「彩のきずな」
1 生い立ち
「彩のきずな」は、埼玉県農林総合研究センター(現:埼玉県農業技術研究センター)で、平成15年に交配を行い、9年間かけて選抜し、育成されました。
開発秘話 ~暑さを乗り越えた“奇跡の一株”~
お米は、夏季の高温によって米粒が白く濁って、品質が低下することがあります。
埼玉県においても、これまで猛暑によってお米の品質が悪くなってしまったことがあります。
平成19年には当時の国内最高気温40.9℃を記録し、平成22年には観測史上最も暑い夏が訪れるなど、近年、埼玉県では夏の高温が課題となっていました。
当時、埼玉県農林総合研究センター(現:埼玉県農業技術研究センター)でも、開発していた約300種のお米の多くが白く濁ってしまいました。
しかしその中に、奇跡的に白く濁らなかった1種類を発見。その1株から種を増やし、その後「彩のきずな」が誕生することとなりました。
系譜
「彩のきずな」は、「ゆめまつり」を母、「埼455」を父として交配されました。
母「ゆめまつり」…愛知県で育成された晩生の複合抵抗性、安定良質良食味品種。
父「埼455」…埼玉県で育成された早生、短稈、穂数型の系統。
彩のきずな系譜図
「ゆめまつり」と「埼455」からできた稲の中から、『暑さに強く、おいしくて、病気や害虫に強い稲』が選抜され、「彩のきずな」となりました。
2 おいしさの特徴
「彩のきずな」は、「コシヒカリ」と同等以上の食味で、おいしいお米です。
もっちりした食感
ごはんの粘り成分のひとつに「アミロース」があります。「アミロース」は少ないほど、ごはんの粘りが強くなります。
「彩のきずな」はアミロースが少ないため、粘りが強く“もっちり”とした食感の、おいしいごはんに炊きあがります。
バランスのとれた甘みと旨み
ごはんのおいしさは、お米に含まれる「タンパク質」の量にも左右されます。
「彩のきずな」は、タンパク質はやや高めで、甘みと旨みのバランスがとれた、様々な料理によく合うお米です。
3 栽培
「彩のきずな」は、『暑さに強く』、『病気や害虫に強い』お米です。
平成26年から本格的に一般栽培を開始し、令和3年には6,600ha(推計)の作付が行われており、年々作付が増加しています。
夏の暑さに負けない強さ
「彩のきずな」は記録的な猛暑を乗り越えて、開発されたお米です。
夏の暑い日は、根から盛んに水を吸い上げ、葉や穂の温度を下げることで、暑さによる品質低下を防ぐことができます。
病気や害虫への抵抗性 ~減農薬栽培~
稲の主要な病害虫として、「いもち病」、「縞葉枯病(しまはがれびょう)」、「ツマグロヨコバイ」などが挙げられます。
「彩のきずな」は、これら複数の病害虫への抵抗性を持っているため、農薬を減らして栽培することが可能です。
*https://www.pref.saitama.lg.jp/a0904/komemugidaizu/kizuna.html より
*農研機構HP より
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