服薬指導 自宅で手軽に…オンライン化進む
2022年10月30日 (日)配信読売新聞
多忙向け 薬の受け取りも簡便
薬局に行かず、スマートフォンなどで処方薬の説明を受けられる「オンライン服薬指導」が注目されている。処方薬は宅配便で受け取れるなど利便性も向上。コロナ下で外出を控えたい人や忙しい人などに好評だ。(松本彩和)
外出不安に対応
埼玉県の女性(58)は春から、オンラインによる服薬指導を利用している。それまではリウマチのため、自宅から片道2時間かかる病院を受診し、その近くの薬局で薬を処方してもらっていた。しかし、薬は要冷蔵のため保冷剤があり重い。免疫機能が下がっているので、長時間外出する不安もあった。
女性は「薬局では次に待っている人のことが気になるけど、オンラインなら自宅でゆっくりと疑問点を薬剤師に聞くことができる。薬は宅配便で自宅に届くので、たくさんの薬を持ち帰らなくていいのも便利」と話す。
オンラインによる服薬指導は、オンライン診療または訪問診療に限り、初回の服薬指導を対面で行った場合に認められていた。しかし、厚生労働省は今年3月から、診療の形態にかかわらず初回からでも薬剤師の判断の下、適用できるようにした。
調剤大手「日本調剤」(東京)は2020年9月からオンラインの服薬指導を行っている。医療機関を受診した後に、オンラインによる服薬指導の日時を予約すると、スマホなどの画面越しに薬剤師から処方薬の説明を受けることができる。処方箋は、医療機関から薬局に送られる。
日本調剤旗の台薬局の薬剤師、羽鳥良さんは「病院で長時間待って、薬局でまた待つと疲れてしまう。オンラインなら都合のいい時間帯や場所で説明を聞くことができる」と話す。忙しい人や、小さな子どもを持つ人にもおすすめだという。
全国で「アイン薬局」を展開する「アインホールディングス」(北海道)も20年からオンラインによる服薬指導をしている。今年2月からは、薬の気になることをチャットなどで気軽に薬剤師に聞けるサービスも始めた。
情報量減が課題
スマホで診療から服薬指導、薬の受け取りまでを完結できるサービスも登場している。「SOKUYAKU」や「CLINICS」というアプリに登録し、医療機関での診療を予約。オンラインで受診後、服薬指導を申し込む。会計もオンライン決済で、薬は登録した住所に届く仕組みだ。
処方薬の受け取り方も変化している。コンビニ大手「ファミリーマート」は5月から、近くの店舗で薬を受け取れるサービスを東京都内の約2400店舗で始めた。提携した薬局の薬剤師からオンラインで薬の説明を聞いた後、最短で翌日に店舗に届くので、都合のいい時に受け取れる。
内科医の森勇磨さんは「オンラインの服薬指導は忙しい人や病気の感染のリスクが怖い人にとっては役に立つが、対面よりも情報量が少なくなることもある。利用する際は疑問点や心配な点を積極的に薬剤師に伝えてほしい」と話している。
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