日経MJ 2023年上期ヒット商品番付 西前頭8枚目
「伊勢丹バブル超え」
伊勢丹新宿店「バブル越え」の過去最高売り上げ。成功した「個客」戦略【三越伊勢丹HD 本決算】
土屋咲花 [編集部] May. 09, 2023, 08:25 PM
新宿の「顔」としても知られる伊勢丹新宿本店が、「バブル期以来」という絶好調になっている。
百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスは5月9日、2023年3月期(2022年度)本決算を発表した。売上高4874億円(前年比116.5%)。営業利益は296億円で、コロナ前の2018年度(292億円)を上回った。純利益は323億円、総額売上高は1兆884億円(前年比119.3%)と1兆円を超えた。
伊勢丹新宿本店の総額売上高は3276億円と過去最高を記録。
細谷敏幸社長は決算会見で「過去1度だけ、3000億を超えた年が1991年のバブル期です。 それ以降はずっと2000億台の2500億円程度。それが今回大幅に上回る数字でした」と、バブル期の1991年(約3000億円)を超える好調ぶりだと自信を見せる。
背景にあるのは、2023年に入ってから注目が集まるインバウンド回復ではなく、意外にも「国内消費の伸長」だという。
国内消費が好調
インバウンド消費は2022年秋ごろから復調し始めたものの、2018年度の売上が752億円だったのに対し2022年度は424億円と、いまだ復調とは言い難い。
「2022年度はまだまだコロナ禍で、入店客数は2018年比でだいたい8割くらいです。しかしながら日本人の売り上げは非常に高い伸び率となりました。日本人の顧客とより深いお付き合いをした結果が、この数字に現れたということです。戦略が非常にうまくいきつつあるという実感をもっています」
細谷社長は決算会見ではっきりと手ごたえを口にした。
同HDは中期経営計画に掲げる戦略の一つとして「マスから個へのマーケティング」を打ち出し、三越伊勢丹グループのクレジットカード「エムアイカード」の会員やアプリ会員などの「識別顧客」の拡大に力を入れてきた。
その結果、2022年度の識別顧客数、デジタル会員数、エムアイアプリ会員数はいずれも前年比で2桁パーセント伸長したほか、三越伊勢丹グループのクレジットカード「エムアイカード」の外部取扱高は過去最高になった。
年間100万円以上購入者が「10%増」
こうした顧客戦略の結果、識別顧客を中心とした国内顧客がインバウンドの減少をカバーする売上高を作った。伊勢丹新宿本店と三越日本橋本店の売上高の内訳では、識別顧客によるシェアが2019年度の約50%から、2022年度は約70%に拡大した。
年間100万円以上を購入する識別顧客の割合は、2019年度に約40%だったのが2022年度は約50%になった。
「非常に関係性の深いお客様が、なんと10パーセント伸長したという流れでございます。特に1000万円以上買われた方は、2倍近い数字になっている」(細谷社長)
新宿伊勢丹本店などでは年間購入金額の高い顧客が増えた結果、専用ラウンジに列ができるほどだという。
会見では今後、ラウンジの拡大や新設を進めていくことも説明した。
計画前倒しで過去最高益を目指す
2023年度の計画では、好調を背景に計画を1年前倒し、統合後最高となる営業利益350億円の達成を掲げる。伊勢丹新宿本店は、6.8%増にあたる3500億円の売上を目指すとした。
プラス要素は多い。日本政府観光局の発表によると、コロナ前の水準にはまだ及ばないものの、訪日外国人客数は2023年に入り月を追うごとに伸びている。
国内では5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。
「入店客数が8割になっているというお話をさせていただきましたが、 理由はほとんどがコロナの影響によるものだと認識しています。5類への移行で百貨店の本来の中心顧客であるミドル・シニアのお客様たちが戻ってくることによって、その部分の消費が拡大するという風に思っています」(細谷社長)
*https://www.businessinsider.jp/post-269711 より
日経MJ 2023年上期ヒット商品番付 東前頭8枚目
「逆張り値下げ」
「値上げ、値上げ」と続く中、一部の小売、外食で「逆張り値下げ」を行っている。
まずは「顧客の集客」、それもヘビーユーザーの集客が狙いか?
利益を削ってまで集客優先の策を講じることが吉と出るか凶と出るか。これは各小売り、外食で差が出るやもしれない。