ウクライナの原発に再び砲撃、互いに非難…占領地巡る攻防は長期化も
【リビウ(ウクライナ西部)=工藤彩香、ニューヨーク=寺口亮一】ロシア軍が占拠しているウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所で13日、再び砲撃があった。ウクライナとロシア双方は相手の攻撃だったと非難している。5日以降、砲撃が相次いだことを受け、国連安全保障理事会が11日に緊急会合を開いたばかりだった。
ウクライナ国防省情報総局は、露軍がウクライナ軍の攻撃に見せかけるため原発近隣の集落から砲撃していると非難した。一方、ロシアのインターファクス通信はウクライナ軍が原発などに砲撃したと伝えている。地元の親露派幹部は12日、露国営テレビで、ザポリージャ原子力発電所と周辺の防空態勢を強化したことを明らかにしていた。
ウクライナ側は露軍からの占領地奪還に向け、長期戦も視野に入れる。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日、戒厳令と総動員令に関し、11月下旬まで3か月の延長を最高会議(議会)に提案した。
ウクライナ軍が、露軍占領地域への反撃を強化している南部情勢に関し、英軍のジム・ホッケンハル戦略コマンド司令官は12日の英BBCのインタビューで、「今後、数か月で決定的な変化が起きると考えるのは現実的でない」と述べ、双方の攻防が越年する可能性が高いとの見方を示した。
穀物輸出船到着
12日、ウクライナ南部チョルノモルシク港に停泊する貨物船(ウクライナのインフラ省提供、ロイター)
一方、ウクライナのインフラ相によると、黒海を経由して穀物を輸出するため、国連がチャーターした貨物船が12日、ウクライナ南部ユジニ港に到着した。今月1日の輸出再開後、人道支援を目的にした初の事例になるという。
貨物船は世界食糧計画(WFP)が購入した小麦を東アフリカ・ジブチまで運ぶ。食料不足に苦しむ隣国エチオピアでの支援活動に充てるという。
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