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公務員の副業としての不動産投資、懲戒処分となることも…

2021年07月11日 | 不動産投資
前提ですが、公務員の副業は法令で制限されています。
副業をしていたことがばれてしまうと、懲戒処分となってしまうケースがあります。
実際に副業がばれて懲戒処分となった事例が毎年発生しています。
だからといって、公務員の副業が全面的に禁止されているわけではありません。
公務員に可能な副業の一つとして不動産投資があるのです。

公務員でも不動産投資を副業にできる


公務員でも不動産投資を副業にすることができます。

国家公務員の副業制限


国家公務員は、人事院の承認を得なければ自ら営利企業を営んではなりません(国家公務員法第103条)。
したがって、人事院の承認を得た場合、または自ら営利企業を営むことに該当しない場合であれば、副業をすることができます。
これらについて「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」で定められています。

人事院の承認


不動産投資(不動産賃貸)について、人事院の承認を得るためには次の要件を満たす必要があります。

一 不動産又は駐車場の賃貸に係る自営を行う場合で、次に掲げる基準のいずれにも適合すると認められるとき。
   (1) 職員の官職と承認に係る不動産又は駐車場の賃貸との間に特別な利害関係又はその発生のおそれがないこと。
   (2) 入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。
   (3) その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないこと。

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第1項関係 5

これらの要件を満たし、人事院の承認を得ることで、公務員であっても不動産投資を副業にすることができます。

自ら営利企業を営むことに該当しない場合


不動産投資(不動産賃貸)について、自ら営利企業を営むことに該当しない場合となるためには、次の自ら営利企業を営むこととなる要件に該当しないことが必要です。

二 不動産又は駐車場の賃貸 次のいずれかに該当する場合
 (1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
  ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
  ハ 土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること。
  ニ 賃貸に係る不動産が劇場、映画館、ゴルフ練習場等の娯楽集会、遊技等のための設備を設けたものであること。
  ホ 賃貸に係る建物が旅館、ホテル等特定の業務の用に供するものであること。
 (2)駐車場の賃貸が次のいずれかに該当する場合
  イ 建築物である駐車場又は機械設備を設けた駐車場であること。
  ロ 駐車台数が10台以上であること。
 (3)不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行つている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合
 (4)(1)又は(2)に掲げる不動産等の賃貸と同様の事情にあると認められる場合

人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第1項関係 4 二

したがって、
  • 建物については賃貸対象が4棟以下かつ9室以下
  • 土地については契約件数9件以下
  • 駐車場については平面駐車場で9台以下
  • 娯楽集会、遊戯等の施設を設けない
  • ホテル等の業務に供されていない
  • 年間収入が500万円未満
の要件を満たせば、人事院の承認を得ないでも不動産投資を副業にできることになります。

妻名義など家族名義にすれば…


国家公務員の不動産投資について、妻名義など家族名義にすれば承認や許可を得なくてもいい、とする情報もあります。
しかし、これは誤りです。
名義が他人であっても本人が営利企業を営むものと客観的に判断される場合も自ら営利企業を営むことに該当するとされています。
単に名義を変えていても実質的に公務員本人が行っていると判断されるものであれば、承認または許可を得る必要があります(人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第1項関係 3)。

法人を設立すれば…


国家公務員の不動産投資について、法人を設立していれば承認や許可を得なくてもいい、とする情報もあります。
しかしこれも誤りです。
国家公務員は営利企業を営むことを目的とする会社等の役員等に就くことについても人事院の承認が必要です。
役員にならなければいいというわけでもありません。
報酬を得て法人の事業に従事または事務を行うには所轄庁の長の許可が必要です(国家公務員法第104条)。
どうしても法人を設立して不動産投資をしたいのであれば、役員等についてはいけませんし、報酬を得てもいけないことになります。

(私企業からの隔離)
第103条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない
(他の事業又は事務の関与制限)
第104条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
国家公務員法

地方公務員の副業制限


地方公務員は、任命権者の許可を得なければ自ら営利企業を営んではなりません(地方公務員法第38条)。
したがって、任命権者の許可を得た場合、または自ら営利企業を営むことに該当しない場合であれば、副業をすることができます。
これらについて各自治体の「職員の兼業許可等に関する事務取扱規程の運用について」等で定められています。
内容は上記「人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」とほぼ同じで、副業制限も国家公務員の副業制限とほぼ同内容となります。

(営利企業等の従事制限)
第38条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

地方公務員法

公務員の副業制限と懲戒処分


公務員が副業として不動産投資ができるのは、
  • 人事院の承認または任命権者の許可を得た場合
  • 自ら営利企業を営むことに該当しない場合
です。

これら以外で不動産投資をしていたことがばれると、副業制限に違反したことになるので懲戒処分の対象となります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

(懲戒の場合)
第82条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
国家公務員法第82条

(懲戒)
第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
地方公務員法第29条
 


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