【平成30酒造年度全国新酒鑑評会 金賞銘柄一覧(関東信越国税局)】
〈長野〉 秀峰喜久盛/信州銘醸
「品質本位」の酒造りを昔ながらの手づくりで…
1834年頃(江戸後期)に丸子町(現上田市)で「桝屋」として創業。そして昭和33年4月に法人・信州銘醸株式会社を設立し、180余年の時が過ぎました。戦中戦後、時代背景の三倍醸造酒造りからもいち早く脱却し、「旨い酒造り」を目指して杜氏を筆頭に蔵人達はその時代の技・経験・勘を頑なに守り、酒造りに没頭してきました。おかげさまで今でも生真面目で頑固な酒が「信州銘醸の酒」と評されております。
昔ながらの手造り。一・麹、二・酛(もと)、三・造りの一環のなかで最も気遣うのは温度管理です。麹造りはハゼ込み(麹菌のくい込状態)を見て保温布の調整、酒母と醪(もろみ)造りはツラ(泡の立ち状況)を見て櫂入れの技、上槽は受け継がれた経験ととぎすまされた勘による判断、杜氏や蔵人の長年の伝統が反映されます。時代の変化や嗜好変化の中で、「不易流行」を心掛けながら新しい挑戦を続け、今では30以上品目を揃えるまでになりました。その代表的な銘柄は喜久盛、瀧澤、梁山泊、黒耀、醲献(じょうこん)などです。
弊社は全国新酒鑑評会では金賞を16回、連続で8年受賞(長野県1位)しております。また関東信越国税局清酒鑑評会も金賞21回、連続で9年受賞しております。平均精白歩合59%(長野県内随一)、高精白で雑味がない旨酒造り、信州に拘った品質本位の酒造り(長野県産酒造好適米、アルプス酵母、超軟水黒耀水、依田川伏流水を中心に)の賜物と自負しております。
麹と米と水で造られる「日本酒」。酒米の特徴は米粒にあります。米の中央にある円形の部分を「芯白」と呼び、この芯白のある米を「芯白米」といいますが、芯白はデンプンが少なく柔らかい部分で、麹菌の菌糸が中に伸びやすく、強い酵素力がある麹ができて、酒母、醪(もろみ)での糖化がよいことです。酒米の特徴はこの芯白が大きいことです。一番大きいのが「山田錦」、これに続くのが「ひとごこち」(長野県産)です。 この酒米について触れさせて頂きましたが、弊社の酒米入荷元を長野県安曇野産から上田市丸子地区・武石地区の多数軒の農家との契約栽培に切り替えております。「地酒と言われる以上、地元の皆さんと共に…」という地産地消の発想で栽培契約を結び、この農家の方たちにも農閑期に酒造りを手伝って頂いています。自ら生産した米で酒造りに関わり、その情熱を燃やして頂いているところです。
時代とともにお客様の酒の嗜好は変わります。これを敏感に捉えて生きていくことも重要です。今後も続く少子高齢化でお酒の需要も減っていきます。私どもでは海外にも目を向けて、現在12カ国に僅かづつですが日本酒を販売しています。シンガポール、ドイツや香港にも出荷しています。良いものならば「国境・文化」に縛られることはないとの考えで進めております。日本酒という大きな括りではありますが、底上げを図りつつ、誰からも愛され続ける信州銘醸の酒を、皆が一丸となり、酒造りや販売に一生懸命努力し、まとまること、各人で目標を立てて行動する雰囲気が蔵全体に漲ることを心に留め、「日本酒の新たな価値」を想像し、邁進してゆく所存です。
エピソード
山間に囲まれた自然山間に囲まれた自然豊かな小さな町、丸子に信州銘醸(株)が生んだ銘酒“新聞大吟醸“があります。
最初このお酒に出会った時は、「これは日本酒じゃあない、ワインだ!」と思った程フルーティーで飲みきり後の爽やかさ、心地良さが今でも鮮明に残っています。
外見は新聞紙で巻いてある為、男ぽっく野生的に見えますが中身は繊細な大吟醸・・・・人気の為、市場であまり見ないのも仕方が有りません。
経営者である滝沢修次・光次氏の二人三脚はお二人の「人柄の良さ、生真面目さ」がそのままお酒に表れ、他にもある数多くの銘酒“喜久盛・梁山泊”等がたくさんの酒飲みを楽しませてくれます。
取材:フードネットジャパン店長 髙橋照治(兼 横浜市中央卸売市場販路開拓アドバイザー)
信州銘醸株式会社
信州銘醸株式会社四季に美しい東信濃は丸子の地、江戸の後期に酒造りが始まり1958年町内の四蔵元が信州銘醸株式会社を設立しました。
良質な仕込み水の確保を目的とし、清冽で豊かな水をたたえて流れる依田川のほとり~飲み人に栄えあれ~と願いを込めた”喜久盛“に丸子を囲む美しい山々の明峰・秀峰の二字を冠して酒銘としています。
創業以来 品質本位、県産酒米美山錦を磨き上げ依田川の伏流水とそれぞれの酒質に合わせての自家培養酵母、小谷杜氏 西沢勝の技と手造りの良さを生かして信州の銘酒としての酒造りに徹しております。
*http://www.shinmei-net.com/index.html より
信州銘醸株式会社 長野県上田市長瀬2999-1
ラインナップ
「瀧澤」純米大吟醸-「ひとごこち」使用・純米吟醸・特別純米・純米酒 など
「秀峰 喜久盛」純米大吟醸・大吟醸 など
「明峰 喜久盛」純米酒・三年熟成 がんこもん-普通熟成酒 など
「梁山泊」吟醸
「黒耀」特別純米酒 など
「ひとごこち」について
心白発現率高く、醸造適性の高い酒造好適米水稲「ひとごこち」を育成し、奨励品種に採用した。大粒で醸造適性の高い高品質米の安定生産には、基肥を抑え幼穂長5~10mm期に追肥を行う。
背景・ねらい
本県の酒造好適米「美山錦」は醸造評価は高いが長稈で倒伏に弱く、心白発現がやや劣る。「白妙錦」は心白発現は良く良質であるが、耐冷性弱くやや低収で、倒伏に弱い欠点を持っている。
このため、大粒で心白発現率が高く、醸造適性優れ、栽培特性のよい、多収な酒造好適米を育成・選定し、高品質米の安定生産技術を確立することにより、高品質な酒造好適米の安定生産を図る。
成果の内容・特徴
「ひとごこち」は長野県農事試験場において、昭和62年「信交酒437号(白妙錦)」を母とし、「信交444号」を父として交配を行い育成した酒造好適米で、「白妙錦」及び「美山錦」の一部に替えて奨励品種に採用した。
「ひとごこち」は出穂・成熟は「白妙錦」より4日程度遅く、「美山錦」より出穂期は2~3日遅く、成熟期は同じ“中生の早"である。
玄米は「美山錦」より大粒で、粒揃い良く、心白の発現率高く、外観品質は「美山錦」より優れ、「白妙錦」並によい。
醸造適性高く、淡麗で味に幅のある酒質で、59%搗精での醸造評価は「美山錦」より優れる。
収量性は「美山錦」「白妙錦」より多収である。
「美山錦」より稈長の短い“中稈"で、耐倒伏性は“中"で「美山錦」より強い。
いもち病の真性抵抗性遺伝子はPi-a、iと推定され、圃場抵抗性は“中"で「美山錦」よりやや強い。
耐冷性は「美山錦」と同等の“やや強"である。
大粒で心白発現率が高く、タンパク含量が低く、醸造適性の高い高品質米の安定生産の適正穂数は350~400本/m2で、一般品種より基肥Nを2kg/10a程度減肥し、幼穂長5~10mm期(出穂前20~15日)の追肥がよい。
*https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010005641 より
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