いよいよ、Barbour名物、リプルーフでございますよ!
通常、お洗濯では衣類のアブラ汚れをいかに落とすか、というのがじつは命題。
繊維にこびりついたしつこい汚れの大半はアブラ=皮脂で、そいつを落とすのに四苦八苦している、というのに、Barbourのジャケットではお手入れにアブラ塗りたくる、ってえんですから珍奇なこと、このうえない。
恐らく英国に多いといわれるミスト=「傘をさすほどではない霧雨」に対応するために考案された防水仕様でしょうが、じつはこのアブラは強度にも効いており、アブラが落ちた状態では摩擦のせいで、本体の耐久性にも影響を及ぼす、というから侮れない。
画像はオイルを、コシンヤ師匠のブログにある通りに、リプルーフ作業をおこなっている、の図。一見レザーのように見える右サイドがリプルーフ後のお姿なわけですが、シワやシミ、ダメージなどが見えなくなるのが出色。キモチ重くなるあたりも、満足度高し(爆)。
カーディガンのように、普段から傍らにおいて、親しんでおく、というのではなしに、ここぞという場面で着用して、機能を愉しみつつ、着こなしてやる、というオンデマンド衣類なわけですが、そのての「作業着」は、えてして地味なのが普通。
私のように、チャラチャラした輩がファッションアイテムとして捉えた場合には、いつまでたっても買えないカテゴリーである、という始末となります。
がっ、このBarbour X TOKITO だけは別問題でございます。
なぜか?
Barbourはそれこそ1世紀以上に渡って作り続けられているプロダクツ。いわばクラシックの極みなわけですが、そのように着続け、愛用された衣類のデザインなんて、そうそういじれない!いじってもほんのディテール。ボタンを一個追加した、というのでも大問題となるのが英国衣料の世界なのです(きつぱり)。そこへわれらが日本人デザイナー吉田トキヒトさまが、斬り込んで一刀両断、まではゆかないが、みごとに「新型の」Barbourを創りあげた、というのがこの2010~2012年の、2年間限定のBeacon Heritage Rangeだったのです。
Barbourの定番各モデルの国内正規代理店での小売価格はざっと5万円。
一見、薄手のドカジャンにしか見えない(完全意味明瞭)、ただのアブラ塗ったコットンでできた一着になど、ファッションに興味のないお方には、とても払える金額ではありません。実物見て値踏みした場合にはせいぜいが3000円くらいな印象です。だいいちベトベトしてるし(爆)。
ラベルにうやうやしく貼ってある、トリプルワラントはたしかにありがたいのですが、いかんせん他国の事情ときている(爆)。
地味なほかに、ディテールも最近のSLと呼ばれる、スリムなモデルをのぞくとキホン、ふなっしーみたいな「寸胴」そのものでスタイルとはカンペキに無縁。とくれば、ファッション視点で冷静に見たときには、買う理由が見当たらない。というのが、じつにBarbourの実体なのです。
もちろん、ギヤとしてみた場合には秀逸。デザインも完成の極みですし、これ以上ないレベルまで研ぎすまされている関係で満足度が高い。ギヤとしては満点ながら、ファッションアイテムとしても味があるんだが、積極的には買う気になりにくい。とそのあたりをキレイに払拭してくださったのが、このBarbour X TOKITOなのでした(と理解しております)!
オリジンにきっちり敬意を払ったうえで、その用途に身をもって理解を示しつつ、デザインが施されていた一連のプロダクツはそりゃあもうすばらしい!私も吉田さんと同じ日本人としては看過できないコレクションだったわけですが(あんまり関係ないでしょう)、案の定、世界中、おもにヨーロッパ界隈で大ヒット。それが2010~2012あたりの出来事でございます。
こと私に関しましては、ボクスターを購入した関係で、クルマに夢中。服飾関連から興味が一瞬、遠のいており、ここまでの一連の「これ」をすべて見過ごしていた、というのが大いなる反省点、というものでございます。
まあね、仮に知っていたら、全部定価で買いあさっていたことでしょうから(爆)、事後でむしろ幸いだったのかも、といまになって振り返る昨今。ちなみに、このコレクションは定番ラインのきっちり5割増し!10万円弱でそれぞれが販売されておりましたが、今やそのお値段では到底手に入りませんて。
こうして、終わってみてから俯瞰してみますとこのコレクションがいかに異色だったか、というのが理解できて非常に興味深いです、はい。HERITAGEというからには、再販はないだろうな、という予測から、さらにプレミヤ感が増すわけでございます。これが所謂、ヴィンテージファションの世界ですね。