,民法第645条に委任中に処理の状況を報告し,委任終了後に遅延なくその経過及び結果を報告する義務を負い,弁護士職務規程第44条において(処理結果説明)義務があるところ,和解成立後の平成22年6月24日,原告ら代理人から対象弁護士に通知書が届き,被告MZ及び同HTが和解内容を独自に解釈して原告らの名誉を毀損する内容のビラの配布を繰り返しているので,差し控えるよう相手方に働きかけてほしい旨申し入れがあった。
  これに対し,対象弁護士が上記処理結果説明義務として対応する義務は存在しないと認められるが,対象弁護士は,同年7月23日付回答書で原告ら代理人の申し入れに添付された文書は,原告らの名誉を毀損するものではないこと,同文書は和解前に配布した文書である旨回答している。
  また,被告らからの説明に来てほしい旨の連絡に対しても連絡があればいつでも被告ら方に出向いて説明すること,また,対象弁護士事務所を来訪してもらい説明するのでもよい旨回答しており,被告らからは,これに対する要望は特になかったのであるが,この点も対象弁護士の上記処理結果説明義務として対応する義務はないと認められ,対象弁護士に同規定に違反する行為はない。
 以上からすると,対象弁護士に弁護士法第56条1項の非行があったとはいえない。
 よって,主文のとおり議決する。
  平成25年4月25日
     群馬弁護士会綱紀委員会
     委員長職務代行副委員長  山 田 謙 治 (自署)

これは謄本である。
平成25年5月8日
 群馬弁護士会
  会 長  小 磯 正 康
**********

■群馬弁護士会の決定通知にも記されている通り、議決の内容に不服がある場合には日弁連への異議申立ができます。異議申立を行うときは、資料の提出や陳述、審尋等は行われず、相手方の答弁書が申立人へ送られることもありませんが、相手方の答弁書を見たいときは、閲覧謄写申請をすることができます。

 日本弁護士連合会(日弁連)は、単位弁護士会が懲戒請求申立を却下したとき、同議決に対する異議申立を受理しますが、ここで再審査に至る割合は平均すると僅かに1.2パーセントです。

 異議申立は、決定通知を受けた日の翌日(平成25年10日)から起算して60日以内に書面ですることになります。現在、本件相談者と対応について協議中です。

【市民オンブズマン群馬からの報告・この項おわり】

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1 コメント

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Unknown (nim)
2013-09-29 23:26:27
こんばんは。
こちらのご報告を参考に、総務省に対して群馬弁護士会に対し厳重注意をするようにお願い致しましたので、お礼を兼ねて書き込み致します。

尚、群馬弁護士会の教示通りにメール便で異議申出書を送付した場合、郵便法第4条違反となり、懲役三年以下の刑罰を受ける恐れもあります。犯罪を引き起こしかねない教示を弁護士会がしているとはいったいどういう事なのでしょうか。


=====以下、厳重注意要請
郵便課様
群馬弁護士会において、弁護士法に基づく懲戒制度における懲戒請求者に対し、次の通り異議申出の教示がなされているそうです。
宅配便などでの信書送付においては、異議申出の前提としての日数参入出来ないという事がこまごまと書かれておりますが、このような教示がなされる事それ自体によって、懲戒請求者がメール便などによる弁護士会への異議申出等が可能であるという誤解を招く事は明らかであり、極めて問題ではないかと考えております。せめて、メール便を使用して送る行為は犯罪行為であることや、すべきではないという注意書きを併記すべきもので、何らそういった併記をしないまま、メール便の場合参入しないとだけ書く事は、弁護士会という公的機関が郵便法違反を煽る事に他ならず、犯罪をさせる事につながり、重大な問題と言わざるを得ません。つきましては、群馬弁護士会に対し厳重注意をお願い致したいと思います。

===================================================================
「懲戒請求者は,この決定について不服があるときは,弁護士法第64条の規定により,日本弁護士連合会に異議を申し出ることができます。
 なお,異議の申出は,この通知を受けた日の翌日から起算して60日以内に,書面によってしなければなりません(郵便又は信書便で提出した場合,送付に要した日数は算入しません。郵便又は信書便に当たらない宅配便,メール便,ゆうパックなどの場合,送付に要した日数は算入されます。)。
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