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原本:2014年12月25日
2014.12.19. 16:48 奈良県香芝市穴虫
ヒマラヤやアルプス連峰を思い起こされる屯鶴峯(どんづるぼう)
高く見えますが、標高は高い所で150m、谷筋は115m位しかありません。比高さは35m位です。
雪や石灰岩、岩塩の山ではありません。
これは、凝灰岩が正解
約2000万年(2000年ではありません。)前に、現在の二上山付近が噴出した際に、多量に降った火山灰や火山岩が堆積し形成され、その後造山活動(地震)により最大50度に傾斜し、隆起・浸食された地形です。
一応、「現在の二上山付近」という表現にさせていただきます。「二上山」と表現してしまうと、いかにも「二上山」が火山のような表現になってしまいます。二上山は火山には分類されません。死火山でもありません。火山活動があったことは、火山灰や火山岩があるように事実ですが、「噴火によって直接できた地形が残っていないものは火山に定義しない」ので、こうなります。火山活動による地形ということでしょうか...
凝灰岩の堆積した地層がはっきりわかりますね。
二上山の方向に、傾斜しています。
アルプスのマッターホルンのようです。
2000万年の間に、白っぽい火山灰が堆積して固結し、地震運動で傾斜し、隆起・浸食活動の中で堅い部分が残ったのがこれです。
近くの金剛山、葛城山、生駒山ができた(50万年位か)はるか前に、現在の二上山付近で火山活動(2000万年位か)がおこり、大量の火山灰・火山礫などの噴出、火山岩の湧出がありました。
2000万年のうちに大きく浸食され、特に、50万年ほど前の六甲変動(生駒・葛城・金剛・六甲山などの一連の地震造山活動、簡単に言えば地震の繰り返しによってできた山、羽曳野丘陵・泉北丘陵もその造山運動の一連としてできた。)により隆起し、さらに浸食されました。
二上山は第三紀の火山活動で作られた岩石からなる山ですが、山容がわからなくなる位隆起と浸食をうけ硬い部分だけが残っている状態です。
「火山」の用語は、一般的には噴火などの火山活動その物でできた地形が残っているものを指します。ですから第三紀以前に作られて、火口地形や溶岩流地形などが失われているものは火山とは通常呼ばれません。
硬い岩が取り残されています。
また、堆積した地層がよく残っています。
白い鶴が屯(たむ)ろしているようにみえる峯なので、屯鶴峯と言うそうです。
奈良県香芝市にあり、県の天然記念物に指定されています。
危ない!すぐにでも崩落しそうな岩石。直径80cm位。
岩および落下方向には近づかないようにしましょう。
逆の方向から撮りました。
何年か前より回りがかなり浸食を受けています。このあたりの凝灰岩が風化しているので注意!
奇勝にふさわしい山容。
崖面が白っぽく、とても目立ちます。
*奇勝の「奇」:「抜きん出た、すばらしい」の意
屯鶴峯の周遊コースの真中に、東北方向を向いた深い谷があります。そして、その両側はこのように絶壁になっています。
地層がはっきりわかりますね。層により粗い角礫が混じる層、細かい粘土のような層もあり、地層面が均一で平坦なので元来ある程度深く面積の広い淡水の湖沼に堆積したと考えられます。
地層の傾きは、場所により若干差があるようですが、二上山の方向を向いて。30~50度持ち上がっているようです。
白っぽい凝灰岩がとてもきれいです。
黒いガラス状の火山岩が多く含まれている地層です。
黄色いのはイオウの成分が含まれているのではないかと思われます。
大きな火成岩の角礫が含まれていました。
地層に含まれていた礫
角礫の他に、丸い礫も含まれています。上流より流されて来たのではないかと考えられます。
こういうふうにいろいろ観察しますと、楽しさも倍増しますね。
2000万年も前、人類がまだ存在しない頃、地球上にこういった営みがあったことに驚きを感じます。
壮大な地球の営みがこのような地形を造り上げました。
地球ができて46億年になりますが、内部はまだまだ温かい。(温かいという表現は正確ではありませんが...)山が造られるのも、地震が起きるのも、温泉があるのも、地球がまだ温かい所以です。この地形が形成されたのも、このことが大きく影響を受けています。
現地は自然な状態で保全されていますので、断崖などの滑りやすいところ、落石の危険性が伴います。行かれる時は、充分な装備でお出かけください。
近年、奈良県側の道路が整備され、快適な2車線道路になっていますが、近くに採石場があり、大型車両が通行します。充分ご注意ください。
入口付近に見学用無料駐車場とトイレが整備されました。近くにダイトレ(ダイヤモンドトレール)の北入口(起点)があり、いろいろな楽しみ方ができます。ぜひ一度見学してみてください。富田林からは車で30分くらいで行けます。
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