『自由の哲学』を読む ~日々の暮らしから~

日々の「?」から始めて一歩ずつ
自分で見て考えて、行動していきたい。
私の自由が人の自由にもつながりますように。

「月光ソナタ」を伯母へのレクイエムに

2020年12月24日 | 手足を使う日々
秋に寝込んでそのまま旅立った伯母。
産まれる前から、
暑苦しいくらいに歓迎され続けていた場所が
急になくなってしまいました。ヘンなの。

退院したら、伯母の家に弾きに行こうと、
「治れ治れ~」と、こっそり祈りを込めて練習していた、
彼女が好きだったベートーベンの「月光」。

結局、家に帰ってくることはできなかったけれど、
あの家で弾いたら、あっちの世界の伯母にも届きそう。
そう思っていた。

伯母は子どもがいなかったから、
後の管理を任されたのはケイさん。
子どもの頃以来会ってないし、私の自己満足のために、
わざわざ家の鍵を開けて欲しいとも言いにくいな~。
そもそもケイさんの連絡先、知らないし。

だから、伯母の家に行くのは諦めていた。
もう自分ちで弾く度に、届いてることにしよう。
とは思うものの、
でも、やっぱり伯母の家で弾きたい気持ちは消えず…。

そしたら、偶然が重なってケイさんが伯母宅に行く日がわかり、
私も便乗して伯母の家に行くことが出来たのでした。
わ~~い!!
私の両親も行きたがったので、あちこちから4人で現地集合。

ケイさんは「ちょっと用事がある」という事だったので、
「じゃあ私、あっちで勝手に弾かせてもらうね」と、
別棟にあるピアノに一人で向かいました。
フタにホコリが溜まってるピアノ。

あっちで3人が何かゴソゴソ片づけている音が漏れ聞こえる中、
1人静かに伯母を思いながら、静かな1楽章を弾き始めたら、
曲調につられて、涙がつ~っと出てきました。
あ、ダメだ。止まらない。もう伯母はいないんだ。嗚咽しそう。
1人で良かった。いっそ、ちゃんと泣いてしまおう。

そう決めて、涙流れるまま弾き進めていく。
ちなみに、この曲、全部で15分以上あるので、
途中で、むこうの用事が終わったらしく、3人がこっちに来る! 
ヤバイ、涙出しすぎ。安っぽい演出みたい!

おりしも、時は3楽章。
最初からトップギアでアクセル全開!
激しく動くから両手がふさがってて、涙、拭けないよ~。
泣きながら、短調の曲を激しく弾き散らしてる中年って、
めっちゃ怖いやん??

隙を見て涙を拭いたりしたので、後半は集中できなくて、
伯母に届けるというより、
「気が散る~~~!」って感じだったんだけど、
ケイさんが後で「伯母ちゃんピアノ好きだったから、
喜んでるやろうな~」と言ってくれたのが救い。

伯母は、必要以上に揺らがない自信がある人なので、
自分ができない事でも、上からダメ出しする。
「あそこはもーちょっとこーいう風に…」とか何とか、
たとえ的外れでも、ひとこと余計なことを言いたい性分。

そして
「わざわざ来たわりには、ボチボチやな。
まぁ、ごはん食べに連れて行ったろ」てな展開で、
おいしいお店に連れていってくれるんだよ、きっと。

で、食べて戻ってきたら、もっとサービスしたくて、
「これ持って帰り?」とか言って、
服とかお菓子とかを出してくるの。

「サイズ違うし着れないよ」って断ると
「人があげるって言うものは素直にもらうもんだ」って怒り出す。
素直にがっかりしたらかわいいのに、ソンな性分だ(^^;)。

で、「またおいで」って元気に見送ってくれる。
決して寂しそうなそぶりは見せないのが矜持。

その後しばらく、ケイさんと両親と4人で
「おばちゃんって、こういう感じだったよね」って、
上に書いたようなことを話して
伯母の像にいくつかの新しいイメージを加えつつ、
私の中の心残りがひとつ整理できました。
感謝。

下手なピアノよりも、何よりも、
自分がかわいがっていた姪たちがつながったこと。
そして、仲良く伯母の思い出話をする事が、
寂しがりゆえに賑やかだった伯母が、
一番喜んでくれる事のような気がします。

そっちの居心地はどう?
新入りなんだから、余計な事言っちゃダメだよ。
そして、やすらかに。
ありがとう。


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