https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN043TE0U2A500C2000000
メディア企業によるツイートの引用に課金する案も検討中と報じられている。一方でこうした収益改善のアイデアは、同氏が買収の目的に掲げる「言論の自由を守る」という考え方にそぐわないとの指摘も出ている。
マスク氏は3日、ツイッターの自らのアカウントに「結局、(友愛団体である)フリーメイソンの没落は石材加工を無償で提供したことだった」と投稿した。ネット広告を収益基盤とし、誰にでも原則無料でSNS(交流サイト)サービスを提供しているツイッターのビジネスモデルへの問題意識を提起した。
続く投稿では「商用・政府機関ユーザーには若干のコストがかかるかもしれない」と書き込んだ。具体的な課金の仕組みなど、詳細については言及していない。個人などの「カジュアルユーザーには常に無料だ」とも念押しした。
ツイッターは投稿の取り消し機能などが使えるサブスクリプション(継続課金)型サービス「ブルー」を米国など一部の地域で試験的に始めているが、こうした有料サービスの売上高は全体の1割未満にとどまる。マスク氏は政府や企業の利用に幅広く課金することで、広告収入に依存しない収益基盤を育てられると考えているようだ。
ロイター通信は4月末、マスク氏が買収資金の融資を交渉した金融機関などに対し、第三者のウェブサイトが認証を受けた個人や組織のツイートを引用する場合に手数料を徴収するアイデアを持ち出したと報じた。記事中に著名人らのツイートを引用したり、埋め込んだりするメディア企業などが課金対象になるとみられている。
インターネット関連法に詳しく、ツイッター前最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシー氏の思想にも影響を与えたとされる米テックダート編集者のマイク・マスニック氏は5月2日付のブログ投稿のなかで「ツイートの引用はほとんど全ての場合、著作権法上のフェアユース(公正な利用)に該当する」と指摘した。著作権法でフェアユースが認められている主な理由は、言論の自由を保障する合衆国憲法修正第1条が「それを要求しているからだ」という。
マスク氏はSNS上の投稿管理が行き過ぎであるとの問題意識から、ツイッター買収に乗り出した。自らを「言論の自由の絶対主義者」と称する同氏について、マスニック氏は「他人の言論の自由を無視して彼らに金を払わせようとするのは、ちょっと奇妙だ」と皮肉っている。