東京電力は福島第1原発の放射能汚染水対策として、敷地内でくみ上げた地下水を海に放出するようにした。東電は、「汚染前の水で安全性に問題はない」とし、地元市町村や漁業関係者の了承を求めた。
了承を取り付けようと説明された、県漁連は戸惑っている。そりゃそうである。漁民にそんな権限があるわけではない。東電の説明はこれまで、隠ぺいの連続であったし、俄かに信じるわけにはいかないだろう。
それに今回の、地下水の放水はいかにも奇妙である。大量の地下水が山側から、建屋に向かって流れている。原子炉冷却水と混ざって、毎日400トンの汚染水ができてしまう。原子炉冷却水と混ざる前の、地下水を放出しようというのである。極めて基本的な疑問が残る。
① 冷却水と混ざる前というが、冷却水が地下水と混ざることの方が問題であろう。山を削ってわざわざ、津波を受けやすいように作られた福島原発である。対策すらなかったことが問われるべきであるし、地下水は元々出るのであるが、汚染冷却水が地下浸透することの方が問題である。
② 汚染前の地下水であるから、放射能汚染は受けていないという根拠もおかしい。すでに2年を経過している。表層からの浸透も浅くはないはずである。東電は、「放射性セシウム137の濃度は1リットル当たり1ベクレル以下で通常の地下水と変わらない」と説明している。仮にそれを認めたとしても、現在の話である。いつまでのものかもわからない。
③ 東電の説明を仮にすべて了承したとしても、汚染水の処理の行き詰まりは見えている。僅かに引き延ばされるだけである。それが、どれほどのものになるかもわからない。単なる小手先の対策であることに変わりはない。
④ 今回説明を受けて県漁連は、自らに権限はなく、判断材料もなく、結論を先送りした。仮に漁協が了承したとしても、海水への影響についてはどれほどのものになるかも解っていない。
解っているのは、いわき市長も危惧するように、地元漁業者や住民が風評被害を受けることである。
地下水の放出は、思いつきの小手先の対策であり、奇策の域を出ていない。
これが安倍首相の言う、「世界最高水準の技術」?で、輸出までやろうという日本の原発の現状なのである。
左のフォトアルバムに<春遅い根室の森では>をアップしました。
放射性物質も広い地域に拡散させ、いずれ基準値以下になることをじっと待っているのではと疑います。
敦賀2号機の廃炉は勇気ある選択です。一説では事故を起こさない原発でも、廃炉費用は一千億円を超えると予想されています。
日本エネルギー経済研究所原子力グループ 村上朋子氏は新聞対談で次のように主張しています。ここまで開き直って発言されると反原発派の発言です。
日本の技術は世界に需要がある
原発輸出に反対する人は、福島の事故を起こした日本が輸出していいのかと批判するが、スリーマイル島やチェルノブイリの事故があった米国やロシアの技術はその後も海外に導入された。日本だけが自粛する理由はない。放射性廃棄物の処分ができないというなら、世界中どこを探しても原発を輸出できる国などない。でも、導入の需要はある。現実を見るべきだ。(5/13)