まいどおなじみ(爆)、TTのデザイン論。ここでいうTTとは初代のTTクーペ。この記事は現行の新型との比較論ではありませんが、便宜上こちらをクーペ1、新型をクーペ2と呼ぶことにしましょう。ロードスターも名作といってよい仕上がりですが、ボディデザインを論じるときにはクーペのほうがやりやすいので(爆)、ロードスターはまた別の機会に・・・
TTクーペ1のボディデザインには実は随所に破綻が見られます。画像のAピラーとボンネットとのつながりもそのひとつ。「とってつけたような」外観をあえて狙うのがクーペ1のデザインコンセプトです。そのいわば「とってつけデザイン」を今日はルーフ中心に眺めてみます。
Aピラーのウィンドウ側の曲面がドアの切り欠きにまで連なる点に注意。ただしルーフとボディはここまでやるか、と思うくらいに分断された造形です。ドア上辺の直線に対してルーフの曲線を潔く交差させることでこの分断は強調されています。さらに普通のカーデザインではこのアングルからですとどうやってもボンネットの切り欠きが視界に入るはずですがTTではここをがんばって、ボンネットそのものをサイドにまで回りこませて見せ所のひとつとしています。
結果、このアングルからですとルーフ全体がまさに浮き上がって見え、造形を強調する仕組みとなっています。凝りに凝ったミラーの造形などもそれ単体で美しいわけですが、このあたりのデザインコンシャスネスを見ている限りゴルフクーペだなどと呼んではシツレイというものです(爆)。TTならではのオサレな造形。ディテイルの美しさに関してはほぼ語りつくしておりますから今回は自粛(してないって)。ミラーひとつとってもほとんどアートと呼ぶべきでしょう(きつぱり)。
Aピラーから落ちてきた曲線がそのままボンネットとフロントドアの切り欠きに連なるのがこのアングルからも看て取れます。94年のプロトタイプではサイドウィンドウは2枚構成でリアピラーの造形がまったく違ったものでしたが、プロトよりも販売型のほうがはるかに機能面、デザイン面で完成度が高い。完成度はともかく カッコで市販型がプロトを上回った数少ない例といってよいと思われます。
ルーフの「とってつけデザイン」がもっとも強調されるのがこのアングル。なだらかに落ちてきたルーフエンドがリアフェンダーと交わるあたり。まさに見せ所ですが、クーペ2では流線型となって完全に911コンプレックスに陥ってしまっている(一部意味明瞭)部分がこれです。リアウィンドウもスムーズにテールに流さずに曲面、いや球面として「ドーム」を形成しているのが印象的。このあたりはことごとく911のデザインを否定しまくっていて、逆に911コンプレックスがうかがわれて興味深い。かくいう私も911卒業記念としてこのデザインを買っておりますた(爆)。どちらがどう、ではなく興味深いデザインです。
リアウィンドウはこう(驚愕)。ここまでやるか、というくらいに「とってつけて」ありますね(爆)。ここをこうして折ってやれば911には見えねえだろう、というコンプレックスの顕われであると読むのも自由ですが、じつはTTクーペ1のデザインは911の50年先をいっていた。逆に現行クーペ2は911から遡ること50年前の凡庸な造形である、というのが私の持論ですがいかがでしょうか(爆)?クーペ2オーナのみなさまゴミン。このTTクーペ1のリリースの席上、当時のVWグループ総帥フェルディナント・ピエヒは「TTの唯一のライバルは911である」と明言したそうですが、価格も車格もほぼ半分(爆死)のくせに志だけは高かったのう、と。
今日はTTのルーフデザインについて考察してみますた。つづきはまたいつか(爆)。
ついでに画像の写り込みをご覧ください(爆)。PCS-HQが分厚く塗りこまれた結果、まさに鏡面状態となっている、の図(ばかともいいます)。