普通列車は思った以上に混んでいた。
出発より前に誰かが赤ちゃん連れのママに席を譲った。
走り出してすぐに男の子がこんな大荷物の私に席を譲ってくれた。
何個か駅を過ぎ、私はその赤ちゃん連れのママと隣になる。
赤ちゃんは、とりあえずおとなしくしていたが、さすがに暑さと、飽きから機嫌が悪くなってきてしまった。
必死に、ママは赤ちゃんの背中をポンポンしたり、
笑いかけたりする。
私も一生懸命おかしな顔をしたり、話しかける。
「大変ですね~泣かなきゃいいね。」と話しかけると、
赤ちゃんはまだ8ヶ月なのだそう。八戸まで行くとのこと。
いきなりの列車事故により、この親子も一時間半近く普通列車に乗るはめになったのだろうか。
それにしてもこの小さな赤ちゃんをこんな混んだ電車に乗せるなんて、
ママだったらいつ泣き出すかヒヤヒヤものだな、と思ったら泣き出す度に気になって必死で赤ちゃんに笑いかける。
周りにいたおじいちゃんや、子育てを終えたであろう50代くらいのお父さん、
そして、60代くらいのおばちゃんも必死に笑いかけたり見守ったり。
それでも泣き声はだんだん大きくなり、みんな必死に見守る。
その子がやっと眠りについたとき、みんなの顔が安堵に変わる。
そのみんなの顔に、私は癒された。
みんな優しかった。
よかったね、と、そのママに伝えた。