「ひょう干しの煮物/ひょう干し煮」
主な伝承地域 村山地域、置賜地域
主な使用食材 ひょう干し、糸こんにゃく、人参、油揚げ
歴史・由来・関連行事
山形県は全域が豪雪地帯に指定され、流通の悪かった時代には冬場の食糧を確保することが生きる上で必須であった。そのため、雪に覆われる冬に備え、春から秋にかけて豊富にとれる山菜や野菜などの食糧を干物にしたり、塩漬けにして塩蔵品にする保存食の文化が根づいてきた。
置賜地域や村山地域に伝わる保存食の一つに「ひょう干し」がある。「ひょう干し」とは、夏に摘んだひょうをゆでて、天日干しにしたもの。ひょうは「すべりひゆ」の別名で、江戸後期に上杉鷹山公が家臣に命じて刊行した救荒書『かてもの』にも「すめりひやう」と記載されている。初夏から初秋にかけて、畑の隅などに生える野草である。生命力の強い植物で、夏の強い日差しにも負けずに繁殖する。ひょうは、夏に摘みたてをゆでて辛子醤油で食べたりするほか、天日干しにしたひょう干しは、煮物によく利用される。
食習の機会や時季
正月料理として欠かせない「ひょう干しの煮物」。ひょう干しは、年始を迎えたとき「今年も“ひょっと”していいことがありますように」という願いを込めて、縁起を担ぎながら食べられる。
つぼみを持つ前が美味しいとされており、米沢市周辺では土用の丑の日の早朝に収穫する風習が残っている。
飲食方法
ひょうは干物にすることで軽い歯ごたえが出て、生の酸味のある味とは異なる独特の風味を楽しめるようになる。
調理する前に「ひょう干し」を柔らかく戻すことが美味しくつくるポイントである。こんにゃくや油揚げ、打ち豆などと一緒に炒め煮にして食べる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
ひょう干しはスーパーマーケットや直売所などで購入できる。郷土料理を提供する飲食店や年末年始の宴会などの膳につくことがある。また、学校給食のメニューとして提供している地域もある。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/hyoboshinonimono_yamagata.html より
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