土屋龍一郎のブログ

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お初釜2東京編その2薄茶

2006-01-23 14:12:57 | Weblog
 待合室での時間が1時間ほどたったときに、「今日庵」の方に促されて50人ほどがそろって薄茶のお席に招かれた。ちょっと育ちを良く見せようと思って、物陰で十分ストレッチをしておいてから、長時間の正座体勢に入った。
 お茶をたてる方の作法をじっくりと見てもその流れるような所作のどこら辺がエキスパートなのか見当もつかぬ。ただただじっと見ていると「この人いつ呼吸してるのかな」などと通常なら考えもしないわけもわからぬ疑問が湧いてきた。畳の上のものを扱うから必ず前かがみになる。息をするタイミングだって見極めないと力が抜けちゃうよな。
 今年は戌年なので床の間には大宗匠の字で「一犬吠伝真」という書がかかっていた。なんでも中国の故事だとのことである。「戌年はワンダフルにしましょう。」という年賀状ばかりをたくさんいただいたあとなので、せっかくならこういった格式ある干支の使い方をしたいな、などとこれまた本筋とは関係のない事を考えた。
 小さなお饅頭と飴と薄く上げて餡をはさんだお菓子をいただく。今日は女房に金粉(に見せかけた)模様の入ったお懐紙を借りてきたので、ちょっと見せびらかしながらお菓子をいただく。お薄茶は朱の器でいただいた。ご案内の方は「いつもならば同じ作者の器を使います。干支にちなんだ字や絵が入ったものが多く使われます」とおっしゃっていたが私の器には何も書いてなかった。来年もこういう機会があったらの図柄が入っていてほしい。
 香炉やら置物やらはみな戌にちなんだものだった。廊下にも戌の掛け軸が飾ってあった。めでたい気分になる。
 ぼんやり見ていては何も感激しないものだが、ご案内の方に説明を受けて良く見ると、三段ある棚は上から丸・三角・四角の形になっていてさらに3本の脚がそれを支えている。浄土宗の教えにあるものを具現化しているそうな・・・また、熱いお湯を沸かしている釜の蓋だけが漆で塗られている。芸術家の意図は良くわからぬ。遊び心なのか、何かの真理を現しているのか・・・・