せっかくハルさんにお茶を立ててもらえるチャンスなのに、サトウさんが逃げたがるわけは残念だけど僕にもわかる。
「病院のあと、ちょっと寄ってみたらどうですか? 平服でいいってハルさんも言ってたし」と僕は言ってみた。「アキエさんの代打だと思って」
「代打には監督から指示が出るんだよ」とサトウさんはシブッた。
サトウさんはタバコに火をつけて深く吸い込んで、「ハルさんは遠くで見ているだけでいいんだ」と言った。
ハルさんが先生を好きになった理由がわかった気がした。先生はすこしも特別にではなく、ハルさんと話せたんだ。みんながサトウさんみたいに接していたら、ハルさんだって息苦しかったにちがいない。
第5章につづく
「病院のあと、ちょっと寄ってみたらどうですか? 平服でいいってハルさんも言ってたし」と僕は言ってみた。「アキエさんの代打だと思って」
「代打には監督から指示が出るんだよ」とサトウさんはシブッた。
サトウさんはタバコに火をつけて深く吸い込んで、「ハルさんは遠くで見ているだけでいいんだ」と言った。
ハルさんが先生を好きになった理由がわかった気がした。先生はすこしも特別にではなく、ハルさんと話せたんだ。みんながサトウさんみたいに接していたら、ハルさんだって息苦しかったにちがいない。
第5章につづく