岩手のむかし話/岩手県小学校国語教育研究会編/日本標準/1976年
「ねずみ浄土」と「聞き耳頭巾」をあわせた話でしょうか。
ある日のこと、貧乏な若者が、1ぴきのネズミを助けた。
この若者がネズミにつれられていったのは、りっぱなとこで、いままでたべたこともねえ、りっぱなごっつあんをごちそうになり、かえりぎわ、けもののなき声をきき分ける箱をもらった。夢かと思ったが、手に美しい箱があった。
クワの木の上で、二羽のカラスがなんだかいっているようなので、箱を耳にあてがってきいてみた。
カラスがいうことには、「この国の千万長者の娘がわけのわからない病気にかかっていて、医者という医者にみせても、すこしもよくならないのは、新しく建てた部屋の下に、大きなヘビとガマガエルが、にらみあっているので、なおらない」という。
若者はすぐ長者の家にいき、あまりにも貧乏くさくて相手にされなかったが、生きるか死ぬかのせとぎわだからと、座敷にとおされ、念仏をとなえて、床下からヘビとガマガエルをひっぱりだして、川にはなしてやると、今までねていたお姫さまが、すぐに、あくびして、むっくりおきあがった。
このあと、若者は、長者の娘の婿になって、しあわせにくらしたという。
ネズミが 何から助けられたか、また、「りっぱなとこ」は どんなとこかはまったく不明で、とんとん話が進行していきます。