2014.1.23.にA・Bポイントの下流50mのところで新たな化石木を発見しました。石川化石林の中では一番下流部にあります。上記地図でご確認ください。
2014.1.23.最初の発見
おもしろい形をしている化石木です。なにか恐竜が首をもたげているような、石川化石林を象徴するような化石木です。
2014.1.23. 立木のようですね、45~60°西に傾いています。最初から曲がっていたものか、水流で曲がったものかは解りません。この写真は、上流部(南)より、下流部(北)を写しています。写真上部(下流部)は大阪層群の露頭です。
2014.1.23.
実は2013.6.5.に最初にA・Bポイントを発見し、その後C-1ポイントを2013.10.11.に、そしてこのDポイントはさらに遅れること2014.1.23.に発見しました。なぜ発見が遅れたかと言いますと、このDポイントは普通は見れないからです。というのは、Dポイントは一番下流部の化石木のため、深溝(ふこうど)井堰が通常の貯水時は水没しているからです。
ところが、2014.1.23.に深溝井堰が不調で貯水ができない状態になり、さらに冬場で流入する水量も少なく、最も水位が低下した時に、水面から斜めに顔を出していたのがDポイントです。
2014.1.23. おもしろい形をした化石木があるものだと、発見した時にそう思いました。発見時の私の記録にはこうあります。「おもしろい形をしているので、遊びの対象になって壊される恐れあり。(2014.1.23.)」
2014.1.23. 上の方から見るとこんな形をしています。写真の中の白丸は100円玉(2.26cm)です。
なにか、蛙か亀が首をもたげるような形ですね。
しかし、この化石木は現在このような形では存在していないのです。このことについては後述します。
2014.2.26. かなり長い間、水面から顔を出していたため、色が白く変化しています。
2014.1.23.ポイントDの少し下流部です。テーブル状の大阪層群が上流を向いて持ち上がっています。正確には南東方向に15°持ち上がっています。
2014.5.2.大阪層群の状態を調査しているところ。
富田林市の石川や佐備川では、大阪層群が露出している場所がたくさんあります。100万年程度では堆積した土砂は石(堆積岩)にはなりませんので、未固結の粘土層・シルト層・砂礫層などが分布しています。そして、ピンク火山灰層やアズキ火山灰層などの火山灰の層が含まれていますが、この層はいつごろ堆積した火山灰かが特定されていますので、これを見つければそこがどれほど前の地層かがわかります。深溝井堰付近でピンク火山灰層が見つかり、それにより100万年くらい前の化石木と特定できるわけです。
また、大阪層群には、12層くらいの海成粘土層があり、12回海の底に沈んだ時期があるのが解ります。これは主に氷河期の間氷期などによる気候変動が海面上昇の主な原因とされています。海成粘土は乾燥すると独特の細かいひび割れを生じるので、一目でわかります。川西大橋~深溝井堰の間に浸食によりはがれた海成粘土塊が散見されますよ。
2014.6.4. 増水するとこのようになります。もちろんDポイントは水没。最初のA・Bポイントの発見からは、2度大きな増水がありました。
①2013.9.15. 台風18号
・富田林市の石川中流域に大被害
新北橋の橋脚の陥没、複数の護岸への被害、複数の井堰の損傷
②2014.8.10. 台風11号
化石木:Bポイント流失→後に行方不明、C-2・3ポイント行方不明、Dポイント破損
2014.7.18. 下流部より上流部を見たところ。手前が大阪層群の露頭、奥にポイントDが見えます。青緑粘土層(酸化第一鉄型・還元型))と赤茶粘土層(酸化第二鉄型・酸化型)の互層がよくわかります。色の差はその粘土が形成された環境にあります。
2014.9.3. 8月10日の台風11号の爪跡→これが現在のDポイントです。
増水前は西に45~60°傾いていた状態で立っていましたが、現在は横に倒れた状態になっていました。当日は、5cm程わずかに水面の顔を出していました。折れたのか、さらに傾いて横倒しになったのか解りませんが、場所の移動はないようです。
*次回からは、石川足跡化石のシリーズ(3回連載)でお送りします。
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2014.9月15日 ( HN:アブラコウモリH )
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