残暑厳しき折柄、リリオーは自転車に乗って大阪城の坂を登っていく。
「こんにちわ、ご面倒をおかけしました」
「いいえ、こちらこそ、ご足労頂いて・・・なんだかんだでございます」
「はい、よう解りました、ありがとうございました」
要するに、台帳は存在していて残高はある、利息はその都度の金額は記せないけれど、総額で示して良いかと言うこと・・・結構でございます。
2年くらい前に古い通帳を解約したときも利息の多さにビックリしたが、今夏も驚き。
7千いくらかの残高に2千いくらかの利息が付いて。やっぱしバブルの時代を通り抜けてきた通帳だね。こんな事になるんだったら、下ろさず全部置いておいたら良かったというのは単なる厚かましさだけか。
ホクホクして帰ったら友から電話。
「リリオーさん、浪花の生まれなんだってね」
「そうよ、チャキチャキの浪花の女よ」
「浪花の女は宵越しの金は持たないと言うわね」
「それは江戸っ子じゃなかったか?いや、浪花の女もそうよ」
「じゃ、そのあぶく銭は・・・」
「そうや、使わなあかん、行こう、パッと」
自転車に乗って友と近場の居酒屋へ。
生ビールから始まって冷酒。
「まずは枝豆、それから鱧ちり、梅肉でね、なすびの蟹身あんかけに肉のタタキ、それから・・・まずはこれくらいで許したるわ」って感じ。
大判振る舞いさ!飲んで食べて大満足。
「オヤジさん、おあいそ、いくらだい?釣りは要らねえよ、わたしゃ、江戸っ子・・・じゃおまへん、浪花の女やから」
「何?釣りはない、きっちりだって」
「そうか、気持ちが良いぞ、パッとね」
思いも掛けないお金が入って楽しく過ごせた庶民の一夜・・・であった。
あ・あ・あ・目が回るよ。