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山仕事では、よく焚き火をします。
伐採木の小枝や刈り払った下草を焼却したり、時には暖をとるために火を燃やします。
この火を燃やす作業は、簡単そうですが結構コツのいる、また楽しいものです。まず、乾いた枯葉や小枝を集め燃やしつけ、徐々に太い木や生木を加えて大きな火にします。
こんな時、いつも想い出すのが幼い頃の囲炉裏の火です。
田舎ではどこの家にも、玄関を入って土間に続く大きな部屋、今日のキッチン兼ダイニング兼リビング兼応接には囲炉裏があり、常に火が燃え、あるいは灰の中に火種が残っていました。
囲炉裏は、生活の場の中心であり、家族団らんの場であり、家庭教育の場でもありました。パチパチと燃える木から上る煙の香り、祖父の膝に抱かれてあたった暖かい火、ワタシで焼いたサンマの香り、大鍋で煮たほうとう汁の味など、今でも記憶は鮮明に残っています。
50万年前に人類は最初に火を手に入れたとのこと。この火が日本の家に定着し、第1級の文化に成熟したのが囲炉裏だと思っていますが、今ではその文化は消え去り、憧れの文化となってしまったことは寂しい限りです。
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ホウロクという大きな鉄のフライパンで少し焼いてから、灰の中に入れてゆっくりと焼き上げる。
灰から出して、たたいて灰を落として食べる、美味しかったですね。
この方法で焼いているおやきは、今でもあります。
・・・が、昔の味とは違う気がします。