シリアのアサド大統領が失脚して最も喜んでいるのが、イスラエルのネタニアフ首相であろう。これで、宿敵イラン国境まで近づくことができるからであろう。
ところが、ICC(国際刑事裁判所)は11月21日、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に対し、戦争犯罪などの容疑で逮捕状を発行していたのである。ネタニヤフに対しては、5月20日にICCのカリム・カーン主任検察官が逮捕状を請求していたが、これが現実となったのである。
理由は1年以上にわたり、ガザを完全に封鎖し、食料や水などの搬入を阻止していることが、「飢餓を戦争の手段として用いる」戦争犯罪に該当すること、ガザの住民に対する大規模攻撃が人道に対する犯罪であるとされている。
ネタニアフは、「反ユダヤ主義的な決定」だと猛然と反発し、退陣直前のバイデンも、「言語道断」と非難する声明を出している。しかし、イギリス、イタリア、カナダ、スペインなど締約国があいついでICCの決定を支持する態度表明をおこなっていて、逮捕状が出された 。
現在までに公式にはガザでは、公式には子どもや女性をはじめ4万4000人超が虐殺されている。しかい、瓦礫に埋まって確認できない人たちを含めると、死者は18万人以上ともいわれる。ガザ住民の一割近くが虐殺されていることになる。
締約国は124ヵ国となっていて、日本は最大の資金拠出国ある。その理由を、「日本は外交政策の柱の一つとして、国際社会における法の支配の強化を掲げ、紛争の平和的解決等を促進」するという外交上の理由であるとしている。
ICCすべての締約国はネタニヤフらの捜査・訴追への協力、身柄を拘束して引き渡す義務を負うことになる。日本は、イスラエルとアメリカなどの支援国に対し、軍事攻撃の中止や軍事支援の中止などを訴えなければならない。ネタニアフの逮捕に協力を呼びかけるべきである。
現政権がやるとは思えないが、それではICCの存在を否定することにもなる。