とあるスナックで
コー
この本をじっくり読むと、いろいろなことがわかってくる。
「公共貨幣」に賛成か反対かは別にして、経済のこと、通貨のことの知らなかった事が分かってくると思うな。
なぜ「アベノミクス」がうまく行かなかったのか、とか。あんなに日銀がお金を作って作りまくったのに、GDPは上がらず、インフレどころかデフレのままなのか、とか。
p-183
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では、その進化とは何か。すでに第4章で見たように、部分準備銀行制度(フィッシャーの表現では10%システム)の下では、マネーストックの大部分である要求払預金(コー注:普通預金などすぐに払い戻しができる預金:銀行から100万円借りると、自分のこの口座に無からお金が作られて、100万円が振り込まれる)は信用創造によって無から創造されたり、また破壊されたりする。(コー注:破壊とは、借りた100万円に利子をつけて返済すると、無から作った100万円が消えるという事だと思う。銀行から100万円借りると、世の中のお金が増えて、返済すると消えるという事。返済をしても消えてなくならかったら、すぐに世の中ハイパーインフレになる。)
この要求払預金の増減は経済活動の中から内性的になされるもので、中央銀行や政府もコントロールできない。(コー注:要求払預金の増減とは、銀行からお金を借りたり返済したりすること。アベノミクスの第二の矢の機動的な財政政策は財務省によって潰されたのではないだろうか。そして第三の矢の民間投資を喚起する成長戦略は政府もコントロール出来にくいという事だと思う。)当初フィッシャーが考えていたリフレーション政策の効果は、マネタリーベースが増加する段階までで、その先のマネーストック(要求払預金)が増加[ 銀行から融資を受けるという事、お金を借りるという事]させることにはならない。すなわち、以下のようになり、したがって、勿論、物価を上昇させる効果はない。
買いオペ==>マネタリーベース増加(コー注:日銀にある各銀行の当座預金の現金の増加)・・・(部分準備銀行制度)・・・>要求払預金(?)
そこでフィッシャーは「債務ーーデフレ理論」のエッセンスとなる不況の原因は、上で引用したように「全て要求払預金の収縮にある」と、しかもイタリック体で強調して高らかに宣言したのである。(コー注:この要求払預金の収縮という事を理解するのがむずかしい。預金が連鎖的に消えてなくなるという事か?)不況をもたらす根本原因は現行の債務貨幣制度システムにおける部分準備制度(コー注:イコール信用創造)である、と確信したのである。
今日、欧米諸国が実施する金融の量的緩和(レフレーション)政策でマネタリーベースは増加するが、マネーストックは増加せず、不況が長期化している現状を冷静に観察すれば、フィッシャーのこの確信が歴史的に実証されたともいえる。この部分準備銀行制度ゆえに、第4章で見たようにお金が無から創られてバブルを発生させたり、また169ページの表8.1でフィッシャー自ら分析したように80億ドルものお金が大恐慌で忽然と消えるのである。(コー注:中国はまさにお金が今忽然と大量に消えている最中だと思う。中国の当局はなぜ銀行からお金が消えていくのか、分かっているんだろうか。)ーーーーー。
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小林
この、世の中からお金が消えていくというところが、分かりづらいですね。
コー
そうだね。むかし部分準備銀行制度がなかったころにもバブルとバブル崩壊はあったんだと思う。1600年代のオランダのチューリップバブルが有名だね。たとえばその時にAという人が、儲けようとしてチューリップを買ったとする。ところが買った値段より高く売れなかったとする。A君は損をする。じゃその損したお金は世の中から消えてなくなったのだろうか。違うよね、チューッリプを売って儲けた人のところに、移動 したんだよね。世の中からお金が消えたわけではないという事だ。
じゃ部分準備銀行制度=債務貨幣制度=信用創造の下で、銀行からお金を借りてチューリップを買って損をした時は、どうなるんだろう。
小林君はもう分かったよね、その違いが。
小林
待ってください。もう話は終わりですか。続きを聞かせてくださいよ、コーさん。
コー
うーん、今日はちょっと疲れたからまた後で。
小林
いいとこだったのになー。コーさんまた頼みますよ。