そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

口蹄疫が節目を迎えたが

2010-06-26 | 獣医師

宮崎の口蹄疫が、新たな発生もなく19万9246頭の殺処分を終えた。これは大きなヤマを一つ越えたことになる。新たな発生も、18日を最後に見られていない。

これから新たな発生がなければ、ワクチン投与した3万頭余りの処分が残っているだけになる。今月中にこれらを終える見込みであるということである。このままだと、9月頃には終息を迎えることになる。何はともあれやっとここまで来たかという感じである。

今回の、宮崎の口蹄疫事件は余りにも多くの教訓を残している。今後の関係者の総括を対応が注目されるところである。

農水省の疫学チーム(チーム長:津田知幸動物衛生研究所企画管理部長)は、抗体検査から抗体の変化から、初発の発生の前1~2週間前に数10例の感染があったと報告している。更に、家畜車による移動によるものと思われる事例の、感染の拡大が指摘されている。作業員の行き来から感染拡大した例も報告されている。

これらは、人的なものによる感染拡大が進行したものと言わざるを得ない。現地での家畜保健所の対応は、大きな事件の時には何時も対応が緩慢である。対応後の責任の振りかかり方をまず考えているのではないかと思われる。

畜産の在り方も検討されるべきである。極めて集約的地域に経営が集中するのは、効率としては意味のあるものであるかもしれない。飼料の購入や個体販売や情報の交換など、共有するものが少なくはない。しかしそれは同時に危険も共有することでもある。

飼養形態も検討するべきである。とりわけ、豚の飼養管理は近年ニワトリと変わらない、畜産加工業となったいる。とても農業といえる代物ではない。地域の環境や風土とはかかわりなく、大量の豚を飼って、大量の輸入穀物を給与し、その価格差で収益を上げているのである。感染発病そして伝搬が簡単に起き広がり、危険と背中合わせであり、豚の健康を犠牲に成り立っている。埋却場所などこうした経営にあるわけない。

役人に危機意識を喚起するばかりではなく、飼養形態や地域全般の在り方を検討、教訓化するべきである。

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