そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

むのたけじの言葉

2009-07-11 | 政治と金

Photo むのたけじ93歳(昨年)のインタビューの書である。戦前報知、朝日新聞社に勤め、多くの政治家に接している。従軍記者として中国インドネシアなどに取材して、戦争を直接取材している。終戦とともに、報道陣としての深い反省の下に退社し、秋田で週刊新聞「たいまつ」を発行する。一貫して戦争反対を訴えている。たいまつは30年続けられ休刊からも30年経つ。

1950年2月に衆議院で反軍演説を行った、斉藤隆夫にむのは取材している。衆議院は彼を懲罰委員会にかけ除名した。その年に、政党がなくなり大使翼賛会が結成された、戦争へと突き進むのである。歴史は繰り返されているように思えると言う。

この本で、桐生悠々という人物を知った。「他山の石」という、タブロイド紙を発行し5・15事件で軍部を真っ先に批判し、28回にわたって発行禁止を受けているた。戦時中でも戦争をしっかりと批判していた人物がいた。

日本は戦争責任の所在をいまだ明快にしていない。特に日中戦争時に、多くの決断をした人たちの責任はまるで問われていない。裁かれることのない人たちに、加害者であることへの罪悪感はないままである。

憲法が公布されたが、平和への道しるべであると同時に、軍国主義の死刑判決であった。小泉内閣が、戦争を「有事」言い換え、あるいは安倍内閣では憲法改正を明確に打ち出した。戦争反対や世界平和を憲法に持っている国は世界に、38か国もある。

人類が地上に登場して、700万年ほどになるが、戦争をするようになったのは、富を蓄えるようになった僅か6千年でしかない。さらに、核兵器はその気になれば廃絶できる。老人を“愚老”する日本を告発する。

最後に、「絶望のなかに希望はある」と励ましてくれる。数々の日本の転換点を見てきた、古老の言葉には重いものがある。淡々とむのやけじが語る良書である。

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4 コメント

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 たいまつが休刊して30年も経つんですね。休刊以... (紫錦唐松)
2009-07-12 12:35:44
 たいまつが休刊して30年も経つんですね。休刊以来、むのたけじさんを思い起こすことはなかった気がします。
子どもの頃、先生は平和憲法は転がってきたものではなく、汗と涙の結晶だと教えてくれました。

 コスタリカの話は聞いていますが、平和を拒否する国はないですよね。アメリカ人の中にも熱烈に平和憲法をする人もいます。
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う~ん、この記事の趣旨には賛同しますが、人類が... (あきのり)
2009-07-12 21:39:31
う~ん、この記事の趣旨には賛同しますが、人類が生まれて700万年と言うのは、一体どこから出てきた数字なんでしょうか。人類が生まれて(同時にこの世界も生まれたんですが)ほぼ6000年というのが、科学的な定説では。
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あきのりさんへ (そりゃないよ獣医さん)
2009-07-12 23:59:36
あきのりさんへ
人類が誕生して700万年は現在の定説です。DNAの解析が進んだ結果です。
人類が11種いたことも分かっています。
我々の、ホモ・サピエンスは10万年ほどですし。8万年ほど前にアフリカを出たことも分かっています。
ミトコンドリアと男性のY染色体の解析の結果です。
文明をもつことが、富に蓄積と関係あるのでしょう。それが起きたのが、食糧の蓄積だと言われています。
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 きわめて大雑把ですが、6千年前前後のできごとを... (紫錦唐松)
2009-07-13 09:24:10
 きわめて大雑把ですが、6千年前前後のできごとを補足します。

 この頃、日本では縄文海進がありました。今より温暖な気候で海水面が3m以上高くなりました。内陸に貝塚が残されているのはそんなことが原因です。
 日本の最古人類遺物は3万年前の磨製斧と言われています。

 世界史的に見ると黄河、メソポタミア、シュメール、エジプト、インダスなど各地で文明が興っていました。
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