「海まではすぐだけど、コートを着ていったほうがいいわよ。お昼までには戻ってきてね」とオバサンが言った。「ウチのがはりきって作ってるから」
波の音を頼りに僕たちは砂っぽい道を歩いた。オバサンが言うように、セーターだけでは寒そうだ。
ちょっとした防砂林の向こうはすぐ砂浜だ。防砂林を抜けたら風が強くなって思わず足が止まった。でも、あずは止まらない。
「あず」と僕は呼んだ。「急ぐと転ぶよ」。ホントはあずがまた離れていってしまいそうで恐かった。
砂に足を取られながら「セーシュンを卒業しようよ」とあずが答えた。「クサイくらいセーシュンしよう」
僕も足を取られながらあずにかけよった。「スズキさん、走って」。悪条件ながら、あずは全力で波打ち際を走った。
「1周は終わったよ。すこし力をぬいて」。あずの力がゆるむのがわかる。
「折り返して。ゴールだけを見て、まっすぐ」。僕は20メートルくらい離れて両手を広げた。
「スズキさん、走って。ゴールはもうすぐだ。キミが目指すゴールでいい」
波の音を頼りに僕たちは砂っぽい道を歩いた。オバサンが言うように、セーターだけでは寒そうだ。
ちょっとした防砂林の向こうはすぐ砂浜だ。防砂林を抜けたら風が強くなって思わず足が止まった。でも、あずは止まらない。
「あず」と僕は呼んだ。「急ぐと転ぶよ」。ホントはあずがまた離れていってしまいそうで恐かった。
砂に足を取られながら「セーシュンを卒業しようよ」とあずが答えた。「クサイくらいセーシュンしよう」
僕も足を取られながらあずにかけよった。「スズキさん、走って」。悪条件ながら、あずは全力で波打ち際を走った。
「1周は終わったよ。すこし力をぬいて」。あずの力がゆるむのがわかる。
「折り返して。ゴールだけを見て、まっすぐ」。僕は20メートルくらい離れて両手を広げた。
「スズキさん、走って。ゴールはもうすぐだ。キミが目指すゴールでいい」