野叟解嘲(やそうかいとう)ー町医者の言い訳ー

老医師が、自ら患者となった体験から様々な症状を記録。その他、日頃、感じていることや考えていることを語ります。

間欠性跛行

2022年08月05日 | 日記

6年ほど前、腰椎すべり症と腰椎椎間板ヘルニアを同時に手術しました。

最終的に手術を決断したのは、ヘルニアによる足の痛みですが、間欠性跛行はおそらく30年くらい前から発症していたと思われます。今回はその症状について少し書きます。

振り返ると、30代前半の頃、東京での学会に参加した時に、それは始まりました。会場が数か所に分かれていたため、あちらの会場、こちらの会場と歩いて異動していたところ、左足の裏、第2趾の付け根(MT関節付近)に違和感を自覚しました。靴の中に砂がはいっているような感覚で、何度も靴を脱いでは、あると思っている砂を取り除こうとするのですが、何も出て来ません。しかし、そんな作業で数分休むと症状は軽減します。くつに原因があるのかと、中敷きの第2趾部分を削り取るようなこともしました。これも少し有効な感じだったので、よもや、自分の腰椎に狭窄症があるとは夢にも思いませんでした。間欠性跛行という言葉は、神経外科医の常識として知っていましたが、こういう感覚の異常とは想像していませんでした。

このような状態が、十年近く続きました。40才近くになったとき、勤務先の病院で、たまたま自分の腰椎MRIを撮影する機会がありました。L4,5間で少しすべりがあるかなとは思いましたが、脊柱管自体は広く、腰椎の形もl良好で、「狭窄症とは縁がないだろう」と自信を持ったものでした。古い資料のため、ここでお見せすることができないのが残念ですが、そのうち、手術する直前の状態はお見せします。

今回、覚えて欲しいのは「靴の中に砂がはいっているような感じ」ということです。若い先生方には、お年寄りの訴えに、このような表現があった場合には、腰椎病変を考えていただきたいと思います。この他にも「足の裏に水ぶくれができた」という患者さんもいます。もちろん、実際に診察しても水疱など見当たりません。あるいは、平らなタイルの上を歩いているのに「砂利の上を歩いているみたい」と表現する方もいます。

注意したいのは、糖尿病性ニューロパシーでも同様の訴えが聞かれるということです。鑑別診断として、頭に置いておきたいものです。

いずれにしろ、上記のような症状は、障害される末梢神経の種類に関係するといわれていますが、その話はこの次にします。


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