そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

農業知らずの食語り

2007-10-20 | 緊急事態法

NHKの討論番組を見た。NHKは何らかの問題提起のつもりであったようであるが、食を真剣に考えない人たちと、理不尽な状況の中で懸命に農業に励む人たちを同列に論議させるべきではなかったと思われる。

01若者が「好きなものを食べればよい」などと平気で発言する。食料を海外に委ねることで、多様な選択ができると発言する、本間なる経済学者に同調する発言が相次いでいるように思えた。

食料を自給しない国家は、基本的に独立国家ではない。日本は、とくにアメリカにそれらを委ねることで経済的発展を成し遂げてきた。そのことが足かせになっているのかもしれない。豊かさを享受したいのである。

温暖化への配慮として、EUでは「フード・マイル」という言葉さえある。食料の価格に、距離を加えた指標を付け加えるように なったところがあるくらいである。なるべく近い所の食品を選択することで、知己の農民を支援すると同時に、温暖化に気を配ろうとするのである。日本の都会の連中にはそうした考えがなく、食べたいものを食べる、選択の幅が広がるなどと、将来や地球規模の考えが全くない。

好きなものを食べることで、肥満と成人病が小学生に発生するようになった。米食を中心とした日本食を見直し、嫌いなものでも食べるべきである。日本食は時間がかかるとする意見もあったが、それこそファー55 ストフードへの警告が今日、スローフードと言う反語も生まれたくらいである。

今年になって、さまざまな経費が高騰している。政府が推奨する大型農家ほど、この諸物価の高騰をモロに受けている。このことは、大型農家が必ずしも未来を担うものでないことの証である。

農家がたくさんの補助金を受けているような発言もあったが、日本では国家予算のうちの農業予算はわずか、8%程度である。7兆円程度であるが、同額の農産物を輸入している。フランスなどは30%以上の予算を農業につぎ込んでいる。20%を切る国家などほとんどない。

第一農業予算が多ければ、これほど農業が衰退するはずがない。農業予算の在り方そのものも問題であるが、民主党の提示した所得補償を論ずると、農業の必要性や自給率の向上の前に、金の問題をめぐって政党間の足の引っ張り合いが生じている。

この国の政治家は、真剣に食料の自給率を向上させる気概や理念すらないのである。それは、選挙制度改革で都会の国会議員が圧倒的に多数になったからである。NHKの討論を見ていて、都会人には農村や農業やへき地を語る資格すらないのである。

日本の就農者の平均年齢が65歳を超えた。フランスドイツが、65歳以上の比率が7~9%程度であることを考えると、日本の食の前途は悲惨な状況にある。

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