夜中にやっているTVアニメ「平家物語」に惹かれています。
「鬼滅の刃」のアニメーションも圧巻なのだけれど、この「平家物語」の静かな映像の美しさに見入ってしまいます。
正面性のある構図で背景が描かれ、輪郭線は描かず色彩のグラデーションだけで事物の姿かたちと奥行き感を表現し、幽玄なのです。
ちょうど大河ドラマでも同時代が舞台になっていますね。(しかも鎌倉にちょうど設計の仕事があるという幸せ。通うぞ~ 笑)
平家について思いを馳せると、ぼくにとって外せないのが「平家納経」絵巻です。
隆盛を極める平家一門が厳島神社に奉納した「平家物語」絵巻は、一流の絵師や作家によってつくられています。
美の極み。
最初にその存在を知ったのは、画家・有元利夫がエッセイのなかで、平家納経を「汲めども尽きぬ源泉」と評したことを読んだのがきっかけでした。
有元はピエロ・デッラ・フランチェスカなどのルネサンスの古画に影響を受けた画風で有名ですが、その簡素古朴な画風と、平家納経の画風は、どこかで響き合うところがあるのでしょうか。
学生時代にぼくが建築学を通して学んだのは、ひたすら幾何学を出発点とした造形だったように思います。
幾何学から遠く離れた「平家納経」の画風をどのように理解したらよいのかわからないけれど、心の奥底で明滅し続ける存在です。
写真は小松茂美著「平家納経」より。
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