※2023年1月18日 内容を大幅修正しました
・2023年1月時点の情報は別の記事で紹介しています。こちらをご覧ください。
当たり前ですがレンタカーを使うと旅行中の行動範囲が格段に広がりますよね。特に鄙びた僻地の温泉を巡ろうとすれば、どうしてもバスの便が悪かったり、あるいは路線バスそのものが無かったりしますので、車を利用は欠かせません。しかし、ネット上では、台湾の交通マナーの悪さを理由に、レンタカーは絶対に避けるべきというご意見も散見されます。確かに普段は柔和で穏やかな台湾人も、なぜかハンドルを握ると性格が豹変してアグレッシブな運転をしがちです。これまで数度に亘る訪台体験によって私も台湾の交通事情は多少は知っているつもりであり、それゆえに車を運転することに対して及び腰になっていたのですが、恐れてばかりでは新しい世界に出会えない、虎穴に入らずんば虎児を得ず。列車やバスだけでは行動範囲に限界があるため、今回は思い切ってレンタカーを利用してみることにしました。結果を申し上げますとレンタカーを利用して大正解でした。今回は実体験をもとに、台湾におけるレンタカー利用について述べて参ります。なお今回の記事で取り上げた内容は、あくまで私の体験談にすぎませんから、取り上げ方や記述内容に偏りや思い込みがありますのでご了承下さい。
●レンタカーが便利な場所、不便な場所
闇雲にレンタカーを借りたって意味がありません。たとえば国内観光でも、都内や京都・大阪を巡る際にわざわざレンタカーを利用したら、駐車場や渋滞などが支障となって非常に不便ですよね。これと同じく、台湾でも台北やその近郊(北投・金山・烏来など)を巡るのでしたら、公共交通機関を利用したほうがはるかに便利で経済的です。いや、一度台北を訪れたことのある方ならお分かりでしょうけど、市街に溢れるバイクの洪水を目にしたら、とてもじゃないけど車を運転する気になれません。
一方、地方ですと鉄道路線が無いところが多く、路線バスも本数が少なくて利便性に劣りますから、レンタカーを借りてしまった方が楽ちん。タクシーをチャーターしても良いのですが、タクシーを1日貸し切る料金とレンタカー代金を比較しても大して変わりませんし、タクシーの場合はドライバーの質に当たり外れがありますから、それなら自分の意志で自由に行動できるレンタカーの方が良いに決まっています。
●事前に用意すべきもの
(2023年1月 JAFに関して内容を修正しました)
皆様御存知の通り、日本と台湾との間に国交はありません。また台湾はジュネーヴ交通条約に非加盟であるため国際運転免許証も通用しません。しかしながら二国間の協定により、以下のものを用意すれば、日本国籍の人でも台湾で運転することが可能です。
・日本の運転免許証
・JAF(日本自動車連盟)あるいは財団法人交流協会が発行した免許証の中国語翻訳文。
翻訳文に関しては
JAFの専用ページを御覧ください。
原則としてJAFの専用ページからウェブ申請することになっていますが、郵送での申請も可能です。
ウェブ申請については拙ブログの
こちらの記事をご覧ください。なお自作の翻訳文ではダメです。
この他、レンタカー会社との契約に際してクレジットカードが必要となってきます。
なお上述の理由により国際運転免許証は台湾においては全く役に立ちません。
●レンタカー会社と予約
(2023年1月 レンタカー会社に関する内容を修正しました)
経済力のある国には大抵の場合、国際資本の大手レンタカー会社が進出しており、台湾の場合はAVISが進出して徐々にネットワークを拡充させていますが、まだHERTZやBUDGETは進出しておらず、台湾では現地資本の業者がメインとなっています。ここでは台湾の大手レンタカー会社とそれぞれの予約方法について簡単に紹介して参ります。
・格上租車
公式サイト
大手レンタカー会社のひとつで、空港や高鉄(台湾新幹線)の駅にも窓口があります。WEBは英語と中国語のみで日本語対応はしていないようですが、私はいままで何度か利用したことがあり、予約時の金額提示やメールのやりとり、貸し出された車の状態など、いずれも良好で安心できる業者でした。なお私は予約の際に英語を使ってメールで連絡を取り合いました。
料金は後述する和運租車と同程度ですが、トヨタ系の車が多い和運租車と異なり、格上租車はいろんなメーカーの車を取り揃えているので、普段乗ったことが無い車種のハンドルを握ってみたい場合は格上租車を選ぶと良いかもしれません。特に台湾オリジナルのLuxgen (納智捷)を運転したければ格上租車がおすすめです(格上租車の親会社はLuxgenを生産販売している裕隆汽車です)。
・AVIS(艾維士)
台灣艾維士租車
言わずと知れた国際的なレンタカー会社。私も他国で何度かお世話になっていますが、まだ台湾では利用経験がありませんので、簡単な概説のみお伝えいたします。現地資本のレンタカー業者が多い台湾において、この国際的な業者も2012年頃から台湾でも営業を開始しました。この記事を投稿した当時はまだ当地における展開が途上段階でしたが、その後一気に各地で営業所を構えるようになり、この数年で格段に使いやすくなりました。
・愛旺(IWS)租車
(2023年1月の利用体験に基づき全面的に記載内容を変更しました)
公式サイト(中文)
公式サイト(日本語)
以前は別の漢字表記でしたが、某大手海外資本から指摘を受けたのか、現在では「愛旺」という表記に替えています。この業者は日本語サイトがあるので、車種や料金、営業拠点などを調べやすいでしょう。あまりメジャーな業者ではないのかもしれませんが、台湾の代表的な大手2社(和運と格上)より安く、しかも比較的便利なところに営業所があるので、私はこの業者を気に入っています。
2023年1月の記事でもご紹介しましたが、トヨタのSUVを定価4500元/日のところ、2200元/日で借りることができました。しかも実際に貸し出された車はまだ7000km程度しか走っていない新車同然の綺麗な車だったので、非常に満足しています。営業所のスタッフは日本語はおろか英語も怪しい感じでしたが(偶々かな)、営業所に日本語の説明マニュアルやパンフレットがあるので、利用開始時の際にはそれらを提示されながら手続きが進められました。
ネットで予約する際は、メールだとなかなか返信が来ない場合があるので、公式サイトに出ているLINEや各種SNSから問い合わせてみると、その後の流れがスムーズです。なおその際の言語は英語で構いません(日本語はちょっと厳しいかも)。
・和運租車
https://www.easyrent.com.tw/Japanese/
台湾最大のレンタカー会社です。営業所が多く、格上租車と同様に空港や高鉄の駅にも窓口があります。トヨタと業務提携しているため、用意される車はほとんどトヨタ車であり、車の状態も常に良好です。当然ウェブからの直接予約も可能ですが、実際に対応するのはピックアップする営業所のスタッフであるため、返答のスピードにはムラがあり(めちゃくちゃ早い時もあれば遅い時もある…)、日本語によるコミュニケーションもほとんど期待できません(以前あった日本語サイトも現在は無くなってしまいました)。もし返答が遅い場合は、現地スタッフが言語的に困っていることが多いため、問い合わせページから
英語でメールを再送してみてください。
以下、この記事では具体例として、和運租車を利用した際のことをご紹介します。予約の際にHP内の問い合わせページにあるメールフォームから、日本語と英語を併記してメールを送信したところ、滞り無く予約することができました。なおメール文中では難しい言葉なんて使っていません。簡単な挨拶文、レンタカーを予約したい旨、貸出や返却の日時と営業所、希望車種、付属品(GPS)の希望、氏名や連絡先などを、ごくごく普通のことを箇条書きにしただけです(営業所名などの固有名詞のみHP内の中国語をコピペしました)。
●料金の目安
リーズナブルなトヨタ・YARISの場合ですと、各社とも各種保険込で1日2,500元前後が相場となっているようです。実際に私がトヨタ・YARISを借りた際の料金も定価2,500元でしたが、曜日によって割引が設定されており、週末は定価の85%、平日は同75%で計算されました(定価は旧正月などの繁忙期にだけ適用されるようです)。もちろん料金設定に関しては会社によって異なりますから、各社のHPでご確認ください。また会社によってはGPSのレンタル料や乗り捨て料金が加算されますが、今回利用した和運租車ではいずれに対しても追加料金は発生しませんでした。
●ピックアップ
さて現地での手続きへと移ります。今回私は高鉄(台湾新幹線)の台中駅にてピックアップすることにしました。改札の横にあるレンタカー会社のカウンターで名前を告げると、係員が誘導して駅の外にある営業所へと車で送迎してくれました。
営業所では免許証・免許証の中国語翻訳文・パスポート、そしてクレジットカードを提示し、予約内容を確認の上、契約書類に署名して料金を先払いします。その際、金額欄が空白となっている書類にも署名とクレジットカードの番号記入を求められるのですが、これはもし交通違反した際の請求書となるもので、万が一違反金が発生してしまったらこの書類によって後日クレジットカードから引き落とされ、違反が無ければそのまま請求ゼロで書類は破棄されます。この書類は台湾独特であり、日本や他国ではありませんから、予備知識が無いと戸惑ってしまいますね。
なお和運租車のカウンターには、利用に際しての諸注意や保険内容に関する日本語で記された説明書類が用意されていました。
今回借りたのはトヨタのYaris(日本名Vitz)。予約に際して特にミッションの指定はしませんでしたが、AT車が用意されました。出発前にちゃんと外観の傷チェックが行われます。なお台湾のレンタカーは燃料の満タン返しが求められず、ほとんど空の状態で返却しても文句は言われません。ということは、利用開始時早々からガソリンの残量が僅かであるケースもありますので、その点は要注意です。
●返却
今回の返却先は台北市街の台北忠孝営業所です。忠孝東路という交通量の多い幹線道路沿いに位置しているのですが、営業所そのものはその側道に面しているため、台北名物のバイクの洪水や他の車の煽りに巻き込まれず事務所の駐車場へ車を入れることができました。またMRT(地下鉄)の駅からもさほど離れていないので便利でした。返却後はスタッフが外装チェックの後、高速道路の料金を現金で精算し(当記事の下部「高速道路」の項をご参照ください)、問題なければ書類にサインして終了です。
※本記事初回投稿時に記載していたGPS(カーナビ)に関する記事は、GPS端末を使用する機会が激減しているため、削除させていただきました。カーナビはスマホをご活用ください。
●運転に関して
・左ハンドル
これはいわずもがなですね。海外で運転されたことのある方なら問題なし。左ハンドルの経験が無くても、しばらく走っていれば慣れちゃいます。ただし慣れないうちはウインカーやワイパーを逆に出しちゃうミスをやらかしてしまうので、出発前によく確認しておくことをおすすめします(皆さんご存知かと思いますが、左ハンドル車はウインカーやワイパーが日本と逆です)。
・オービス
日本でもおなじみの自動速度違反取締装置です。高速のみならず一般道にもかなりの高密度で設置されています。旅行先での記念撮影は想い出を残すために欠かせませんが、この手の写真は一枚たりとも残したくありませんよね。日本では設置個所の手前に必ず事前警告標識が立っていますが、これは台湾でも同様でして、規制速度とともに「常有測速照相」(もしくは同じ意味の文言)と記された警告が必ず立っていますから、これを見つけたら速度を落として運転しましょう。なお台湾在住のWさんの体験談によりますと、10km/hオーバーでしたら確実、7km/h超でも後日警察から違反切符が送付されてきたんだそうです。かなりシビアなんですね。レンタカーの場合は、上述のように契約時にサインした金額欄がブランクの用紙が違反金の請求書類になります。
これがオービスの本体です。日本と違って後ろ向きに撮られるんですね。実際に運転してみると都市部や僻地を問わず、かなり頻繁に取締の警告標識やカメラと遭遇するのですが、その全てが稼働しているわけではなく、機能していないもの(ダミー?)もあるみたいです。そのあたりの事情は現地の方がよくご存じですから、走っている道の流れに合わせておけば問題ないでしょう。
・山道におけるライト
上の3枚の画像はいずれも山間部区間(見通しの悪い区間)における「常時ライト点灯せよ」の標識です。これまたWさんのお話によれば、台湾では前照灯点灯が義務付けられている区間での取り締まりも行われているんだそうでして、うっかり点灯せずに走っているとたまに違反切符を切られることがあるんだとか。この種の標識は繁体字の漢字がたくさん羅列されているので、慣れないとその意味が読み取りにくいのですが、「開車頭燈」という文言が含まれている標識を見つけたら、ライトを点灯させておけば問題ないかと思います。
●バイクが多い
台湾ではバイクを「機車」と表記します。日本のテレビ番組でもしばしば紹介されているのでご存知の方も多いかと存じますが、とにかくどこへ行ってもバイクが多く、都市部のラッシュアワーにおいてはバイクが怒涛のように道に溢れます。多いだけではなく、2ケツや3ケツは当たり前、先を急ごうとするバイクは隙間があればガンガン割り込んで、我が物顔で縦横無尽に走っています。文章だけでは迫力に欠けるため、Youtubeで見つけた
台北市街の様子を撮影した映像を御覧ください。
台北のバイクの多さは特別ですが、地方都市ではこれほどひどくないものの、多いことは同様です。下の動画は私が2012年に高雄市街で私が撮影したものです。
都市部ではこのようなバイクの洪水の中で運転するわけですから、信号発進時や車線変更などでは巻き込み事故を防ぐために周囲をきちんと確認しましょう。
バイクに限らず、路上駐車の多さ、急な車線変更、煽り運転の多さ、複雑な車線(台北都市部)などなど、台湾では様々なトラップが路上に「仕掛けられて」いるので、都市部では気が抜けません。でも実際のところ、都内や大阪などで運転している方だったら、意外と大丈夫かと思いますよ。たとえば都内でも、いきなり二重路駐するタクシー、急に飛び出す自転車やオシャレ気取りのスケボーの兄ちゃん、当たり前のように信号無視する歩行者のオッサン、ウインカーもつけずに車線変更して割り込む黒塗りベンツ、車間をギリギリまで積めて煽る業務用ハイエース、複雑な立体交差、直進していたらいつのまにか右折レーンになっている車線の数々、などなど慣れていないとヒヤヒヤするような場面って多いですけど、台湾での運転もそれと大して変わらないような気がします。余談ですが、関東人の私としては、東京や台湾よりも大阪の新御堂を走る方が余程緊張します。ま、それはともかく、東京と台湾、両者の最大にして決定的な違いは、万が一の時、東京ならば自国語で対処できるものの、台湾ではそれが非常に困難である、という点に尽きるかと思いますが、こればかりはどうしようもありません。
(新竹県竹東の街中の様子)
むしろ私の実感としては、都市部よりも山奥の原住民集落の方が怖い印象があります。都市部から地方へ行けば交通量は一気に減るのでビギナーでも安心して運転できるのですが、更に奥へ進んだ僻地に点在する原住民の集落では、交通量が少なくてマナーを守る必要が無いためか、たとえばバイクはノーヘルで3ケツは当たり前(子供を乗せた4ケツも目撃しました)、確認せずにガンガン突っ込んで出来ますし、道を塞ぐような駐車もしばしばで、治外法権かと勘違いしてしまうほどでした。山奥の集落に遭遇したら、田舎であると軽視せずに最徐行することをおすすめします。
●給油
石油元売企業はいくつかありますが、GSが最も多いのは
「台湾中油」ですね。台湾のGSはほとんどがフルサービスですから(近年徐々にセルフも開店し始めました)、スタッフに油種と給油量(台湾では希望金額を告げるのが一般的)を告げればOKです。なお油種は柴油(ディーゼル用の軽油)の他、92・95・98という3種類のガソリンがあり、それぞれの数字はガソリンのオクタン価を示しています(欧米と同じですね)。日本のレギュラーガソリンは95、ハイオクは98が該当しますので、日本の5ナンバークラスの車でしたら95をチョイスすればOKです。
上述にて「台湾では希望金額を告げるのが一般的」と申し上げましたが、旅行者がガソリンの相場を把握できるわけないので、給油の際はとにかく満タンでお願いしましょう。
日本語:95のガソリンを満タンで! → 中国語:
95加滿! (発音としてはjiu4 wu4 jia1 man4)
この4文字だけで十分なのですが、口に出す自信が無ければメモに
「95加滿」と書いてスタッフに見せればOKです。
この画像は実際に私が給油してクレジットカード(信用卡)で支払った際のレシートです。95無鉛ガソリンを30.07リットル給油し、リッターあたりの単価は34.9元であることが記されています。34.9元ということは日本円で約120円ですが、同じ時期(2013年3月)の日本のレギュラーガソリンは円安の影響で150円台でしたから、台湾の方が30円近くも安かったことになるわけです。ま、日本の場合は税金が高いんですけどね…。
レンタカーのピックアップのところでも軽く触れましたが、台湾では返却時に満タン返しをする必要がありません(もちろん会社によるかと思います)。なお私が利用した和運租車では「ピックアップ時と同じ目盛で返してください」とのことでしたので、燃費をおおまかに計算しながら給油して、指示通りの状態で返却しましたが、あまり神経質にならなくてもアバウトでよろしいかと思います(個人的見解ですが)。
ちなみに上画像は、最近少しずつ開設されはじめたセルフスタンド(自助加油)の一例です(2016年3月に台中市烏日区で撮影)。私が利用したGSでは、フルサービスのポンプの隣に、このセルフのポンプが併設されていました。2台あるポンプの真ん中に利用方法がイラスト付きで説明されていましたが、全て中文ですので、言葉がわからないとちょっと難しいかも。
●駐車場
大抵「停車場」などと表記されています。温泉めぐりで訪れるような地方の施設でしたら、大抵は無料駐車場が用意されているかと思います。今回の旅で駐車料金を支払うようなことは一度もありませんでした。都市部ですとコインパーキングもありますし、また路肩の白線に囲まれたゾーンに駐車すると、巡回している係員がワイパーに料金票を挟んでゆくので、コンビニでこの料金票を差し出して料金を支払えばOK。
(2023年1月補記)
2023年に台中市内や日月潭で大型の公共駐車場を利用した際には、入場時にナンバープレートと入場時間が読み取られ、事前精算もしくは退場時の支払い時に、料金機のモニターに表示されるナンバーを確認して利用時間に応じたの料金を支払うシステムになっていました。ナンバーを読み取る駐車場は日本でも増えていますね。ただし日本と異なって駐車券を不要としていいる駐車場もありますので、そのような駐車場では券が無くても心配ご無用です。注意を要するのは料金の支払い。台中市の某駐車場では現金支払いができず、悠遊カード等の交通系ICカードやスマホ支払いのみとなっていました。駐車場に限らず台湾では悠遊カードがあらゆる場面で有効に使えるので、予め所持した上で若干多めにチャージしておきましょう。
●高速道路
広くて快適な台湾の高速道路。一部区間は大陸との有事を想定した軍用飛行機の代替滑走路に指定されているため、日本の高速道路よりはるかにゆとりのある造りになっています。標識や地図で「國道」と表示されている道、あるいは梅のマークの道が高速道路です。
高速道路は主に台北や台湾西部の都市部に路線網を広げているため、中央山脈より西側を移動する際にはお世話になるかと思います。
・高速料金は全てETC
台湾の高速道路は有料ですが、2014年1月より全面的にETCが導入され、現金での利用が不可能になりました。つまりETCに対応していない車は高速道路の走行ができません。でもレンタカーで貸し出される車は全車ETC対応ですので、私たちのような外国人旅行者でも心配はご無用。以下、具体的にその利用方法を解説してまいります。
日本のETC車載機はカード挿入型ですが、台湾ではカードを使わず、車にシールで貼ったタグ"eTag"がその役割を果たします。上画像はフロントガラスに貼られたETCタグの実物を、外側と内側から撮ったものです。シールの中央部分にタグがあり、道路に設置されたアンテナでこのタグの情報を読み取ります。
タグのシールはフロントガラスに貼られているとは限りません。別の日に借りたこの車では、ライトのケースに貼られていました。
一方、こちらは高速道路の本線上に設置されているETCアンテナです。本線上にたくさん設置されており、各出入口間ごとに細かく区切って利用状況を把握しています。アンテナからは青い光が放たれており、その光によって通過する車のタグを読み取っています(直下を通過すると、瞬間的に青い光に照らされるのがわかります)。かなりの高速で通過してもしっかり読み取ってくれる優れものです。なお日本の高速道路のように、出入口にバーはありませんので、いちいち徐行や一時停止をする必要はありません。
各アンテナが読み取った情報は逐次センターのサーバへ送信され、利用状況が管理されます。
各レンタカー会社の営業所には、ETCの利用履歴を表示させる端末がありますので、車を返却する際、営業所のスタッフに請求された利用料金を現金で一括精算すればOKです。全てオンラインで管理されているので、あっという間に利用履歴がわかり、料金が算出されます。
上画像は、レンタカー会社の営業所で返却精算時にプリントアウトされた、某日における私の高速道路利用履歴です。用紙の下半分に利用区間・時間・料金が列挙されています(画像加工済)。これを見ますと、ものすごく多い区間を利用しているように見えますが、上述したように、各出入口毎に利用状況を把握しており、その全てがリストアップされるため、走行距離が長くなって通過する出入口が増えると、どうしてもリストにあがる区間数が多くなってしまうのです。
ちなみに料金は利用距離に応じた体系となっており、走行距離が20kmまでなら無料、20kmから200kmまでは1kmにつき1.2元、200km以上は1kmにつき0.9元となっています。日本と比べてはるかに安いので、料金を気にせず高速道路のドライブが楽しめます。
・サービスエリア
サービスエリアもあるんですよ。標識には「服務区」と表記されています。今回は國道3号の泰安服務区を利用しました。
広くて停めやすい駐車場。日本と同様、駐車エリアは大型車と小型車に区分されています。普通の乗用車は小型車エリアへ。
大きなトイレはもちろん、コンビニやスナックカウンター、そしてスタバなど各種設備や店舗があり、日本のPAと大差ありませんでした。とっても綺麗です。
安全運転でよい旅を!
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