第246回 2020年3月3日 「彩り豊かに 使いやすく~三重 萬古焼~」リサーチャー: 三倉茉奈
番組内容
蓋を工夫した炊飯用の土鍋。液だれしにくいしょうゆ差し。そして多彩に色づけされたビアマグ。どれも、三重県四日市市の焼き物、萬古焼だ。江戸時代から、使いやすく、暮らしに彩を添える器を生み出してきた。明治以降は、海外への輸出も盛んに。そのひとつがビアマグだ。イギリス・スイス・オランダなどに向け、それぞれのお国柄を反映した絵が描かれている。食卓に彩を添え、暮らしに役立つように施された、技と工夫を見ていく。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A202003031930001301000 より
1.大黒ごはん鍋(「華月」五代目・藤井啓雄さん)
萬古焼の土鍋
「土鍋」は「萬古焼」(ばんこやき)を代表する商品で、国内シェアの約8割を占めます。
「萬古焼」の特徴は「陶土」にあります。
ロケットの塗装にも使われる「ペタライト」という熱に強いリチウム鉱石を混ぜて焼くことで強度がアップ。
耐熱性が抜群に優れていて、直火や空焚きなどの熱に対しても高度な耐久性を持っています。
大黒ごはん鍋
「大黒ごはん鍋」は、かまど炊きのような美味しいご飯が炊ける土鍋です。
一番の特徴は、「火加減調整がいらないところ」。
オーブンやガスコンロで、最初から最後まで同じ火加減で炊くことが出来ます。
ごはんだけでなく、雑炊やカレー、シチュー、鍋物にも使える万能土鍋です。
超耐熱性の製品だから、冷蔵庫から出してすぐに直火にかけても、割れることがありません。
直火、電子レンジ、オーブンいずれにも対応しております。
持ち手には、職人さんの手跡が残っている場合があります。
手作業のため、力加減によりどうしてもついてしまうそうですが、まあ”味”・・・なんですかね。
平成29年度「三重ブランド」に認定されました。
大黒ごはん鍋で白米を炊く(2合)
お米を洗い、30分浸水させる
お米を大黒釜に入れ、
内釜に彫られている下から2本目の線まで水を加える。
内蓋、外蓋をし、中火より少し強めの火で9分。
そのまま10分蒸らす。
華月
萬古焼の窯元「華月」は、安政3(1856)年に餅や茶を作る道具であった「石臼」の製造業として創業しました。
時代の変化とともに華器を製造してきました。
昭和30年代に耐熱陶器を作り始めます。
火にかけて割れない物質「ペタライト」を見つけ、8年がかりで特許を取得、超耐熱性の土鍋を開発します。
火にかけても割れない耐熱食器を作るため、土や釉薬といった原材料からこだわり、更には全ての工程において最高品質が保たれるよう管理が行われています。
食器なのに直火にかけられる常識を覆す器「KOKURYU」を開発。
温かいものを温かく、最後の一口まで熱々で美味しく味わえると評判です。
更に洗い物も簡単です。
華月 三重県四日市市羽津山町20-9
2.萬古焼の醤油差し(萬古焼 醉月陶苑/醉月窯)
「萬古焼」の代表とされる商品は「土鍋」と「急須」。
「四日市萬古焼急須」は、昭和53(1978)年に国から「伝統的工芸品」に指定されています。
萬古焼の急須の中でも「紫泥急須」(しでいきゅうす)は、鉄分を多く含んだ赤土を、釉薬をかけずに焼いたもので、鉄分が茶葉の中のタンニンに反応し、渋みを和らげ旨み成分を引き立てる効果があると言われいます。
醉月窯の清水醉月さんは、料理研究家の大原千鶴さんと一緒に日本人の食卓に欠かせない「醤油差し」を作り出しました。
醤油差しで厄介なのは、注ぎ口が液だれして汚れること。
そして蓋の縁に付着する結晶が掃除しにくいこと。
それを注ぎやすい良質な急須で知られる萬古焼の技で見事解決!
鋭く作られた注ぎ口は液だれが生じることなく、いつでも快適に使えます。
胴に合わせて蓋はぴったりと合わさるように作られ、口の周りに醤油が固まることもありません。
素焼きを終えると、清水さんの奥様、きし代さんが特別な絵の具を使って、桜の「盛絵」を施しました。
購入をご希望の方は、「醉月陶苑」に直接ご注文下さい。
萬古焼 醉月陶苑 三重県四日市市南いかるが町19-4
3.海外向けビアマグ(「田中正商店」田中 誠さん)
明治時代に入り、阿倉川の白土を原料に木型・土型を駆使して、文明開化の雰囲気のある突飛なデザインの萬古焼が、海外に大量に売り出されました。
そのひとつが「ビアマグ」です。
イギリス・スイス・オランダなどに向けたそれぞれのお国柄を反映した絵が描かれています。
「田中正商店」は、昭和30(1955)年の創業以来、ビアジョッキ(ミューヘンマグ)の製造販売をしている窯元です。
職人の田中誠さんに「ビアマグ」作成の工程を見せていただきました。
絵柄が刻まれた石膏の型に、原料の土を流し込んで乾燥させたら、素焼きします。
焼き上がったら、下絵付け、色付を行い、釉薬に浸けて焼成します。
焼成後、残った部分の色付に進むのですが、釉薬に馴染みやすいものをチョイスしていました。
この時、色の違いで鮮やかに発色する温度が異なるのだそうです。
「ビアマグ」はビアガーデンで使われるだけでなく、インテリアとして購入する人もいるそうです。
国内だけでなく、海外にも輸出されているそうです。
田中正商店 三重県四日市市本郷町4-4
*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Mie/bankoyaki より
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