On The Road

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6-16

2010-03-12 06:56:49 | OnTheRoad第6章
 「僕も大人になるよ。ヤキモチを焼いちゃうから、カレのことはもう話さないで」

 コーヒーを飲んだりミッキーに手を振ったりしながら、あずはコトバを探していた。「かくさないで言うことしか考えてなかった。元カレの話なんか聞きたくないよね」

 「あずが言いたいことは全部聞くつもりだったけど、僕はまだそこまで大人じゃないんだ」。認めてしまうとすごく楽だ。「でも、大人になるから」

 あずはまたしばらく黙っていた。今度はじっとしたまま、自分の指先を見ている。「私は甘えたかっただけなんだね」

 甘えていいよと言えればよかったけど、ヤキモチを焼かない自信はなかった。「あずのお兄さんも僕のアネキも、大好きな人を取られた経験があるんだよね。でも、僕は知らなかった」僕はユリナちゃんのことを思い出しながら言った。

 「そう言えば、私は女のクセにってよく言われたな」「僕はアネキの子分にされてたよ」2人で笑っていたら、黄色いシャーベットが運ばれてきた。
 「甘酸っぱいお二人にレモンシャーベット。今度は泊まりにきてね」とオバサンが言った「夏は混むけど」。オバサンはあずが笑うまで待っていてくれたんだと、なぜか思った。
 「連休とれるかな」とあずが言った。レモンシャーベットはもちろん冷たいけど、部屋と胸の中があたたかかった。


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