ギタリスト岡本博文 生徒諸君!

プロギタリストのリアルな経験談、本音を語って行きたいと思います。

音楽はボイン、小ボイン

2008-07-03 08:25:24 | Weblog
僕の原点は、宇品中学吹奏楽部。
今、全国でも有名な吹奏楽部になっているらしい。
僕らの頃は、中国大会に出れば,常勝の強豪にはばまれ、
全国に出られなかったものだけど。


僕の時は、久保先生という、およそ先生らしくない先生で、
でも、魅力的な先生だった。

あの頃、久保先生は、
「お前ら、ボインの女の子は、好きじゃろう。
音楽にも山やら谷が無いと面白うないんじゃ」

これが、上手く出来ると、音楽が流れだして、ひゅんひゅんせせらぎを紙の小舟が滑って行くように流れて、こども心に「なるほど、これが大人の演奏のコツなのか」と思ったものだ。

また、全国大会のCDを聞いて
「上手いこと揃っとるかもしれんが、音が汚いけえ、台無しじゃ。
演奏も早いばっかりじゃ。ありゃ、音楽じゃない。
じゃから、わしらは、ちょっとゆっくり、綺麗な音を忘れずに流れるようにやろう。」


時は過ぎ、ポップスという畑に揉まれて、やれグルーブがどうの、
メトロノームがどうの、早弾きがどうの、と
そそのかされて、すっかり自分を見失いかけていたけれど、


フレーズだって、演奏だって、いろんな表情を見せて流れんとしょうがないんだろうなあと、改めて思う。




そう数年前に再び、思い始めたのは、マイルスの自叙伝に
「その頃の僕らのスタイルは、ある音を強調して、流れるように演奏するんだ。それが、ビリー=ホリディーを始め、そこの出身の連中のスタイルだった」という言葉だった。

そこに、会えば、毎日「一筆書きのようにギターを弾きたい」という心の師匠と出会って、後ろを押された気がした。

モーツァルトは『速く弾ける事はさほど素晴らしい事ではない。本当に素晴らしい演奏とは、ゆっくりした時間を、油のように滑らかに歌えている演奏なんだ』と、昨日、レスがついて、そういうもんだよな、と再び、溜飲が降りた気がした。


時は経っても、音楽の本質は変わらないようだ。


久保先生、曰く
「音楽は、小ボイン、小ボイン、ボイン、小ボイン、」
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