■安中市役所で開催中の12月定例市議会で、12月3日に市議会の文教常任委員会が、岡田市長から提案されたタクマ談合問題の損害賠償請求のための提訴を求める議案を継続審査としたことは、既に当会のブログでも報告済みです。その後、本会議での取り扱いがどのような茶番劇になるか、見守ってきたところ、案の定、昨日(12月13日)の本会議で、継続審査にすることが賛成多数で決りました。
さっそく、昨日から今日にかけての新聞やネット報道をチェックしてみました。NHK、上毛、毎日新聞の順に紹介します。
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●業者提訴の議案 継続審査に
安中市発注のごみ処理施設の建設をめぐり、入札で談合が行われた疑いがあるとして、市が兵庫県の業者に損害賠償を求めることにしていましたが、安中市議会は13日、提訴に必要な議案を継続審査とすることを決めました。
安中市が平成7年に発注したごみ処理施設「碓氷川クリーンセンター」の建設工事では、兵庫県尼崎市の大手プラントメーカー「タクマ」が、予定価格の99.76%に当たるおよそ64億8600万円で落札しました。
しかしこの入札に参加したタクマを含む大手5社について、公正取引委員会は、平成18年に自治体発注のごみ処理施設の建設工事で談合を繰り返していたとする審決を下し、去年10月、最高裁で審決が確定しました。
これを受けて安中市では「談合がなければ、もっと安く済んだ」などとして、差額分およそ6億4800万円の損害賠償を求める方針を決め市議会に関連の議案を提案していました。
12月13日開かれた市議会の本会議で、市民文教常任委員会の柳沢吉保委員長は、慎重な審査が必要だとして議案を継続審査とする、委員会報告を行いました。
そして採決の結果、委員会の決定を賛成多数で可決し、継続審査とすることを決めました。
これを受けて安中市では、提訴に向けた調査や検討を行い、今後改めて市議会への関連議案の提案を目指すことにしています。
(NHKオンライン 各地のニュース前橋放送局 12月13日 12時25分)
●タクマ社提訴の議案は継続審査 安中市議会
安中市のごみ焼却施設、碓氷川クリーンセンター(1998年完成)を建設したタクマ(兵庫県尼崎市)が公正取引委員会による談合行為の排除措置を受けた問題で、安中市議会は12月13日、本会議を開き、市が同社に約6億4800万円の損害賠償を請求する提訴について議決を求めた議案を継続審査にすることを賛成多数で決めた。
議会側は、市が公取委の審決だけを根拠に争おうとし、独占禁止法に精通した弁護士に代理人を依頼する意思がないことを問題視していた。来年3月の市議会定例会に市が修正案を提出しなければ、4月の改選に伴って廃案となる。
(平成22年12月14日上毛新聞朝刊2面)
●安中のごみ焼却施設談合:メーカー提訴に同意は継続審査 損賠で安中市議会 /群馬
安中市原市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」を巡る入札談合問題で、同市議会は13日、市が訴えの提起に同意を求めていた大手プラントメーカー「タクマ」(本社・兵庫県尼崎市)に対する6億4859万円の損害賠償請求訴訟について、議会としての結論を見送り、継続審査にすることを決めた。
市議会市民文教委員会では、独占禁止法に精通した弁護士に代理人を依頼すべきだなど市の対応に注文が出ていた。【増田勝彦】
(平成22年12月14日毎日新聞)
**********
■談合事件の住民訴訟では勝訴率が非常に高くなっています。とくに、ごみ焼却施設の入札を舞台にした大手5社による談合事件は、各地の自治体から提訴されてその大半は勝訴判決を勝ち取っており、違法に高く吊上げられた落札額により失われた血税の回収に大きな貢献をしてきました。
このような絶好の勝訴案件にもかかわらず、報道によると、安中市議会では、「公取委の審決だけを根拠に争おうのは無茶だ」とか、「独占禁止法に精通した弁護士に代理人すべきだ」などと、小学生でも首を傾げるあきれ果てた理由を引き合いにして、継続審査としました。
これまで、裁判で不敗神話を誇っている岡田市長に対してこのようなイチャモンをつけるとはまことに遺憾な安中市議会の与党派です。阿久根市長を見習って、岡田市長は専決処分で、提訴すればよいのに、と我々一般市民は議会の不甲斐なさを恥ずかしく思いますが、味方を変えれば、茶番劇だということもありえます。
■当会では、11月30日に、配達証明付きで安中市監査委員から、当会が10月12日付で提出していた安中市のごみ焼却施設の談合問題に関する住民監査請求に対して、棄却通知を受領しているため、住民訴訟に踏み切るための猶予期限は12月30日だということになります。つまり、今年の仕事納めまでに訴状を前橋地裁に提出できる資格があります。
しかし、住民として訴訟に踏み切るには、次のような幾つかの問題があります。
(1)市長個人を被告にできないこと タクマの談合焼却場の入札までの手続にかかわったのは、タゴ51億円事件でタゴとゴルフ三昧だったことがバレたりして平成7年10月に市長の座を投げ出した小川勝寿市長と、その直後の同年11月の出直し市長選で当選した中島博範市長であり、岡田市長は当時、安中市議から群馬県議会議員に鞍替えした頃でした。岡田市長がどの程度、この談合問題に関与したのかどうかは定かではありませんが、公取委が審決したとおり本件は安中市への損害があきらかな事案ですので住民訴訟の被告になってもらいたいところです。
しかし、平成14年(2002年)に地方自治法が改悪されたため(この経緯は市民オンブズマン群馬のHP参照http://www.ne.jp/asahi/ombudsman/gunma/kiji/chihoujichihou-kaiaku.htm)、「行政機関の長としての首長」しか被告にできません。つまり、首長個人は被告にできないのです。そのため、提訴されても首長個人は何も責任を感じない仕組みになっています。当時、市民オンブズマン群馬がいだいた住民訴訟の骨抜きの危機感が、まさに現実化しています。
(2)談合企業を被告にできないこと 談合などの場合、かつては談合に参加した企業も一緒に被告として訴えることが出来ましたが、2002年の地方自治法の改悪により、それが出来なくなりました。被告にできるのは「行政機関の長」だけです。
「行政機関の長」を被告にするので、被告の弁護士費用など裁判費用はすべて自治体の公費(=税金)負担です。今回は、自治体として談合で不当に高い支出を余儀なくされたため、その損害を取り戻す裁判をするのですから、裁判費用を自治体で負担するのには、あまり違和感がありませんが、公金で裁判費用を賄うため、短期決戦で決着するという意欲が薄れ、裁判が引き伸ばされて、喜ぶのは弁護士だけ、ということになります。一方、住民側は、相変わらず裁判費用をすべて手弁当で賄わなければなりません。極めて不利な立場に、住民側はおかれるわけです。
■しかも今回は、岡田市長は、市議会に議決を求めたが、市議会が応じてくれなかったので、損害賠償をしたくてもできない、という言い訳ができるストーリーを作り上げています。12月30日までに訴状を出しても、前橋地裁の裁判官らが、「市長には損害賠償請求を行う意思があり、怠る事実は認められない」などとして、住民の訴状を却下(=門前払い)する恐れがあります。
新聞報道にあるように、安中市議会の12月定例会は、12月13日に本会議が開かれ、休校中の原市小学校郷原分校を廃止する条例改選や、猛暑による農業被害対策費500万円などを追加して総額233億9700万円とする本年度一般会計補正予算など8議案を可決し、議会提案の市議会委員会条例の一部改正など4議案を可決し、1議案を賛成少数で否決して閉会しました。次に開かれるのは来年3月定例会で、それまでに岡田市長が臨時市議会を召集して本件の修正案を出して再度議決を求めるつもりがあるのかどうかは、全くあてになりません。
■いくら住民が住民訴訟で市長に損害賠償のための提訴をするように仕向けても、市長がその気にならない限り、住民には直接タクマを相手に訴訟することは、今の地方自治法では困難になってしまいました。
しかし、これまで、旧法の地方自治法で自治体に代位してごみ焼却場をめぐる談合問題を提訴してきた全国各地の市民オンブズマンは、行政情報を入手し難い立場にありながらも、8割以上の勝訴判決を勝ち取ってきました。そのノウハウは、全国市民オンブズマンのホームページにぎっしりと詰まっています。
にもかかわらず、安中市議会は、前述のように「公取委の審決だけを根拠に争うのは無謀だ」とか、「独占禁止法に精通した弁護士に代理人すべきだ」などと、理由にもならない屁理屈を並べ立てています。一見、提訴には慎重に対応するフリをしていますが、実際には、安中市の公共工事は殆ど談合で成り立っている状況ですから、ここでタクマだけを談合問題で追及したくないのが本音なのかもしれません。
■もっとも、タクマを相手に勝訴して6億なにがしかを取り戻しても、これまで受け取った交付金の一部を返還したり、公債で賄っている部分は早期償還を求められることになり、丸々6億円が市の財政に寄与することにはなりません。
それでも、岡田市長が弁護士を起用しないという方針を忠実に実行すれば、訴訟費用も著しく軽減できます。市役所には法務に詳しい職員がおり、これまでに住民訴訟も数多くこなして経験豊富だし、住民から提起された訴訟にはことごとく勝訴していることから、タクマを相手取った訴訟でも十分勝ち目があるはずです。
■しかし、岡田市政には弱点もあります。もしも、タクマが、自民党の重鎮代議士を使って、自民党群馬県連を通じて、市内在住の元県連事務局長に、岡田市長に口利きを依頼すれば、この談合問題も、タゴ51億円巨額横領事件同様、あっけなく幕を引くことができるからです。
ごみ焼却場の入札は政治家の暗躍がつき物です。長年にわたり、この業界のトップメーカーとして君臨してきたタクマにしてみれば、いろいろな寝技を得意としているはずです。それに抗して安中市議会と岡田市長が毅然と、提訴できるのかどうか、はなはだ心配です。
■議会は来年4月に任期満了で、改選されるため、このままズルズルと先送りして、後は野となれ山となれ、というふうに安中市も市議会も作戦を練っているとしたら困りものです。当会ではとりあえず訴状を作成しておき、提出期限ギリギリまで様子を見て判断したいと思います。
【ひらく会事務局】
※参考資料(安中市HPより)
安中市議会の常任委員会とその所属議員氏名
議案、その他の議決事項は、最終的には本会議で決定されますが、市行政の事務は幅広く複雑なため、本会議で詳しく審議することは能率的ではありません。そのため安中市議会では4つ(総務・市民文教・福祉民生・経済建設)の常任委員会を設け、そこで専門的に審査、協議などを行います。議員はいずれか1つの委員会に所属します。
【総務常任委員会】
この委員会は、総務部・財務部・会計課・松井田支所・選挙管理委員会・監査委員・固定資産評価審査委員会・公平委員会の所管に関する事項、及び他の常任委員会の所管に属さない事項についての調査や議案等の審査を行います。
委 員 長:金井久男(日本共産党安中市議団)
副委員長:小宮ふみ子(民主・社民クラブ)
委 員:柳沢健一(創政会)
委 員:遠間徹也(新政会)
委 員:奥原賢一(新政会)
委 員:新井孝昭(安政の会)
委 員:上原富士雄(公明党)
【市民文教常任委員会】
この委員会は、市民部・教育委員会の所管に関する事項、消防団に属する事項についての調査や議案等の審査を行います。
委 員 長:柳沢吉保(創政会)
副委員長:中島徳造(新政会)
委 員;上原和明(新政会)
委 員:伊藤 清(安政の会)
委 員:今井敏博(安政の会)
委 員:大野貞義(民主・社民クラブ)
委 員:山口 覚(日本共産党安中市議団)
【福祉民生常任委員会】
この委員会は、保健福祉部・公立碓氷病院の所管に関する事項についての調査や議案等の審査を行います。
委 員 長:齊藤盛久(新政会)
副委員長:武者葉子(公明党)
委 員;中山澄夫(新政会)
委 員:田中伸一(安政の会)(議長)
委 員:瀧本夏代(創政会)
委 員:川崎文雄(民主・社民クラブ)
委 員:櫻井ひろ江(日本共産党安中市議団)
【経済建設常任委員会】
この委員会は、産業部・建設部・上下水道部・農業委員会の所管に関する事項についての協議や調査を行います。
委 員 長:佐藤宰司(創政会)
副委員長:吉岡完司(新政会)
委 員;横山 登(新政会)(副議長)
委 員:廣瀬 晃(安政の会)
委 員:中里 稔(民主・社民クラブ)
委 員:土屋 弘(無所属)
【議会運営委員会】
この委員会は、議会を円滑に運営するための議会運営上の諸問題について調査や研究を行います。
委 員 長:奥原賢一(新政会)
副委員長:今井敏博(安政の会)
委 員:佐藤宰司(創政会)
委 員;中山澄夫(新政会)
委 員:伊藤 清(安政の会)
委 員:小宮ふみ子(民主・社民クラブ)
委 員:金井久男(日本共産党安中市議団)
委 員:上原富士雄(公明党)
さっそく、昨日から今日にかけての新聞やネット報道をチェックしてみました。NHK、上毛、毎日新聞の順に紹介します。
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●業者提訴の議案 継続審査に
安中市発注のごみ処理施設の建設をめぐり、入札で談合が行われた疑いがあるとして、市が兵庫県の業者に損害賠償を求めることにしていましたが、安中市議会は13日、提訴に必要な議案を継続審査とすることを決めました。
安中市が平成7年に発注したごみ処理施設「碓氷川クリーンセンター」の建設工事では、兵庫県尼崎市の大手プラントメーカー「タクマ」が、予定価格の99.76%に当たるおよそ64億8600万円で落札しました。
しかしこの入札に参加したタクマを含む大手5社について、公正取引委員会は、平成18年に自治体発注のごみ処理施設の建設工事で談合を繰り返していたとする審決を下し、去年10月、最高裁で審決が確定しました。
これを受けて安中市では「談合がなければ、もっと安く済んだ」などとして、差額分およそ6億4800万円の損害賠償を求める方針を決め市議会に関連の議案を提案していました。
12月13日開かれた市議会の本会議で、市民文教常任委員会の柳沢吉保委員長は、慎重な審査が必要だとして議案を継続審査とする、委員会報告を行いました。
そして採決の結果、委員会の決定を賛成多数で可決し、継続審査とすることを決めました。
これを受けて安中市では、提訴に向けた調査や検討を行い、今後改めて市議会への関連議案の提案を目指すことにしています。
(NHKオンライン 各地のニュース前橋放送局 12月13日 12時25分)
●タクマ社提訴の議案は継続審査 安中市議会
安中市のごみ焼却施設、碓氷川クリーンセンター(1998年完成)を建設したタクマ(兵庫県尼崎市)が公正取引委員会による談合行為の排除措置を受けた問題で、安中市議会は12月13日、本会議を開き、市が同社に約6億4800万円の損害賠償を請求する提訴について議決を求めた議案を継続審査にすることを賛成多数で決めた。
議会側は、市が公取委の審決だけを根拠に争おうとし、独占禁止法に精通した弁護士に代理人を依頼する意思がないことを問題視していた。来年3月の市議会定例会に市が修正案を提出しなければ、4月の改選に伴って廃案となる。
(平成22年12月14日上毛新聞朝刊2面)
●安中のごみ焼却施設談合:メーカー提訴に同意は継続審査 損賠で安中市議会 /群馬
安中市原市のごみ焼却施設「碓氷川クリーンセンター」を巡る入札談合問題で、同市議会は13日、市が訴えの提起に同意を求めていた大手プラントメーカー「タクマ」(本社・兵庫県尼崎市)に対する6億4859万円の損害賠償請求訴訟について、議会としての結論を見送り、継続審査にすることを決めた。
市議会市民文教委員会では、独占禁止法に精通した弁護士に代理人を依頼すべきだなど市の対応に注文が出ていた。【増田勝彦】
(平成22年12月14日毎日新聞)
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■談合事件の住民訴訟では勝訴率が非常に高くなっています。とくに、ごみ焼却施設の入札を舞台にした大手5社による談合事件は、各地の自治体から提訴されてその大半は勝訴判決を勝ち取っており、違法に高く吊上げられた落札額により失われた血税の回収に大きな貢献をしてきました。
このような絶好の勝訴案件にもかかわらず、報道によると、安中市議会では、「公取委の審決だけを根拠に争おうのは無茶だ」とか、「独占禁止法に精通した弁護士に代理人すべきだ」などと、小学生でも首を傾げるあきれ果てた理由を引き合いにして、継続審査としました。
これまで、裁判で不敗神話を誇っている岡田市長に対してこのようなイチャモンをつけるとはまことに遺憾な安中市議会の与党派です。阿久根市長を見習って、岡田市長は専決処分で、提訴すればよいのに、と我々一般市民は議会の不甲斐なさを恥ずかしく思いますが、味方を変えれば、茶番劇だということもありえます。
■当会では、11月30日に、配達証明付きで安中市監査委員から、当会が10月12日付で提出していた安中市のごみ焼却施設の談合問題に関する住民監査請求に対して、棄却通知を受領しているため、住民訴訟に踏み切るための猶予期限は12月30日だということになります。つまり、今年の仕事納めまでに訴状を前橋地裁に提出できる資格があります。
しかし、住民として訴訟に踏み切るには、次のような幾つかの問題があります。
(1)市長個人を被告にできないこと タクマの談合焼却場の入札までの手続にかかわったのは、タゴ51億円事件でタゴとゴルフ三昧だったことがバレたりして平成7年10月に市長の座を投げ出した小川勝寿市長と、その直後の同年11月の出直し市長選で当選した中島博範市長であり、岡田市長は当時、安中市議から群馬県議会議員に鞍替えした頃でした。岡田市長がどの程度、この談合問題に関与したのかどうかは定かではありませんが、公取委が審決したとおり本件は安中市への損害があきらかな事案ですので住民訴訟の被告になってもらいたいところです。
しかし、平成14年(2002年)に地方自治法が改悪されたため(この経緯は市民オンブズマン群馬のHP参照http://www.ne.jp/asahi/ombudsman/gunma/kiji/chihoujichihou-kaiaku.htm)、「行政機関の長としての首長」しか被告にできません。つまり、首長個人は被告にできないのです。そのため、提訴されても首長個人は何も責任を感じない仕組みになっています。当時、市民オンブズマン群馬がいだいた住民訴訟の骨抜きの危機感が、まさに現実化しています。
(2)談合企業を被告にできないこと 談合などの場合、かつては談合に参加した企業も一緒に被告として訴えることが出来ましたが、2002年の地方自治法の改悪により、それが出来なくなりました。被告にできるのは「行政機関の長」だけです。
「行政機関の長」を被告にするので、被告の弁護士費用など裁判費用はすべて自治体の公費(=税金)負担です。今回は、自治体として談合で不当に高い支出を余儀なくされたため、その損害を取り戻す裁判をするのですから、裁判費用を自治体で負担するのには、あまり違和感がありませんが、公金で裁判費用を賄うため、短期決戦で決着するという意欲が薄れ、裁判が引き伸ばされて、喜ぶのは弁護士だけ、ということになります。一方、住民側は、相変わらず裁判費用をすべて手弁当で賄わなければなりません。極めて不利な立場に、住民側はおかれるわけです。
■しかも今回は、岡田市長は、市議会に議決を求めたが、市議会が応じてくれなかったので、損害賠償をしたくてもできない、という言い訳ができるストーリーを作り上げています。12月30日までに訴状を出しても、前橋地裁の裁判官らが、「市長には損害賠償請求を行う意思があり、怠る事実は認められない」などとして、住民の訴状を却下(=門前払い)する恐れがあります。
新聞報道にあるように、安中市議会の12月定例会は、12月13日に本会議が開かれ、休校中の原市小学校郷原分校を廃止する条例改選や、猛暑による農業被害対策費500万円などを追加して総額233億9700万円とする本年度一般会計補正予算など8議案を可決し、議会提案の市議会委員会条例の一部改正など4議案を可決し、1議案を賛成少数で否決して閉会しました。次に開かれるのは来年3月定例会で、それまでに岡田市長が臨時市議会を召集して本件の修正案を出して再度議決を求めるつもりがあるのかどうかは、全くあてになりません。
■いくら住民が住民訴訟で市長に損害賠償のための提訴をするように仕向けても、市長がその気にならない限り、住民には直接タクマを相手に訴訟することは、今の地方自治法では困難になってしまいました。
しかし、これまで、旧法の地方自治法で自治体に代位してごみ焼却場をめぐる談合問題を提訴してきた全国各地の市民オンブズマンは、行政情報を入手し難い立場にありながらも、8割以上の勝訴判決を勝ち取ってきました。そのノウハウは、全国市民オンブズマンのホームページにぎっしりと詰まっています。
にもかかわらず、安中市議会は、前述のように「公取委の審決だけを根拠に争うのは無謀だ」とか、「独占禁止法に精通した弁護士に代理人すべきだ」などと、理由にもならない屁理屈を並べ立てています。一見、提訴には慎重に対応するフリをしていますが、実際には、安中市の公共工事は殆ど談合で成り立っている状況ですから、ここでタクマだけを談合問題で追及したくないのが本音なのかもしれません。
■もっとも、タクマを相手に勝訴して6億なにがしかを取り戻しても、これまで受け取った交付金の一部を返還したり、公債で賄っている部分は早期償還を求められることになり、丸々6億円が市の財政に寄与することにはなりません。
それでも、岡田市長が弁護士を起用しないという方針を忠実に実行すれば、訴訟費用も著しく軽減できます。市役所には法務に詳しい職員がおり、これまでに住民訴訟も数多くこなして経験豊富だし、住民から提起された訴訟にはことごとく勝訴していることから、タクマを相手取った訴訟でも十分勝ち目があるはずです。
■しかし、岡田市政には弱点もあります。もしも、タクマが、自民党の重鎮代議士を使って、自民党群馬県連を通じて、市内在住の元県連事務局長に、岡田市長に口利きを依頼すれば、この談合問題も、タゴ51億円巨額横領事件同様、あっけなく幕を引くことができるからです。
ごみ焼却場の入札は政治家の暗躍がつき物です。長年にわたり、この業界のトップメーカーとして君臨してきたタクマにしてみれば、いろいろな寝技を得意としているはずです。それに抗して安中市議会と岡田市長が毅然と、提訴できるのかどうか、はなはだ心配です。
■議会は来年4月に任期満了で、改選されるため、このままズルズルと先送りして、後は野となれ山となれ、というふうに安中市も市議会も作戦を練っているとしたら困りものです。当会ではとりあえず訴状を作成しておき、提出期限ギリギリまで様子を見て判断したいと思います。
【ひらく会事務局】
※参考資料(安中市HPより)
安中市議会の常任委員会とその所属議員氏名
議案、その他の議決事項は、最終的には本会議で決定されますが、市行政の事務は幅広く複雑なため、本会議で詳しく審議することは能率的ではありません。そのため安中市議会では4つ(総務・市民文教・福祉民生・経済建設)の常任委員会を設け、そこで専門的に審査、協議などを行います。議員はいずれか1つの委員会に所属します。
【総務常任委員会】
この委員会は、総務部・財務部・会計課・松井田支所・選挙管理委員会・監査委員・固定資産評価審査委員会・公平委員会の所管に関する事項、及び他の常任委員会の所管に属さない事項についての調査や議案等の審査を行います。
委 員 長:金井久男(日本共産党安中市議団)
副委員長:小宮ふみ子(民主・社民クラブ)
委 員:柳沢健一(創政会)
委 員:遠間徹也(新政会)
委 員:奥原賢一(新政会)
委 員:新井孝昭(安政の会)
委 員:上原富士雄(公明党)
【市民文教常任委員会】
この委員会は、市民部・教育委員会の所管に関する事項、消防団に属する事項についての調査や議案等の審査を行います。
委 員 長:柳沢吉保(創政会)
副委員長:中島徳造(新政会)
委 員;上原和明(新政会)
委 員:伊藤 清(安政の会)
委 員:今井敏博(安政の会)
委 員:大野貞義(民主・社民クラブ)
委 員:山口 覚(日本共産党安中市議団)
【福祉民生常任委員会】
この委員会は、保健福祉部・公立碓氷病院の所管に関する事項についての調査や議案等の審査を行います。
委 員 長:齊藤盛久(新政会)
副委員長:武者葉子(公明党)
委 員;中山澄夫(新政会)
委 員:田中伸一(安政の会)(議長)
委 員:瀧本夏代(創政会)
委 員:川崎文雄(民主・社民クラブ)
委 員:櫻井ひろ江(日本共産党安中市議団)
【経済建設常任委員会】
この委員会は、産業部・建設部・上下水道部・農業委員会の所管に関する事項についての協議や調査を行います。
委 員 長:佐藤宰司(創政会)
副委員長:吉岡完司(新政会)
委 員;横山 登(新政会)(副議長)
委 員:廣瀬 晃(安政の会)
委 員:中里 稔(民主・社民クラブ)
委 員:土屋 弘(無所属)
【議会運営委員会】
この委員会は、議会を円滑に運営するための議会運営上の諸問題について調査や研究を行います。
委 員 長:奥原賢一(新政会)
副委員長:今井敏博(安政の会)
委 員:佐藤宰司(創政会)
委 員;中山澄夫(新政会)
委 員:伊藤 清(安政の会)
委 員:小宮ふみ子(民主・社民クラブ)
委 員:金井久男(日本共産党安中市議団)
委 員:上原富士雄(公明党)