On The Road

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6-18

2010-03-12 06:58:12 | OnTheRoad第6章
 「ケンカしないで仲良く帰ってね」とオバサンが手を振って、「またきます」とあずが頭を下げた。今、夕方ということは、家に着くのは夜だ。

 オーナー夫婦に見送られて、僕たちは車に乗り込んだ。はじめの有料を降りてもできるだけ一般道を避けて高速を使おうと僕は思った。あずを早く帰してあげたいし、来る途中で古ぼけたホテルがいくつかあるのを見てきたから。

 「今頃、内房では花が咲いているから、内房から房総半島をぐるっと回ってみるのもオススメなんだって。疲れるまえに一宮に着いて、ここに泊まれば楽だって奥さんが言ってた」。あずが話しながらCDを取り替えた。
 力強い女性ボーカルが甘すぎないラブソングを歌っていて、あずが小さく口ずさんでいて、僕がドリカムだって気付いたのはしばらく走ったあとだった。「いつでも運転かわるから、疲れたら言ってね」とあずはまだ僕を心配しているようだ。

 来るときよりスピードが上がっているのは自分でもわかる。僕が何から逃げようとしているのかも知ってる。


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