どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

為後のこうしんさん・・徳島

2022年09月22日 | 昔話(中国・四国)

            徳島のむかし話/徳島県教育会編/日本標準/1978年

 

 村の若者が力自慢しているところへとおりかかった七兵衛さんが、力比べを提案します。

 河原にころがっている同じような大石を山の中腹まで運びあげ、いちばんはやく運びあげた者が一番の力持ちという。

 十人の若者が一斉に大石をかかえ上げ、のぼりはじめますが、なにしろ両手でやっと、かかえるぐらいの石で、若者たちは、とちゅうで一休み。そこへ七兵衛さんがやってきて、はっぱをかけ、ようやく十人が十人とも山の窪地に石を運び上げた。

 七兵衛さんが「みんな力が強い。一番二番と順番はついても、ちょっとの違い。いやみんなの強いのに感心したわい」というと若者たちはにこにこして大喜び。

 それから、気をよくした若者に、一か所へ四角に石を積んでもらった七兵衛さん。やがてそこへ庚申さんをお祭りします。

 じつは、この石運びは、はじめから庚申さんを祭るための七兵衛さんの計略。若者たちをおだてて、お金を使わず高いところまで石をはこばせた。今も為後山にある庚申さんは、こうしてできたのじゃと。

 

 *庚申さん(目、耳、口の災難をまぬがれる祭られた神さまで、これを祭った庚申塚。)

 お年寄りの知恵には含蓄があります。


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